甲州街道を歩く 第3回 仙川-府中本町 | らんまるの街道歩きブログ

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2013年12月14日(土)

この日は甲州街道歩きの第三回として前回ゴールの仙川から府中本町までを歩きました。この日の歩行距離は12.3km、ルートはこちらです。

午前9時少し過ぎに京王線の仙川駅に到着し、早速甲州街道(ここでは国道20号と重なっている)に出て西に向かいます。

01出発
甲州街道の終点は下諏訪の中山道との合流地点ですが、まず目指している第一ゴールの甲府までが116km。平坦な道ばかりなら7、8回で歩ける距離ながらこの甲州街道は山道も多いので、まあ10回強くらいかけてゆっくり歩いてゆくことにしましょうかね。

400Mほど進んだところにある仙川2丁目交差点のすぐ先で、旧甲州街道は国道から右に逸れた旧道ルートの下り坂に入ってゆきます。

02滝坂
↑この写真で右に見えている細い道が旧道。坂には滝坂という名前がついています。かつて雨が滝の様に流れる急坂だったという事で、甲州街道中の難所の一つだったそうですが、坂も緩やかになり、道路が舗装されている現代では趣のある坂ではあっても難所ではありません。


下から坂の上の方を振り返ってモノクロで一枚。
03滝坂

旧道ルートは200M強ほどで終わってしまいすぐに国道に合流し、滝坂下という交差点に出ます。

そこから150Mほど進んだところの右手奥に鮮やかな朱色の山門が見えます。これが大雲山 金龍寺という800年余りの歴史を持つ名刹です。
04金龍寺
上のお寺のリンクの「堂内案内」にもありますが、こちらのお寺には初代将軍の徳川家康公から4代家綱公の位牌があるそうで、境内ではしっかり葵の御紋を見る事ができます。
05金龍寺
 

境内にある大きなイチョウの木もまた見事なものでした。

06大公孫樹

金龍寺から1.3kmくらいはひたすら国道を歩きます。東京から伸びる主要な国道には「日本橋から○○km」という標柱が1kmずつ立っている事が多いのですが、本日はこれを見つけました。        

07日本橋から22km


22kmか。6里弱ですな。私の甲州街道歩きは既に第3回ですが、このブログでも何度か書いた事のある通り、かつて街道を旅していた江戸時代の旅人たちの一日の歩行距離は10里(39.3kmくらい)でしたから3回かけてまだその半分くらいしか歩いていない訳です。ちょっと前の先祖たちの健脚ぶり、誠に見事なものですね。


途中歩道橋に登って後ろの江戸方向を見てみます。

08武蔵野のケヤキ並木
ケヤキ並木が悪くない風情ですが、青梅街道歩きの時も思いましたがやっぱり武蔵野はケヤキ並木が特徴だと思います。

やがて甲州街道は「馬橋」という橋で、多摩川の支流の一つである野川を渡ります。下流方向を向いて写真を撮った瞬間丁度京王線の電車が通りかかり、写真の腕はともかく良い感じになりました。09野川

そこからすぐ、国道20号が右にカーブする地点に「旧甲州街道入口」という極めて分かりやすい名前の交差点があり、旧道は直進して国道から左に逸れてゆきます。↓ここがその分岐地点。

古地図1


10旧甲州街道入口

旧道ルートに入るとすぐにこんな看板が立ってます。         11旧甲州街道看板
メッセージ性の高い看板ですね。分かりやすいです。

国道との分岐からおよそ500メートルほどで甲州街道は自然な右カーブを曲がって進みます。
12旧道らしいカーブ

丁度カーブの中心辺りの左側に力玉タビなどを売っている木造建てのお店の手間には庚申塔が立っていました。    

古地図1
13庚申塔

そこから300Mほど先の左手の円福寺というお寺の入口を入ってすぐのところには、「六地蔵」がいらっしゃいました。

14六地蔵

その100Mほど先の交差点手前の右側には「調布不動尊」の名で親しまれる常住寺があります。                    

15調布不動尊
こちらのお寺は、私が何年も前に厄年にあたっていたころ、前厄、本厄及び後厄のお札をインターネットで購入したお寺だったかと思います。こんなところであのお札と街道歩きが結びつくとは思いもよりませんでしたが、こういう出来事は街道歩きの楽しみの一つですね。

およそ1km先の小島町一丁目交差点の手前右側にある「えの木駐車場」の道路際のところに、金網で囲まれた小島一里塚跡があります。

16小島一里塚跡
これで日本橋から6里(23.6km位)です。ここには推定樹齢200年の大きな榎があったものの、安全のため昭和40年に伐採されてしまったという事です。

一里塚から600~700M先の左側には常演寺というお寺があり、その参道入口には常夜燈があります。             

18常演寺常夜燈
 

本堂も立派でしたが、そのすぐ手前に大きな犬が飼われており突然吠えられてビックリしました。
17常演寺

常演寺から350Mほど先の左側の源正寺の前には「源正寺六地蔵」があり、旅人をそっと見守っています。                

19お地蔵さん

源正寺から300Mほど先では、中央自動車道が頭上を横切っていますが、そのすぐ手前左側にある西光寺には、新撰組局長だった近藤勇の座像に加え、かなり立派な山門があり、必見の古刹です。(新撰組って、新撰なのにどうして「」長なんでしょう?沖田聡司なんかも一番長ですしね。。。」

