僕とジュジュの魔法12


どうにかしないとと言われても

僕は口籠った

師匠はその顎に貯えられた白くてもしゃもしゃの髭を撫でながら

少し遠い目で僕に言った

「手遅れはな 永遠に消えない痛みになる」

「魔法じゃ時間は戻せないんじゃ」

独り言ちるような言葉の余韻には

その老人の茫漠たる哀しみが滲んでいた


傷を背負った救い人なんだと

僕は痛みにシンクロした


分かるのではなく気付くに近い

こころに落ちる想いというものがある


薄っぺらいオシエルとかナラウとかとは違うこと

とても簡単なのにとても大切な

永劫触れられぬ悟りに触れてしまったような電気が走る


多分これは僕の人生で一二を争う大事な場面なんだ

だけどどうしたら


もの問いたげな僕に視線を知ってか知らずか

師匠は柔らかい微笑みをたたえながら呟いた

「まあ わしに考えがある 一か八か

じゃがな」

「あやつに話を付けてみよう

あのメフィストととやらじゃあ

昔 奴には恩を打ってあるからのう」