当時の科学技術庁(現・文部科学省)によるクロ-ン生物の定義は、「遺伝的に同一である個体や細胞(の集合)」というもの。
受精後発生初期の細胞を使ったクロ-ン動物は、同じイギリスで1986年に誕生しているが、成体細胞の核を未受精卵に移植して生体を生み出す「完全クロ-ン」の成功は、ドリ-が初めてである。
クロ-ン技術には生命倫理の問題が取りざたされるが、食料の安定供給や医薬品開発での臨床試験など、人類の未来にきわめて有益な技術となる可能性が高い。
ちなみに、現在ではどんな組織にも成長できるES細胞(胚性幹細胞)を使った再生医療技術が注目されている。
ドリ-が妊娠して「ポニ-」を出産するなど、通常の受精卵から生まれた羊と全く変わらずに成長。
2003年に死亡したが、その名は「遺伝子時代」の本格的な幕開けを告げる代名詞となった。
写真は、ドリ-。
