デロイを探せ!(その22) 北朝鮮のデロイ資料2(交通新聞1956年) | ゴンブロ!(ゴンの徒然日記)

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今回は、「とよんぽす様」から頂戴した「ピョンヤン鉄道省鉄道事蹟館」陳列の「戦後のデロイ記載新聞記事(高解像度版)」を解析したいと思います。
少々長文となりますがご容赦を。


なお、くだんの新聞ですが、以前のゴンブロ記事
「デロイを探せ!(その10)」
では、「労働新聞」(北の政権政党 朝鮮労働党の機関紙)と思っておりましたが、これは誤りで、「交通新聞」なる新聞でした。このような業界新聞が当時の北朝鮮に存在していたのは少し意外です。現在も存在しているのか・・・
しかしそれにしても解像度が高く記事を解読することが出来、有難い限りです!

1. 全訳


文中、○○の箇所は伏字という訳ではなく、印刷のカスレや語彙不足で、ゴンブロ主宰者がどうしても訳せなかった部分です。ただ、全体読むと空白部分も含め、大意はつかめるような気がします。特筆箇所は紫色としました。

1956交通新聞


『交通新聞 第三面  1956年2月23日 木曜日


①見出し 「社会主義基礎建設途上にあるウリナラ(我が国)鉄道


②縦見出し「朝鮮鉄道電気化の萌芽である(初めての芽である)陽徳-泉城間電気鉄道の復旧工事進捗

      ★ ★
共和国北半部で社会主義基礎建設の任務を担当し、奮闘している全体人民達の○○○○の交通運輸労働者達は、輸送速度を更に高めるための建設事業を進行させている。
中でも我が国の鉄道電気化の萌芽となる(初めての芽である)ヤンドク-チョンソン間の電気鉄道復旧工事は、平元線の輸送効率を顕著に○○するという大きな意義があるだけでなく、今後我が国すべての鉄道幹線の電気化実施の出発点ともなる。
我が国の社会主義基礎建設の一つの姿である、この電気鉄道復旧工事の現場では、朝鮮人民の生活に巨大な意義を持っている朝鮮労働党第三次全党大会を目前に控え、建設の速度を更に加速している。
      ★ ★



(小見出し)復旧再生される電気機関車


ヤンドク電気機関区電気機関車復旧現場では現在最後の工程である「ラグ真空合接機」の賑やかな音が響いている。・・・①
機関車毎に6台設置されている主電動機は、始動を前に、真空合接機による絶縁値見直し後、4500ボルトの高電圧で使用出来る性能を実現している。・・・②
これは電気機関車の完全復旧が遠くないことを物語っている。
現場は緊張した雰囲気に包まれている。ナットを締め、ハンマーを揮う若い組立工達の顔には社会主義基礎建設者としての矜持が輝いている。
「我々が今取り組んでいる電気機関車復旧が遠くないことは、貨物輸送についても、満足に解決出来そうだということで、このことが、我々がまさしく鉄道で社会主義基礎建設者の栄誉を担っているということなのだ」 ある労働者のこの発言は、全労働者の一致した考えである。
「真空合接機」の実験を待っている電動機と、その電動機を用いる為留置している電気機関車が機関区構内の至る所に見える。
チョンギドゥ(電気2) 1号、2号、3号を始めとしてチョンギハ(電気1)、チョンギソ(電気3)(各々の電気機関車は)今でも、電動機のみ設置されれば、走れるように準備されている。・・・③
(現場では)ハンマー振り競争の選手達がスタート線に立っているが・・・
たった二年前には、これらの電気機関車は○○がふり払われることもなく、砂塵だらけであった・・・④
しかしながら、リチャンホ区長と工作助役 リウンウォン、組立工 チョンハンムク、リソソクファン、リハンス達を先頭にした機関区全体の労働者達の努力闘争によって、多くの電気機関車を○○した後、復旧再生することに成功した。
電気機関車の復旧過程では兄弟的ソ連の巨大な物質的援助と技術的○○が大変大きな○○となった。
電気機関車の運転は経済の側面で国家に莫大な利益を提供する。
電気機関車は蒸気機関車より○○を高くすることができ、機関車の石炭を節約できるうえ、多くの労力と時間を節約することが出来る。
今ヤンドク電気機関区の労働者達は朝鮮労働党第三次全党大会を前にして、高い模範的な成果を挙げるべく、3月15日までに電気機関車修理を完了させられるよう、現場闘争を展開している。』



2. 考察(デロイ関係)

(1) 新聞が発行された1956年2月とは、1953年7月の朝鮮戦争休戦後、約2年半が経過し、
   戦後復興が進んでいた時期です。(1954年-1956年にかけて「戦後復興3ヵ年計画」が
  進捗中だった)


