今日は、タクシーでの詐欺について、ちょっとだけお話しします。

私自身は詐欺に遭ったことはありません。

(スレスレなものは、何度か遭ってますが。)

 

一般の人でも想像はつくと思いますが、
タクシーでは、詐欺を行う乗客が時々現れます。

下の記事は、最近発生している詐欺事件についての報道です。
横浜で発生しているそうです。

・タクシーのドアが閉まると「メガネ壊れた」とクレーム 横浜に出没
https://news.livedoor.com/article/detail/17070890/

タクシーのドアが閉まった時に、高額のメガネが壊れたから弁償しろと言うわけです。

これは「ドア締め詐欺」というもので、今回の横浜に限らず、タクシー会社では有名な手口です。
「ドアを閉めたときに、ぶつけて壊れた」と主張するのが特徴です。

このほかにも、様々な詐欺の手口があるみたいです。

この記事にも書いてありますが、常習的な詐欺師は、顔写真や詐欺の方法などが会社の営業所に出回っています。
全体集会でも、定期的に詐欺対策についての指導が行われています。
LINEなどのSNSを通しても、これらの情報は回ってきます。

そもそもタクシーには、以前からドライブレコーダーが設置されていることが多いです。
詐欺行為をすると、顔や音声、行為が、動画の証拠としてバッチリ記録に残されるのです。

犯罪者にとってこんなヤバい状況で、よく詐欺をしようと思うなぁと思うんですよね。
だから、とにかくタクシー内で詐欺をしようなんて思わない方が良いです。

私が一番悪質だと思うのは、タクシー運転手の善意を利用してだますタイプ。
その詳しい手口などは、ここにはあえて書きません。

でも実際、そういう人はいるようです。
運転手の善意を逆手に取るなんて、ほんと最低な人間ですよね。

料金は正しく支払いましょう。
 

皆さんはいろいろな都市伝説をご存じかと思います。

・口裂け女
・トイレの花子さん

などなど・・・

今回取り上げる「都市伝説なんじゃないか」と言われているお話は、カーナビに関するお話です。



カーナビに関する都市伝説で有名な物としては、次のようなお話がありますね。

・カーナビに住所を登録して、ナビ通りに現地に向かったら、着いたのはお墓だった。
・カーナビに住所を登録して、ナビ通りに現地に向かったら、そこは崖だった。

カーナビ通りに向かったら崖だったりすると、悪霊が自分を殺そうとしたのではないかと思いたくなりますよね。

私はプロのタクシードライバーですが、一日200km~300km走っていますと、本当にいろいろなことが起こります。
それで、当然のように、カーナビに関する不思議な体験もするわけです。

以下にお話しするのは、私が実際に体験したお話です。

***

深夜のことです。
確か東京の新橋だったと思うのですが、ほろ酔いのサラリーマン風のお客様にお乗り頂いた時のお話です。

「目的地まで寝て行きたいので、カーナビに住所を入れて欲しい。」

と、お客様に言われました。

言われたとおりの住所をカーナビに入れました。
私はカーナビに入れた後、お客様に住所を復唱して間違いないか確認するようにしていますので、このときの入力は間違っていなかったはずです。

教えて頂いた行き先は埼玉県だということで、確実に距離がロングになりますので、私は内心

(ラッキー)

と思ってたんですね。

目的地までは、一部高速を利用したと記憶しています。

高速を降りてから、目的地周辺に着くまで、下道をかなり走りました。
なかなか目的地に着かないので、内心、

(これは帰りも大変だなぁ・・・)

などと思いながら運転していました。



そしてやっとの事で目的地まであと1km以内ぐらいの所まで来ました。
埼玉県の方は結構道が暗い所もあるようで、その時も結構道は暗かったです。

最後の方でナビは、次のようなルートを指し示していました。

(1)この先の、片道一車線の道路と交わる小さな交差点を直進
(2)そのまま数百メートル直進して、目的地周辺

(ああ、もうすぐだな、やっと着いた。)

そう思って、前方の片道一車線の道路と交わる小さな交差点を直進しました。

そこからは、車がすれ違うのがちょっと大変な感じの狭い道幅に変わりました。

そういう道ですので、周囲はより暗くなります。
そういう場合は安全のため、前照灯をハイビームに切り替えます。

でも、数百メートルぐらい先に進んだ時でした。

正面に、金網が見えてきたんです。

カーナビでは直進するようにルートが表示されています。

金網近くまで近づくと、なんとそこは完全な行き止まりでした。

(えっ?)

