僕とジュジュの魔法22


僕とジュジュは仕方なく重い身体を引き摺りながら

僕の部屋に戻った


二人では狭い空間に僕らは染み込む

ソファーなんてないから彼女はベッドの隅に腰掛け

僕は少し安定の悪い木の丸椅子に安住を求める


重い空気を自分の声で変えられそうもない僕は

気の利いた言葉一つも思いつかないで黙り込む

「ホントに馬鹿ね そういうの お節介って言うのよ

独り言を少しだけはみ出しただけの呟きは

どうにか僕の耳に辿り着いた


「どうすんのよ、もう、まったくぅ」

そんな彼女の言葉の感触は

だけど僕には柔らかい頬の触感を含んで聞こえてしまう


開き直れば女は強い

今からできる最適解をファジー回路が導き出してしまうのだろう

ロジカルとは別の

そう 魂とか 子宮とかからの本能的なナニカだろう


だけど僕はあんなに強い妖気を含んだエネルギーが何も引き起こさずに

ただ僕らの魔法を奪い取ることだけで消えたのがわからなくて気持ちが悪かった

違うな 薄々想像はできるが上手く受け入れられない気持ち悪さなんだろう これは

「ねえ、もしかしたらさあ…  もしかしたら

僕らの魔法は打ち消しあってしまったのかな」

「真逆の方からさねえ 同じことを祈ったとかさぁ」

僕は自分の胸を探ってみる

当人を前に言えない とても言えない祈りのことを

「な、なに、いっ 言ってんのよ」

「私は別に

少し赤くなったのか彼女は顔を背けて俯いた

動揺してる? してくれてる?

僕の胸が 少し苦しくなる

脳味噌は理解し得るのにこころが怖がることだ