■年金など社会保障関係では、評判が芳しくない厚生労働省
ですが、医療関係では新たな動きが目立ってきています。
例えば、いまは自己負担になっている抗がん剤について、
健康保険の適用を広げることや、未承認の医薬品を使い
やすくするしくみなどが検討されています。
早く実現されることが期待されますが、今日はそれとは
別に、体内時計と深く関係のある『時間治療』について
ご紹介致します。
抗がん剤はガン細胞だけでなく正常な細胞まで破壊し、
頭髪が抜けるなどの副作用があるので、大量の投与は
困難とされていますが、『時間治療』の研究が進み、
それが可能になってきました。
<体内時計のリズム>
人体を形成する細胞の数をご存知でしょうか?
―――約60兆個あります。
その中には多くの体内時計(時計遺伝子)が組み込まれ
ており、それらは脳にある親時計によって、毎日リセット
されています。
体内時計によって、ホルモンの分泌などが制御されており、
毎日一定のリズムで抵抗力や吸収力が変化しています。
そして、人体が抗がん剤を分解する能力は、昼間よりも夜間
に強くなることが分ってきました。抗がん剤に対する抵抗力
は夜9時頃に最大になり、朝には下がります。
この人体のリズムは何千年もかかって形成されているので、
簡単に変わりません。少々昼夜逆転の夜型生活を続けても、
体内時計は1~2時間しか変化しません。
<時間治療とは?>
『時間治療』とは、全く同じ薬でもそれを投与する時間
によって、驚くほど効果に差があるという新しい考え方です。
手がつけられない大きさで、手術も不能だった肝臓ガンが、
たった2カ月の『時間治療』でガンが大幅に縮小して、手術
に成功し、健康を取り戻した横浜市立病院の患者さんがいます。
この方は、体内時計の働きで夜間に強まった抗がん剤の分
解能力によって大量の抗がん剤と闘い打ち勝ったのです。
また、あるリュウマチ患者の場合、薬を朝飲むのと夕方飲む
のとでは身体に対する効果が全然違いました。
これまで朝飲んでいた薬を、夕方に変えただけで、ウソの
ように痛みが軽減されました。
<フランスの時間治療>
『時間治療』は、フランスはじめヨーロッパではかなり
進んでいて、一般患者も恩恵にあずかっています。
薬剤の夜間投与は、患者にも看護する側にも負担があります。
フランスでは、『クロノポンプ』というタイマー付きの器具
を使い、適切な時間に自動的に投与が可能になっています。
さらに、これは自宅でも手軽に使えるので普及が広がり、
これまでに約3,000人が受けているそうです。
入院も不要で、余分な費用もかからず、副作用も少なくガン
治療が出来ているのです。
日本では、時間治療はまだ研究段階ですが、ガンだけでなく
高血圧や喘息、リューマチなどの治療に効果が期待されます。
例えば、喘息の発作のリスクは、昼と夜で100倍違います。
時間治療の実用化が待たれます。
厚労省や製薬会社の協力が得られれば、時間治療は飛躍的
に発展する、と番組のコメンテーターが話していました。
この内容は、4月23日のNHKの特集番組でも取り上げられました。