一瞬、自分がルートを間違えたのかと思ったのですが、でも間違いなくカーナビ通りに来てるので変だと思いました。

すぐカーナビを確認すると、やっぱりその位置から直進になっているのです。

そして前方をよく見ると、その金網の先は崖だったのです。



崖の向こう、下の方には、一軒家の住宅がたくさん並んでいるのが見えました。
私たちはその住宅街を、上から見下ろす形です。

カーナビは、その崖から直線方向の先に、目的地を指していました。

距離的にはもう、もうちょっとだったんです。

(うそだろ!)

私も、カーナビで崖に連れていかれるという都市伝説の話は知っていましたから、まさかそれが本当に起こるなんて、思っていませんでした。

ぞっとしました。



しかし、とにかくお客様を目的地までお送りしなければなりません。

お客様は寝ていらっしゃいました。

実は、寝ているお客様を起こすと、怒りだしてしまう方も少なからずいらっしゃるのです(ましてや、起こした地点ではまだ目的地に着いていない場合はとくに)。

一瞬起こすのを躊躇しましたが、もうどうにもならないので、お客様に大声で呼びかけて、起きて頂きました。

「お客様申し訳ございません。
いま、お客様の目的地から数百メートルの所まで来ています。
カーナビの示すルートで来たのですが、崖に行き止まってしまいました。

申し訳ございませんが、ここから目的地まで、道をご案内頂けないでしょうか?
お客様、いま、どこにいるかわかりますか?」

お客様はまだ眠かったみたいですが、

「どこどこ」

とカーナビの地図を見ると、

「ああ、ここじゃない。」

私は、

「ここから目的地までのルートはおわかりでしょうか?
できれば教えて頂きたいのですが。」

と、もう一度お願いしました。
(怒られるかと思って、内心ドキドキです。)

幸い、そのお客様は快く、

「ああいいよ。大丈夫、わかるわかる。」

とおっしゃってくださり、お客様は、そこから先、途中までルートを教えてくださいました。

ところが・・・




さっきの崖から回り込んで崖下の住宅地に入る時になって、お客様がまた寝てしまいました。

その時点で、お客様をもう一度起こす前に、車を一時停止してもう一度カーナビのルートを確認してみました。

すると、カーナビのルートがなぜか「楕円」を描いています。

(なんだこれは?どういうこと?)

実はカーナビを使っていると、時々こういうわかりにくいルートをナビが示すことが以前にもありました。

一部地域では、目的地に行くまでに、一方通行などの関係で、ぐるっと一周回らなければ到達できないような所というのが存在するのです。

ところがそういう場合、カーナビ表示はけっこう不親切で、(ルートが円になってますので)どこから入ってどこからその円から出るのかよくわからないことがあるのです。

(だめだ、わからない。)

仕方がないので、もう一度お客様に起きて頂き、

「住宅地への入り方がどうしてもわからないので教えてください」

とお願いして、お客様に誘導していただいて、やっとの事で目的地に着いたのです。

***

これが、私が経験した事の顛末です。

ナビに崖上に連れていかれた上に、その先でもわけのわからないルートを示されて、正直、最初は

「なんなんだここは?」

と思ってしまいました。
近くに「きさらぎ駅」でもあるんじゃないかって思いましたね(笑)。



上でお話ししたように、

「カーナビ通りに進んだら、崖にぶつかってしまった。」

ということが、実際に私の身に起こったのです。
だから、これは都市伝説でも何でもなくて、事実に起きることなんだとわかりました。



そして、なぜそういうことになったのかですが。
私の推測でしかありませんが、要はカーナビのGPS機能がおかしいということなんだろうと思います。

弊社のタクシーに取り付けられているカーナビは、ちょっと前まで古いタイプでした。

このため、これまでにも、いろいろなおかしなことは起きていたのです。

ナビでは大通りを横切ることになっているのに、実際に行ってみたら、大通りの中央分離帯にパイプのガードレールが設置されてて、そこは直進不可能で驚いたことがあります。

先ほども書きましたが、ルートが円になってしまっていて、このままではぐるぐる回ってしまうというおかしな状況の時もありました。
また、「ナビでは直進できるはずの道が、そこは一方通行の出口だった」ということも、私は一度ではなく何度か経験しています。

