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ああた、ご飯まだ？居間のソファに寝転びWOWWOWの華麗なる一族を
観ている嫁のセツ子がオレにそう訊ねる。
しかし、今日は月末の23日、我が家は給料前の激貧週間だ。冷蔵庫を
開けても、中には冷えた空気しか入っていない。
おお、そう言えば！いつか特別な日に食おうと、アマゾンで買った浜名湖産
うなぎ蒲焼缶詰がアルコーバの食品庫にあったのを思い出した。
オレは嫁のサンダルを突っかけ、駐車場のアルコーバまで走り缶詰を取って来た。
特別な日が給料日前の激貧日だったとは情けないが、背に腹はかえられない。
ついにこの日が来たかと、震える手で缶詰を開けると蒲焼の切り身は3切れ
入っており、それぞれ薄紙で包まれている。
お米を洗いザルに上げ30分ほど置いてからメスティンに入れ、うなぎも缶のタレごと
一緒に入れる。缶のタレだけでは少し味が薄そうなので、冷蔵庫に有った何時のか
分からない出所不明のうなぎのタレも少量加えた。
大丈夫かって？自慢じゃ無いが、嫁のセツ子は頭は弱いが腹は丈夫なので問題無い。
このメスティンは1.5合炊きなので目印の位置まで水を入れ
これまたアマゾンで仕入れた25グラムの固形燃料を置いたEsbitのポケットストーブに
乗せ火を点ける。オレの実験によるとこの固形燃料は約25分間燃焼するが、そこまで
放置するとおこげが多すぎる。21分でメスティンを火から下し、タオルに包んで逆さに
して10分蒸らすのがベストで有る事が分かっているのだ。
出来上がりだ。逆さにしたので、うなぎが寄ってしまったが炊け具合は完璧だ。
こいつをおしゃもじでご飯と混ぜ合わせれば、うなぎ炊き込みご飯の完成である。
ほら、セツ子炊き込みご飯出来たよ！小口に切った薬味ネギでも散らせば、
見栄えがいいが、給料前でそれも叶わない。
ああた、美味しいわ！このさんまの蒲焼の炊き込みご飯！
お、おう.....
こうしてオレの「特別な日」はあっけなく終わった。
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