金メダリスト 

オスカー・ピストリウス

1月に仮釈放されていた

 

 

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  事件のあらまし

 

南アフリカの「オスカー・ピストリウス(現在37歳)」は、生後11ケ月で両足の膝から下を切断。しかし両足切断者クラスの100m、200m、400mの世界記録保持者であり、アテネ・パラリンピック、ロンドン・パラリンピックでは金メダルを獲得しました。また、義足のランナーとして、ロンドン・オリンピックとパランリンピックの両方に出場した初めての選手でもあります。

 

カーボン繊維製の義足を付けて走る彼の姿は「ブレード・ランナー」と呼ばれ、世界中でヒーローとしてもてはやされました。

 

しかし2013年バレンタインの早朝、ピストリウスは自宅で恋人のリーバ・スティンカンプさん(モデル、当時29歳)に4発発砲(1発は寝室で、3発はドア越しに浴室で)。リーバさんが亡くなったのは、浴室。また、自宅からは血まみれのクリケット・バットも発見されました。

 

ピストリウスは「侵入者と間違えて発砲した」と主張しましたが、警察は、「外部からの侵入の形跡は全くなかった」と主張。

 

 

  捜査の行方

 

 

ピストリウスは初公判から一貫して「無罪」を訴え続けます。しかし、ピストリウスが疑われる理由は他にもありました。

 

・近所の人達の証言ですが、警察に通報がある数時間前に2人が激しく口論する声を聞いていました。

 

・残された弾痕は上から撃ち下ろされていました。警察がピストリウスに「義足を履いていたか?」と聞いたところ、「履いていなかった」と答えたそうですが、弾道分析の結果次第では、ピストリウスの嘘が暴かれるとしています。

 

・ピストリウスは短気で、以前にも何度か暴力事件を起こしていました。

 例えば、ピストリウスの自宅で開かれたパーティーで、口論になった女子学生は、彼が叩き壊したドアの破片で足を負傷しました。警察で19時間拘束された後、おとがめなしで釈放された彼でしたが、女子学生を相手に約2300万円、警察相を相手に約6800万円の損害賠償を起こしました。

 リーバさんの前に付き合っていた彼女が、友人の大富豪と関係を持ったことでは激怒。オリンピック終了後公衆の面前で、「両足をへし折ってやる」と大富豪を脅したそうです。それを見た元サッカー選手がピストリウスの行動に忠告したところ罵倒され、後日その件でピストリウスの差し金かのように、警察幹部からも電話があったそう。

 

・オリンピック以降、ピストリウスの短気で豊満な態度は周知の事実となっていたようです。

 

・警察は不確かな情報ではあるとしながらも、リーバさんは元恋人で南アフリカのスター・ラグビー選手からメッセージを受け取ったのではないかとも言われています。ピストリウスが以前の恋人の裏切りに激昂した時と同じく、見方によれば、以前の恋人の裏切りがあったが故、リーバさんはより激しくピストリウスの怒りを買ったのかもしれないとも考えられています。

 

 

  事件のその後

 

 

ピストリウスはかねてから、侵入者だと思い撃ったと主張してきましたが、判事はドアの後ろの人が誰かは「罪と無関係」だと指摘。被告の行為が正当防衛だという主張も否定。つまりは銃を撃てば相手は死ぬとわかっている状況で、確認(呼びかけ)もせず、侵入者か恋人かわからず撃ったことは、ピストリウスの主体的行為によるということで、相手が攻撃しそれに応戦したということではないということです。

 

裁判では「射殺が意図的であったか否か」について、検察側と弁護側が激しく争いました。「殺人罪が適用されるかどうか」が最大のポイントでした。

 

2015年12月3日、最高裁判所は検察の上訴審において、高裁判決を破棄、殺人罪で有罪判決を出しました。


2017年に「禁錮13年5月」を言い渡されましたが、今年2024年01月05日に仮釈放が決まりました。矯正当局によりますと、ピストリウス氏は2029年の刑期満了までは一定の監視下に置かれます。矯正当局は服役中の態度などを踏まえて仮釈放を決めたそうですが、仮釈放委員会の公聴会で読み上げられたリーバさんの母親の手紙には、彼が完全に更生できていないこと、特に女性に対する暴力を懸念していると書かれていました。

 

 

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