また、プライベートでナビ付きのレンタカーを借りて彼女と旅行に行った時も、旅先でナビ通りに行ったら同じ所をぐるぐる回ってしまったことがあります。



カーナビは、100%は信用できないです。

私たちが崖に連れていかれたのは、たぶん偶然です。

私は幽霊とか信じるタイプなんですけど、でも、こういうことを経験しても、それが悪霊のせいだとかとは思いにくいです。

弊社のカーナビは最近新しいタイプになりましたので、そういうことは減るのではないかと期待しています。

皆さんも、カーナビは信用しすぎないように注意しましょう。
崖につれていかれるとか、前方に中央分離帯があって進めないとか、実は一方通行の出口だったとか、実際にあることなので、そういう場面で事故を起こさないように、皆さんも気をつけてください。

ここで大事なのは、やはり

「スピードを出さないこと」

スピードを出さずゆっくり走っていれば、想定外のことが起きても対処できるからです。

安全運転をお願いします。
 

今日は、東京にある、ちょっと変わった街についてのお話をします。

 

 

 

東京は広いです。

いろいろな街があり、それぞれの街で、客層も変わります。

その中で、

「一度入ると抜け出し難くなる、まるでトラップみたいなホラーな街」

というのも存在するんです。



「入る」という表現はちょっと違うかもしれませんが、
とにかくその街でお客様にお乗りいただくと、お客様が降車した後、なぜかまた、さっきお客様をにお乗りいただいた場所に着いてしまうのです。

その街のある駅は、ある時間帯になるとお客様が急に増えるみたいです。
その時間帯に一人のお客様を乗せると、どういうわけか、降ろした後にたどり着くのは、さっきお乗りいただいた場所なのです。

すると、そこには次のお客様が待っているので、手を上げられれば当然お乗りいただくことになります。

2人目のそのお客様は間違いなくさっきのお客様とは目的地が違います。
それなのに、そのお客様を降ろした後に住宅地から抜け出すと、またさっきお客様を乗せた駅前に戻ってしまうのです。

このため、もたもたしていると、その街をしばらく抜け出せずにぐるぐる回ることになります。

初めてその街に行った時は、「なんなんだこれは」とビックリしましたね。



こういうのを聞くと、まるでホラーなお話に聞こえるのではないかと思います。
でもこれは、べつにホラーなお話ではありません。

私の推測では、街の構造と交通規制がこのおかしな現象を作り出しているようです。

先ほどの駅前からお乗りいただくお客様は、たいがいワンメーターかその先ぐらいの、比較的短距離のお客様が多いと感じています。
また、女性客が多く、目的地はたいがい住宅地の中にあるご自宅です。

すると、目的地や距離が違うといっても、それぞれの降車地が大きく何キロも離れることにはならないと思われます。
つまり、どのお客様をお乗りいただいても、だいたい似たような地域でお降りになられるということになるわけです。

そして、その街は、とにかく交通規制が厳しくて、やたらに一方通行ばかりの住宅街です。
一方通行だらけで、道も狭いので、どうしても同じようなルートでその街を抜け出さざるを得ないんです。

一方通行の規制の影響で、降車後のタクシーの向かう方向は自由ではなくなり、無理矢理「ある方向」にしか行けない状態になるわけです。

だから、最終的には同じようなルートを通らざるを得なくなり、同じような国道に出る。

「なんかここ、さっき通った気がするなぁ・・・」

街を抜け出した時に出るその国道自体は、2車線の幅のある道路です。
その道路を東京中心部に向かって上っていくと、さっきお客様をお乗せした場所に戻ってしまうという仕組みなんです。

そしてその時間帯、とにかくお客様が多い。

だから、いつの間にかピストン輸送みたいになってしまうわけです。

つまり、街の構造的な問題と道路規制と短距離がすごく多い客層。
この3つが絡まって、まるでホラー映画のようなことが起こってしまうのです。

タクシーは、いろいろなことが起こります。