おばあ様達が帰った後に、テレビの横に置かれたDVDのケースを
じっと見ている美桜だったが・・・
意を決して、DVDをケースから取り出してプレーヤーの中に入れ
リモコンを手にして、画面が見易い位置に椅子を移動させて
再生をスタートさせた。
おばあ様には
夜に観るものと言われたが、夜に一人で見る勇気はやはりなかったのだ。
今日はドクターサラはお休みで、
治療は行わないと言われていて3時間は誰も部屋には来ない。
物語は信州の犬神財閥の創設者、犬神佐兵衛と言う人物が亡くなった事で
財産をめぐる、争いの中で最初の殺人が起きます。
犬神佐兵衛は生涯正妻を迎えず
３人の妾それぞれに産ませた３人の娘がいた。
松子、竹子、梅子の３人。
松子には戦争に行った一人息子佐清（すけきよ）
竹子には息子佐武（すけたけ）と娘小夜子（さよこ）
梅子には一人息子佐智（すけとも）がいました。
犬神佐兵衛の恩人である神社の神主の野々宮大仁
の孫娘である野々村珠代は絶世の美人である。
珠代の親が亡くなった後は佐兵衛は犬神家に珠代を引き取った。
佐兵衛は珠代を誰よりも溺愛した。
自分の３人の娘達や４人の孫達よりも
いや、佐兵衛は３人の妾にも３人の娘達にも愛情は一切無かった。
だから４人の孫にも愛情は無かった。
それが引き金になり、恐ろしい財産争いの殺人が起きる。
時代設定が戦後だから・・暗いのよね。
でも何故か引き込まれる。
結局最後まで、美桜はそのDVDを見ていた。
でも見終わった美桜はあまりの人間の恐ろしさに
震えが止まらなかった。
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