「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「чеснокъ」(chesnok') 「にんにく」 『ふぃる』
「чесношникъ」(chesnoshnik') 「にんにくを搗く道具」 『ふぃるつくもん』
ごんざは日本でも「にんにく」を「蒜(ひる)」とよんでしっていたけれど、「にんにく」をつぶす専用の器具をつかうほどは、江戸時代の日本人はにんにくをたべなかった。
日本人は、仏教の「酒をのむな」という戒律はまもれないけれど、「にんにくをたべるな」という戒律はまもれた。信心ぶかかったからではなくて、日本料理にあまりあわないからだろう。
一方、東方正教には、食に関する色々な戒律があったけれど、「にんにくをたべるな」という戒律はなかった。ごんざはロシアにきてから、にんにくをたべる機会がふえただろう。
「чесношникъ」(chesnoshnik')は、現代の、金属製の器具ににんにくをはさんで、柄を手でぎゅっとにぎってつぶすようなのではなくて、ちいさい器にいれてすりこぎのような棒でついてつぶすようなのじゃないだろうか。
ごん:師匠、にんにくたべたでしょ。
ボグ:うん。ロシアのにんにくと日本のにんにく、どっちがにおう?
ごん:おなじかな。ロシアの野菜と日本の野菜、おなじものはほとんどないけど、にんにくはだいたいおなじ。
ボグ:そうか。