境内に入ると左側に近藤勇がでん!と座っておられます。

20西光寺の近藤勇坐像
新撰組のシンボルである「誠」の字にだんだら模様がキマってますね。

その奥の山門は本当に立派なものです。                  21山門

中央高速を潜ってからおよそ800Mほど先の「飛田給駅入口」交差点の少し先の街道左手には行人塚と行者堂があります。行者堂の正式な名前は「瑠璃光寺薬師堂」といい、元仙台藩医師の松前意仙が彫った薬師如来像が安置されています。意仙は大願成就の後、薬師像の傍らに穴を掘り、中に入って、鉦をたたきながら、お経を唱えて、そのまま入定(死去)したと伝えられています。意仙の死後、村人たちによって、塚が築かれました(調布市Webサイトから)、とのこと。

こちらが薬師堂です。風格のあるお堂だと思います。        

24行者堂


こちらが行人塚と呼ばれる、意仙の塚です。               23行人塚

この辺り、街道沿いらしく非常に立派な門構えの家、敷地が広大な上に敷地内にマンションを経営している(らしい)家、お蔵のある家などなど立派な邸宅が目立ちます。                         22すげえ立派な家
(↑の写真のお宅はさっきの行人塚の少し手前)

行者堂から300Mほどで調布市から府中市に入ります。入って100Mほど進んだところの右手側、民家の前には常夜燈が立っており、プチ街道風情を醸しています。
25常夜燈

この常夜燈から400~500M先の「車坂団地入口」交差点のすぐ手前右側にあるのが観音院。山門とその脇にある銀杏、そして青空のコントラストがきれいだったので記念に一枚。

26観音院
 

上の写真の左の方に小さく写っていますが、この観音院のすぐ脇にもまた常夜燈が立っています。結構常夜燈を多く配置していた地域なのですね。

27こちらも常夜燈

 


この常夜燈から300Mほど進んだところで西武多摩川線の踏切を越え、更に300Mほど進むと「不動尊前」という交差点にさしかかります。

 

その北西(進行方向に向かって右の奥)側の角に、めちゃくちゃ大きな敷地にめちゃくちゃ立派な家がありますが、そこに小さなお堂が立っていました。この観音様もずっと旅人を見守ってきたのでしょう。

その向かい側=街道右側には染屋不動尊があります。

29染屋不動尊

本当はこの不動尊前交差点で左折をして南に向かい、白糸台文化センター前の交差点を右折し細い道に入っていくのが、どうやら正しいルートだった様ですが、誤って直進をしてしまった事に気付いたので、八幡神社の手前で細い道を左折し、150Mほど南を左右に走っている旧道ルートに復帰します。するとすぐに「常久の一里塚跡」碑にあたりました。

30常久一里塚
あのまま道を間違えていたらこれが見られないところでした、危ない、危ない。

通りは狭く、かつての旧道の道幅なのかと思うほどです。

31旧旧道

やがてこの旧道は府中自動車学校に沿って右カーブをしたと思うと都道229号に合流をします。これが甲州街道のルートであり、この道に沿って東府中駅の前から真西に向かって進みます。

少し進むと京王線の踏切に差し掛かりますが丁度電車が通ったのでタイミングを撮ってシャッターを押してみたところ、意外とよい構図で撮れたみたいです。                           

32京王線電車

暫く街道を歩きます。余り旧街道という雰囲気ではありませんがバス停その他の地名が「八幡宿」なので、街道時代の土地の記憶が地名にかろうじて残されている様です。

やがて府中競馬正門前通りを過ぎる頃から交通量が増え、八幡宿交差点を越えると道幅が一気に国道並みに広がります。

やがて左手にご神木が見えてきたなと思ったら、、、、 

34神木
これが大國魂神社の入口です。

大國魂神社は武蔵国総社です。ここは府中市であり、「府中」と言うくらいですから律令時代の国府がこの辺りにあった訳で、要するに当時の武蔵国の中心地に他なりません。そこにある総社ですからその立派なことは筆舌に尽くせません。

参道の入り口からして非常な風格が漂っています。            35大國魂神社参道


参道は数百メートルありますが、折角なので本殿まで参詣しました。36本殿
立派な神社は数限りなく見て来ましたが、その中でもこれは別格ですね。

歩いた距離の割には、疲労がひどかった事もあり、西側の参道から地下道で府中本町駅に出て、武蔵野線で松戸の方に帰りました(始発なので座れてよかった!)。                                    

37府中本町

近藤勇の座像、数々の常夜燈、それから一里塚跡碑とこの日も結構街道風情の楽しめた歩きとなりました。来週は三連休だし、長期企画の東海道歩きの第5回を決行する予定です。


五街道を二つ同時に歩くという贅沢をしてしまっていますが、いずれ甲州街道も「遠征」に成ってくるのでその頃には暫く甲州街道一本に絞って歩くつもりです。

2013年12月14日(土)アップ