朝のパヴァーヌ


君と踊る

静かなパヴァーヌ


亡き世界のために歌う

奇妙なパヴァーヌ


遠い山の端に

眠たげな月と

月の鳴らす静かな鐘の音

歩き始めたぼくたちは

指先まで生きているような

愛と

それ故の哀しみをまとって


朝のパヴァーヌ


あれは煌めいた光の装飾音符


遥かなるパヴァーヌ

鼻歌じゃ届かない

ここではない何処かへと


とても小さなパヴァーヌ

耳たぶにキスして消える


イタズラな朝によくある

朝によくある風の


 


  「朝のパヴァーヌ」