まだ見ぬ誰かの面影を捏造して 
またこの夜の深度に
想いをはべらそう 
風に散るのも花の意地だと 
春の孤独を反芻するのもまたいい 

楽しんでも痛み 
はにかんでも愚かしいだけなら 
夜に狂うことを恥じたって
意味はないよね  

身動きできない僕だから 
ブレない視線が見つけてしまうことがあるんだ 
心ならずもね  

探り合う舌先で 
シャッターチャンスを飲み込む頻度を確かめたよ 
何度も言いそびれたアイシテルが 
ためらった唾液に 
そんなにも滲んでしまうんだよ
もしかしたら
僕の醸し出す味覚だったのかもしれないけど  

隠しながら知ろうとするのは 
礼儀に背くことになるだろ? 
見せびらかした不自然を 
僕が脱げるようになるまで
見せられるギリギリでいてくれればいい 
  
記憶に少し細工したら 
もう僕らは春に飲み込まれてしまっているのさ
取り返しはつかないんだってば