原発立地自治体病院の災害時の勤務規定について | GOのブログ

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 今日もまず、春の花について。思い出に残る花は郷里の家の庭に咲いていた白いカキツバタです。誰が撮ってくれたのか、真新しいランドセルを背負った1年生になったばかりの満願の笑顔の私の足もとにカキツバタの花が写っていました(白黒写真です)。その株は庭の石垣工事をするまで、何年もそこで花を咲かせてくれました(たぶん私が生まれた頃から)。


 さて、自治体病院においては公務員としての災害時勤務規定が決められています。その趣旨として、本人や家族の受傷などやむを得ない状況を除いては、災害対応戦力となるべく速やかに参集することが求められています。なお、少数だと思いますが、長距離通勤者が勤務先でなく近隣の公的機関などに駆けつけることをもって、勤務遂行と認める病院もあります。原子力災害時に「屋内退避」や「避難」の勧告や指示が出た場合に、公務員であり市民でもある病院職員はどのような動きを取るべきでしょうか。


 当院では2012年、緊急被ばく医療措置マニュアル(http://plaza.umin.ac.jp/GHDNet/sennyu/x402-2a5.pdf )を改訂するにあたり、原子力災害時の勤務規定について協議しました。しかし、過酷原子力事故時にどの位の時間をかけて入院患者を避難させることができるかイメージできませんでしたので、勤務規定も明確なものにはなっていません。
 
 現在、国の方針で空間線量率から「屋内退避」や「避難」の勧告や指示が出ることになっており、そのことからわれわれの勤務に関する方針を立てることができるのではないかと考えています。


 管理責任対象である入院患者などをかかえる病院では、放射線業務従事者の線量限度内で、患者の避難などを遂行する責務があります。他方、線量限度の低い女性職員に対して、被ばくの危険性が低い役割(転院先での患者管理など)を設定できれば、実働職員の確保につながるものと思います。


 原子力緊急事態の基準となる空間放射線量500μSv/hが病院近くで測定された場合、院内での被ばく量を1/10に抑えられるとすると、泊まり込んだ職員の被ばく量は1.2mSV/日、線量限度(男性50mSv/年、妊娠可能年代の女性の5mSv/3ケ月)に到達するまでの猶予は男性40日、女性4日と計算されます。


 患者のみならず職員を守るためにも、十分な食料を備蓄すること、エアフィルタの設置や迅速な避難体制の確立が求められるところです。今年度1年間をかけて、当院ならびに地域の医療機関からの避難計画を、患者も職員もともに守れる計画として策定して行きたいと考えています。


 以上のような考え方について、第29回日本救急医学会中国四国地方会(平成25年5月17日・18日、出雲市)で発表する予定です(演題応募中)。