夜だ


美しいものはより妖艶をまとった美となる


そんな

夜だ


罪深さは少し許され

放心は愛撫の言い訳とされる

夜だ


月が潤むのは

獣の遺伝子がまだ残っている証拠で

その引力が淫靡を介したからといって


一体誰が

裁かれるというのか


だから

夜だ


睾丸の重さが

理性を軽やかに蹴散らしてしまう

夜だ


僕は飲み過ぎて寝てしまうという

いつもの夜だ


誘惑より布団に抱かれたい

僕だ


起こさないでくれ

禁断が発動したら

明日に戻れなくなってしまう

だって夜だから

僕は愚かな僕のままだから


なのに夜だ

安っぽい妖艶が似合う夜だ

愛がなんだ


すべてがだけど夜だ