こんにちは、ごえもんです。

 

映画「プロメア」を鑑賞してきました。公開初日に観るのってどことなく優越感ありますよね。

 

実は僕、エンドゲームと名探偵ピカチュウも初日に観てきたんです。観たんですが、エンドゲームは日本公開が遅かった分そんなに優越感なかったです。中国やアメリカの方が公開が早かったので情報を追っかけるのが精々だったんですよね。その点ピカチュウは日本が最速公開だったんで謎にうれしかったです。変なとこでマウントとりたがる癖を直したい。

 

 

 

それはともかく、プロメアです。キルラキルなどで有名な今石弘之と中島かずきが再びタッグを組み、グリッドマンやリトルウィッチアカデミアなどパースの効いた作画が特徴的なTRIGGERがアニメ制作を担当。制作期間は実に5年。なんとスパイダーバースより長い。いや同じぐらいですね。あの企画が発覚したのは2014年の11月頃でしたから。

 

全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、
突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉の出現だった。
あれから30年――攻撃的な一部の面々が〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。
対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと
〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオ。

熱き魂がぶつかりあう、二人の戦いの結末は――。

 

以上、公式サイト(https://promare-movie.com/)よりあらすじです。

結構ロボット要素が強い、熱さと勢い100%な映画です。しかし、意外なほど考察しがいのある作品でもあると思います。

 

SNSや別のブログなどで、監督のイメージが先行したのか無駄な考察をするなと主張する人もいました。ですが、バーニッシュとは何か、クレイの思惑、その他いろいろな場面で考え込むことのできる奥が深い作品です。

 

(ここからネタバレ要素強いです。未鑑賞の方は回れ右でブラウザバック推奨です。)

 

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そもそも、火とは人間にとってどのような存在なのでしょうか。

 

人間は古来より火を利用して生きながらえてきた種族です。

 

火を熾して肉を焼き、獣をよけ、暖をとる。最初の方は雷などが原因で起こる自然発火を利用していただけ、などという説もありますが、ともかく人間と火とは切っても切れない関係でした。

 

それは現在も変わりませんが、果たして人間は火を自分のものにできているのでしょうか。僕は違うと思います。1995年の阪神淡路大震災。建物の倒壊に伴って起きた火災は関西の地を焼き尽くし、地震が起きた時間が朝早かったのもあって焼死者はかなりのものだったそうです。まだそのとき僕は生まれてませんが。

 

また、アメリカなど乾燥した地域で多発する山火事。範囲が膨大になることも多く、数日間消火しきれないこともあります。

 

人間は、未だ火に翻弄され続けています。自分たちが操っているつもりでも、その危険性は無視しきれないものです。

 

しかし、この作品に登場するバーニッシュは違います。彼らは自分の体ひとつで火を熾すことができます。原理はわかりませんが火で鎧や装甲、バイクなどの複雑な機械もなんなく作り、自分が火で燃えることもありません。自分以外のものを自らの火で守ることすらできます。まさに新人類。

 

先ほど述べたように、私たちは自分で火を熾す術を手に入れたことで、高度な知能を持つ生物として進化しました。しかし、いまだ火の完全制御ができる段階ではありません。それが全てというわけでもありませんが、僕らは彼らよりずいぶん劣った種族で、旧人類と言ってもいいくらいでしょう。

 

しかし、正義とは多数派によって形成されるもの。作中でバーニッシュは否定され続け、無残な捕らえられ方をします。旧人類からはテロリストと言われ、自分が食べたピザがバーニッシュが作ったものだとわかるとそれを地面に投げ捨てるものまでいました。

 

その極致は、司政官クレイ・フォーサイトによって行われる「パルナッソス計画」です。彼はバーニッシュの炎をエンジンとした船で地球から4光年ほど離れた地にある地球に似た惑星に移住する計画を立てます。ノアの箱舟のようなものですね。ちなみにパルナッソスという名前もギリシャ神話にある似た話からつけられているのだと思います。

 

彼は移住の後の開発計画まで慎重に組み立てていました。それは地を均したり火を鎮めたりといろいろな機能を持つクレイザーX(違う)を中心としたものです。

 

