竹内涼真を脱がせるなんて、さすがは雑誌「anan」(マガジンハウス)だ。最新号の7月4日号で、今をときめく竹内が、鍛え上げた上半身ヌードを表紙でさらしている。
特集タイトルは「カッコいいカラダ2018」。ヨガや筋トレ、食事改善などで体を鍛える特集だ。竹内は表紙の他、12ページにわたり、さまざまな肉体美を披露している。
ananの公式ブログによると、竹内はこの撮影の準備のために2カ月、トレーナーについて、胸筋などをつける筋トレを続けてきたという。同ブログの中で竹内は「短期間で変化を見せることと、何気ないTシャツをカッコよく着られることをテーマにしてた」と語っている。
竹内といえば、昨年最もブレークした男性俳優の一人だろう。NHK朝ドラ「ひよっこ」に主人公(有村架純)の初恋の人として登場し、視聴者の女性たちの注目を集めた。昭和40年代の田舎の裕福な家庭出身の慶応大生を演じた竹内は、さわやかで真面目な好青年の役柄のまま、好印象を残した。その朝ドラと並行して始まった夏クールのコメディードラマ「過保護のカホコ」(日テレ系)では、今度は貧乏な画学生に扮した。こちらも主人公(高畑充希)の初恋の人だが、朝ドラとは真逆ともいえる、おおざっぱで粗野だが人は良く、影のある役を演じた。
さらに秋クールではドラマ「陸王」(TBS系)で、マラソンに賭けるストイックな陸上選手に挑んだ。元サッカーユースという経歴通りの身体能力の高さと、走り込んで作り上げた無駄のない筋肉美を見せつけた。このころには人気が確立、CMでも目にする機会が増えた。
毎年のお正月恒例の富士フイルムの「お正月を写そう」や、ちょうどキャスティングを一新したソフトバンクの白戸家一家の一員にもなった。さらにロッテの「イート・ミント」3兄弟や、味の素「クックドゥ」、ロッテのアイス「クーリッシュ」にも出演。以前から出ていたメナード「薬用ビューネ」の「ビューネくん」なども含め、テレビCMで見ない日はないほどだ。
ドラマではさらに今春のクールでも、ニノ主演の話題作「ブラックペアン」(TBS系)に、物語を説明する語りを兼ねて出演。不器用でどんくさいけれど一生懸命な新米研修医に扮し、主人公のニノに振り回されてあたふたする姿がかわいらしかった。
こんな風に、短い間に、NHKや民放のドラマに次々と登場し、かつ何社ものCMに起用されるのは、視聴者からの支持と好感度が高いからだ。ドラマでは、ヒロインの相手役など重要な役どころながら、それぞれの演技で求められる人間像が違う。役者としての幅が求められ、演じる中で今後への可能性も見せてくれた。
--と、期待値が高まっているタイミングでの、「anan」の表紙ヌードである。やられた!というか、うまい!というか。
ananはこれまでも、表紙ヌードで旬の人をフィーチャーしてきた。「今、この人!」というタイミングと人選の絶妙さに、編集者の目利きを感じる。昨年も3月1日号の表紙で、放送中の冬ドラマ「カルテット」でブレークし、ちょうど注目度が上がっていた高橋一生を脱がせた。その年にブレークし、しかも女性たちがヌードを見てみたいと思う俳優を、「初ヌード」であろうタイミングで持ってくる。脱がせるのは事務所との交渉などもあり大変だろうが、それを実現させるところに同誌の力量と歴史を感じる。
ちなみにananの表紙ヌードの歴史は長い。ここ20年ほど、数カ月から半年に1度の割合で、「時の人」を脱がせてきた。撮影のテイストは、一貫して、女性から見て「キレイ」と思える裸だ。官能的だったとしても、「いやらしい」とは感じさせない、上品な路線。
女性ヌードも取り上げているのが女性誌らしい。1999年の江角マキコは衝撃的だったが、その後も時折、女性も脱がせている。同性の目から見て「こんな肉体になりたい」というボディラインや、「こんな生き方が素敵」というライフスタイルなど、「憧れられる」被写体であることが人選に共通している。この春には中村アン、昨年は田中みな実、一昨年は指原莉乃が登場した。撮り方も、女性が見て「私もこんな風に撮られてみたい」と思えるような、きれいなヌードを披露している。
竹内涼真の号はきっと、完売必至だろう。雑誌不況でどの出版社も悩んでいる中、その点でも、さすが、である。
(2018・7・8、元沢賀南子執筆)