「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「азбука」(azbuka) 「アルファベット」『いろふぁ』
「букварь」(bukvari) 「初等読本」 『いろふぁ』
ギリシャ文字の配列の最初の「α」「β」を「アルファ」「ベータ」とよんで「アルファベット」という名詞になったのとおなじように、キリル文字の配列の最初の「а」「б」を「аз」「бука」(az)(buka)とよんで「азбука」(azbuka)という名詞になった。日本語ではカナ47文字の配列の最初の「イ」「ロ」「ハ」が「イロハ」という名詞になった。おなじだ。
そして「азбука」(azbuka)も「イロハ」も、第二義として「入門」という意味をもつ。
「букварь」(bukvari)は「буква」(bukva)(文字)をまなぶための本で、現代日本語でいえば「かな練習帳」だ。ロシアに漂着したごんざは、まず簡単な会話をおぼえて、それから「букварь」(bukvari)でまなんだのだろう。
ボグ:ごんざは「китайская азбука」(kitaiskaya azbuka)(中国のアルファベット=漢字)もしっているの?
ごん:いや、ほとんどしらない。数字だけかな。
ボグ:数字? 日本の数字は私たちの数字とちがうのか?
ごん:うん、ちがう。ロシアの数字はロシアにきてからおぼえた。
現代ロシア語でもブルガリア語でも「中国のアルファベット」というのは、「わけのわからないもの、チンプンカンプン」という意味だ。