直列6気筒なんて、今時BMWくらいしか作っていない。コンパクト化が厳しい。高回転高出力化する最近のトレンドの中で、高回転化には不向き。クラッシャブルゾーンを稼ぐのが難しい。もうV6でも振動、騒音を抑える技術が実用化されている・・・・・という事情があるからだが。
 とはいえ、エンジン命のBMWが、いまだに直列6気筒にこだわるくらい(といっても、V8やV12にも相当力を入れてるが)だから、本質的には構造上は直列6気筒は本当にすばらしいのだろう。
 では、直6よりすばらしいエンジンはないか?と言えば、日常使うレベルでは、という前提にしなければならないと思う。というのは、V12はもちろんのこと、良くできたV8でさえ上回るという事実があるからだ。
 個人的にトヨタのV81UZ4.0リッターから同じトヨタの2JZGT3.0ターボに乗り換えたとき、パワーこそやはり2JZGTに譲ると感じたものの、回転の粒立ちのフィーリングとか緻密さという点で、V8の方が上だった。拍子抜けするくらい。やっぱり、トヨタが相当の意気込みで開発したというエンジンは伊達ではなかった。

 では、V8が最高かとなると、これまた上には上がある。オールドV8には、それなりの味わいがあるので別だけれども、90年代に入ってからの日米欧のインジェクション仕様V8は、V12のマイナー版というフィーリングだというのが事実ではないだろうか?そう、インジェクション仕様V8というのは、フェラーリやコルベット、BMWみたいなスポーツタイプはともかく他はだいたいおんなじフィーリングなのである。
 バランスの取れたV8を作ると、どうもトヨタやメルセデスベンツ、キャディラックみたいになってしまうらしい。V8だけに乗っていれば、それはそれで、こんなにいいエンジンない、と思えるのだが、V12に乗った直後にV8に乗ると、アッと気づくのである。違う!違う!かなり違うぞ・・・・と。だがけっこう似ている、似ているけど下だ。まちがいない。V12に似てるけど、もっとV12の方が上だ・・・・と。たぶん、そんな経験をした人もいるんじゃないだろうか。(V10はそれほど普及してないから、このさい除外するが)

 ということで、V12こそ最高のエンジン・・・・と結論を出してしまえば、ことは簡単なのだが、はたしてあまり一般的ではないV12を、人によっては王侯貴族金持ちのための車のエンジンと言うそれをたたえたところであまり意味はないという気もする。あくまで、ファーストカーとして持つ車のエンジンということでなければ・・・・となると、日常使用可能な上限の4~5リッターのV8くらいまでと考えてみたい。

 レギュレーションを決めて、その中で、最高にフィーリングのいいエンジンは何か?ということを考えてみたい。あくまで日常使用に供する上で、もっとも快感なエンジンということだが・・・・・
 レギュレーションさえなければ、オールドアメリカンV8のあのすばらしい鼓動、リズム、まるで生きてるような感覚を推したいところだが、そういうエンジンは最低でも6リッター前後あるから無理。となれば、よくできたV8の4リッタークラスか2~2.5リッターの直列6気筒ではないかと思う。よくできてるV8は、今隆盛中だから、いまさら説明の必要はないだろう。たしかに日常使用のハイエンドクラスとしてもってこいである。ただ、直列6気筒も実はそれに負けないくらいいいのがある。いや、あったというべきか。それは、1昔前の2リッター前後クラスのOHC直6のことであり、今ではBMWのスモール6くらいでしか味わうことのできない、比較的小さな排気量の直列6気筒のことである。

 自身、6気筒車に関しては、L28改30、7MGTE、2JZGTEと乗ってきているし、走行経験ならRB型、BMW等々あまたあることはある。それに史上最高フィーリングを持つ直列6気筒と言われるジャガーXJシリーズ(97年のX300系まで搭載の9Jエンジン)の異常にコンディションのいい車に乗る機会もあったし、ある程度のこの結論には自信があるつもりなんだが。
 だけど誰も言ってないんだよなあ。2リッターOHC(DOHCではなく)の時代によっては、最廉価版にしか載らなかったようなエンジンが最高だった、なんて・・・・・馬

*別サイト(Google Bloger)に同時掲載しています。そちらには、昔の名機、トヨタ2000GT搭載
の3M型と初代スカイラインGTR搭載のS20型の画像とコメントを載せました。興味のある方は、
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