夜明けによく似た夜の入り口
山の端にこびり付く夜と孤独とのグラデーション
誘発された言葉は透明なナレーションで
書き留めるまもなく世界に溶けた
眼球の奥のクリップボードに
感傷がハレーションを起こした色彩が感光した
見惚れる人もない景色に見惚れるのも
安価なしあわせだ
僕は意味もなく口角を上げ
伝えたい誰かを想った
夕暮れのモノクロに落ちていく加速度
ご無沙汰の夜明け前の神聖
命の分水嶺の向こうの不動態
無生物化してなお研ぎ澄まされる
冷たく鋭く美しいもの
無意味になら嘘は混じらない
聴こえてしまう哀しみを刻む
こんなにも
痛みみたいに