8月から日本教育テレビで「ナショナルキッド」が始まった。特撮をふんだんに使い、大空を飛ぶ宇宙人を正義の味方に据えた国産のテレビ映画は、これが初めてだ。
ナショナルキッドは、あらゆる科学兵器より強く、陸海空を自由に移動し、壁などの障害物をすり抜けることも可能な、正義の万能宇宙人だ。しかし、なぜ地球に来たのかはよくわからない。第1回から、いきなり子供たちが「ナショナルキッドの歌」を歌っていたところをみると、ずっと前から地球で活躍していたのかも。また、普段は、青年科学者・旗竜作として生活しているが、この人は世界的科学者の孫だと紹介される。ということは、先祖代々、地球で暮らしていた宇宙人なのか?
いろいろと疑問は尽きないが、それでも、この番組は面白い。両手を大きく広げ、マントをはためかせながら飛ぶキッドは実に格好いいし、円盤や巨大宇宙船、宇宙人や科学兵器などが次々と出てくるから、ワクワクしてしまうのだ。
こうした空想科学的な設定に加えて、探偵小説風の展開が物語を引っ張っていく。毎回、事件に巻き込まれるのは、少年探偵団ならぬ少年探偵グル-プ。彼らが危機に陥ると、明智小五郎ならぬキッドが助けに来てくれるというわけだ。
キッドの武器も魅力的である。必殺のエロルヤ光線銃は、松下電器の懐中電灯そっくりだし、子供たちがキッドを呼ぶときに使うマジックラジオは、松下のトランジスタラジオそのまんま。電器屋で実際に売っているのだから、どうしたって欲しくなってしまうではないか。
敵役だって無視できない。平泳ぎみたいな格好をしながら空を飛んだり、何かというと両腕をX型に交差させるインカ星人は、子供ならだれもが真似しているほどだ。秋からは海底を舞台にした第2部が始まり、ますます目が離せない。
胸に燦然と輝く「N」のマ-ク。キッドという呼び名だが、かなりのお兄さんみたいだぞ。