天高く頭上を人工衛星が飛ぶ時代が到来した。昨年10月にソ連がいきなり打ち上げた「スプ-トニク1号」が端緒である。夜空をじっと凝視せよ、心の清い子供にはスプ-トニクの飛ぶ姿が見えるぞ…なるデマも飛び交い、「オレ、夕べ見たぞ」と公言する輩も出現したが、語るに落ちるとはこのことであろう。だいたい今年未明、既に墜落して燃え尽きたそうではないか。
アメリカでは余程のショックだったらしく、慌てて今年1月にはエクスプローラ1号を後追いで打ち上げた。何でも一番じゃないと気がすまない国らしい所行だ。が、こちらは重量14kg。今年5月にはまたまたソ連が打ち上げたスプ-トニク3号は1327kgというから、100分の1程度の重量だ。しかもソ連は去年末、スプ-トニク2号に犬まで載っけて飛ばしているから、宇宙での競争は圧倒的にソ連の勝ちというところだろう。
だが両国を眺め面白がっている場合でもない。日本の宇宙開発はどうなっているのか?
というわけで、我が国の期待の星が「カッパロケット」である。東京大学生産技術研究所というところが作ったロケットで、この6月には6号が秋田の道川海岸の発射場で打ち上げられ、高度約60kmにまで達したという。これは快挙…かと思ったが、これじゃ人工衛星打ち上げにはほど遠いという。だが聞けば、3年前に初めて打ち上げた「ペンシルロケット」は高度600mだったとか。3年間で百倍に伸びたのだから、今後に期待しようではないか。ただ名前が「河童」では…せめて景気よく「ダイダラボッチロケット」とか名付ければ、もっと高度が稼げるのではあるまいか。老婆心ながら提言しておこう。