「素描 夏の日」

ドカッと
漫画の描き文字が大きく鎮座する
暑さというより重い熱さに近い
息苦しい
音ではなく重さとして
だがそこには静寂がある
太陽という無慈悲な核弾頭が
1天文単位の彼方から
憎しみと慈悲が混じった電磁波を放っている
音のない曝露
チリチリとした
静かな被曝

強い光と強い影
ディレイした蝉時雨が
時間軸と戯れ合う真空

夏のイデアを
僕らはどうしても見つけられない

だから痛みとして
肌に刻む

何度聴いても実感として感じられぬ
アイシテルを
呪い憎み渇望するように

痛みなら抱きしめられる
痛みなら君より優しいから

ドカッと
描き文字が
世界からはみ出して見える

夏という描写を
君のいない夏を
僕は嫌いになってやった
君は嫌いになんて
到底なれないから