「そんなものがあるなら地球のマグマを凍らせればいいじゃねえか!」とガロは叫びます。しかし、クレイは機体が耐えられないと一蹴。一見、クレイもバーニッシュを見捨てたのは苦渋の決断だったように見えるシーンです。

 

しかし、すぐに驚愕の事実が判明。実はクレイ自身もバーニッシュだったのです。

 

ちなみにリオがいちど炎の竜になってクレイに襲いかかったとき彼の左腕が輝いていましたが、その時点で僕は左腕は義手で絶対冷却弾かそれより強い武器を内蔵しているのだと思っていました。違いましたね。燃やすつもりだったのでしょう(雑)。

 

話を戻して。

 

彼もバーニッシュ、しかもリオを超える制御力を持った者だとわかった時点で、僕はひとつの疑問を持っていました。

 

「リオと同等かそれ以上の能力を持っているなら、クレイザーX(仮)を自分の火で守って核まで近づけたのでは?」

 

この疑問に対して、「そんな細かいとこ気にするなよ」とか、「そこまでの力はないってだけでしょ」とか言う人もいるかもしれません。でも僕は違うと思います。ここでバーニッシュとしての力を使わなかった選択こそが、彼の性格、思想を一番顕著に表している描写だと思うのです。

 

彼は、バーニッシュ、そしてバーニッシュとしての自分を嫌悪していました。そんなクレイが、自分の炎を使って問題解決をするということはすこし考えづらいです。

 

また、リオの力は最終的には太陽系を揺るがすレベルにまで進化していました。強い。それはガロや他のバーニッシュと協力したことで成し遂げたことですが、クレイにも素質はあったと思うんですよね。シンプルにリオより強かったし。

 

要は、彼はバーニッシュ、というよりプロメアと協力するつもりは皆無だったと言うことです。彼はバーニッシュを憎んでいるという以前に、何でもかんでも自分一人でやりたくなるタイプなんだと思います。プロメス博士をあっさり殺しちゃったことからもその性格が窺い知れます。

 

そして孤独な彼と対照的に、リオとガロは仲間と協力し合うことで問題解決するスタイルです。冒頭でリオにマトイテッカーを壊されたガロがドヤ顔で放った台詞「俺たちはレスキュー『隊』なんだよ」もそれを暗示しているのかもしれません。

 

どこまでも孤独なクレイと、仲間と全力を出し切るガロ&リオ。最終的に勝ったのは後者でした。「仲間に頼ること」というのも、この映画のテーマのひとつだと思います。

 

 

 

もう一つ、個人的にですがタイトルのフォントに気づかされたところがありました。

 

今まで、日本語表記、特にカタカナはかっこ悪いものだと思ってました。アベンジャーズとかバンブルビーとか、原題に合わせたフォントは正直好きではありません。トランスフォーマーとかなんで英語のままにしないでわざわざカタカナのフォント作ったんだろう…っていうのは今でもふと考えます。

 

しかし、プロメアは違います。ストリートアートを思わせるローマ字表記で描かれた上に、殴り書きのように写る真っ赤な『プロメア』の文字。最高にクールですよ。

 

つまるところ、日本語のかっこよさというのは手書きのみによって発揮される、というのが僕の持論です。機械的なフォントは日本語本来の味を損ないます。勘流亭だって闘龍だって筆文字を元にしたフォントじゃないですか。

 

MCUのソーやGOGではタイトルを改変するという謎すぎる判断がありましたが、原題に変に寄せて作品の品格を損なってしまうのもよくありません。それをするくらいなら日本語に訳さない方が100倍マシです。

 

長くなりましたが、やはり映画のタイトルはわかりづらくても原題をそのまま使った方がよいと思います。僕は原作尊重派ですから。皆さんはどうですか?

 

 

 

 

というわけで、映画の初レビュー、プロメアを題材にさせていただきました。ここまで読んでくださった皆さんと、映画を作るすべての人々に感謝を送ります。

 

今週の金曜日にはゴジラを観てきますので、次の文はそれになるかと思います。

 

やっぱりプロメアもう一回観てこようかな。