放心と書かれたような顔で眠る 
ひどく小さくて 
もろい魂の寝息を眺める 
僕の遺伝子の半分の 
僕の哀しみの大部分の 

この期に及んでも隠蔽していた 
永遠のひな形 
無償という 
代用が存在しないという 
無限の宙空に収束する 
投影としての愛の具象 

無意識が拒み 
すべての子宮達の中に探した 
探し続けていたブラックマター 
その寝顔を眺める夜更けの沈黙 

枯れそうな命の 
泣き出しそうな心の底辺の 
なくしたくないもの 
そして確実に消え行くもの 

逆縁に彼女を泣かせるくらいなら 
どんなに惨めでも生きてやると 
クチビルをかむ 
彼女が欲しがる未来を 
何一つ与えられなかった僕の 
僕と月しか知らない疼きが 
心臓の裏側を刺激している 

愛とはアナタのことだった 
もう少しそこにいて欲しいと 
夜に呟いた 
ゴメンねも少し混ぜた 

放心と書かれたような顔で眠る 
ひどく小さくて 
もろい魂の寝息を眺める 
僕の遺伝子の半分の 
僕の哀しみの大部分の 


2011年

昔の自分にもらい泣きしたって笑い話よ