(2) ①部分・・・直訳すると「ラグ (もしくはラク)真空合接機」となり、落ち着かない訳ですが、
   文意から見て、溶接作業用機械と考えると、アーク溶接が出来る「真空接合機」と言う
   意味か?
   「ラグ」の最初の「라」は「마」(マ)ではなく、「라」(ラ)に見えますが、もし「마」であれば、
   「MAG真空溶接機(炭酸ガスアーク溶接)」と解釈可能で、1953年に米国で開発
   されたばかりの当該技術を使って補修作業をしていたことになります。
   (最新技術を使って補修に取り組んでいるという気負いが文章の随所にあるので、
   何か そう読む方がしっくりくるのですが・・・)


(3) ②部分・・・電気機関車の1両当り主電動機は6台。即ちEF(デロ)の形式であることが
   判ります。


(4) ③部分・・・今回新聞で発見した最大のポイントです。

  文中にハッキリと「チョンギハ」「チョンギドゥ」「チョンギソ」と記載があります。
  ピョンヤンの鉄道博物館で保管されている鉱山用電気機関車の形式がチョンギノでした
  ので、以前ゴンブロ主宰者が、電気機関車命名規定として推測していた以下推理は
  正しそうです。
   -------------------------------------------------------------
  <電気機関車命名規則>
   「전기(電気 よみはチョンギ)」+形式補助記号+連番
  *形式補助記号としては、ハングル固有数字の一部を用いて表現
     1: (하나) ハナ          → 「하나」から最初の「하」(ハ) 
    2:(둘/두) トゥルもしくはトゥ   →「두」(トゥ 文中ではドゥ)
    3:(셋/세) セー           →「서」(ソ「셋」の変化形)
    4:(넷/네) ネー           →「너」(ノ「넷」の変化形)

   よって

    「전기하(チョンギハ)」・・・ 「電気機関車の「1」号
    「전기두(チョンギドゥ)」・・・ 「電気機関車の「2」号
    「전기서(チョンギソ)」・・・ 「電気機関車の「3」号

   -------------------------------------------------------------


   また、文中には主電動機の据付待ちになっているチョンギドゥ電気機関車は1号、2号、
   3号の3両との記載があります。
   コウォン(高原)にある現存機から考え、東芝デロイ=チョンギハであることは、ほぼ確定
  ですので、チョンギドゥは日立デロニもしくは三菱デロイであると思われます。
  (日立デロニの生産数は4両、三菱デロイの生産数は3両なので、どちらとも解釈可能
  だが、ここでは順当に日立デロニ=チョンギドゥと考えたい)


  また、文意から1956年の時点で修理可能な電気機関車は全てヤンドクに集められてい
  るとも読めます

  冬の寒さの大変厳しいところです。
  新聞発行時2月は厳寒時であり、修復作業は大変だったはずです。

     
(5)  ④部分・・・「2年前の時点(1954年?)では、残っていた電気機関車は埃だらけとなって
   いた」と記載があります。戦争による電化区間の破壊後、保管環境はあまり良くなかった
   ことが窺われます。
   保管場所の言及はありませんがヤンドク?それとも戦中は更に北部山岳地帯に疎開さ
   せていた?


3. 新聞の写真について

1956交通新聞拡大 


記事見出しには「復旧再生される電気機関車」とあり、「された」と過去形にはなっておりません。写真の状態から、留置中ではなく、就役中と思えますので、解放以降、朝鮮戦争による電化区間破壊前のデロイ/デロニであると考えられます。(パンタのシューが一本になっているので、日本統治時代ではないと思われる)


また前回ゴンブロ
デロイを探せ!(その21)
の東芝デロイ/日立デロニ/三菱デロイの判別ポイントから見ると、重連の機関車の内、一両目は東芝デロイ(側面窓配置から判断)でほぼ間違い無し、ニ両目は日立デロニ(側面窓配置、角ばった仕上がり、側面機械室の形状から判断)と思われます。一両目の東芝デロイ前面にはナンバープレートが見えますが、新聞の画素が荒く、読めません。

二両目のデロニの判別はちょっと自信ありませんが、ゴンブロ主宰者が知る限り、デロニ写真は鉄道ピクトリアル1956年12月号に掲載のあった1943年の日立での竣工時のものしかない筈なので、(もし本当にデロニなら)大変貴重と思われます。


 

いつもご愛読頂いております皆様、まことに有難うございます。

次回は戦後ヤンドク機関区のデロイ修理の図の解析をしたいと思っております。
今回新聞記事と関係ありそうな写真です。

それではまた!

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