メキシコ紀行3日目パート3
やっと3日目が終わります。
前回、メキシコでの壁画運動の事に少しふれました。
時は1910年代のメキシコ革命。
35年間に及んでいたディアス大統領の半植民地的な独裁体制を打倒するために起こった民族主義的な社会革命だったのです。
白人などの一部の富裕層が”富”を独占していた一方で、原住していたインディオや混血の人々は農民が多く貧困にあえいだいたんですね。
その民族主義的な革命のもとで、白人優位でヨーロッパ的な西洋美術に取って代わったのがインディオの伝統に基づいた美術だったのです。
そしてこの革命の意義や成果を民衆にわかりやすく伝えることが重要視されたのでした。それに最も適当だったのが壁画だったということです。文字が読めない人たちにも理解できますからね。
壁画の内容は民族的なアイデンティティを目覚めさせるために、メキシコの伝統や歴史が描かれることが多かったようです。スペイン人が来る前のアステカ文明のことやその時代に語られていた神話、そしてスペインによる征服と混血。さらには明るいメキシコの将来を描いたものもあるようです。
そんな壁画が見られる建物のひとつが『国立宮殿』
1523年にアステカ皇帝の宮殿跡地に建てられた宮殿で、現存する建物は1692年に再建されたものです。
かつては国会議事堂として使われていたそうですが、現在は大統領の執務室などに使用されています。
セキュリティを越えてエントランスにはサボテンそろい踏み。
空に向かって伸びていくハシラサボテン
丸く平べったいウチワサボテン
アロエに似たテキーラの原料となるリュウゼツラン。
この宮殿には何故か猫がたくさんいるんですよ。
上の写真のどこかに隠れてますよ。
リュウゼツランの前に佇むニャンコ。
広い中庭を建物が四辺を囲みます。
久々に御本人登場です
建物の内部には沢山の壁画が描かれています。
アステカ時代の儀式の絵かな?ピラミッドも描かれていますね。
壁画の巨匠ディエゴ・リベラの描いた『メキシコの歴史』
写真に写っているのはごく一部です。壮大なスケールで描かれていますよ。修復中のため見苦しい状況でしたが、圧巻でした。
ディエゴ・リベラは日本での知名度はいまひとつですが、妻の画家フリーダ・カーロは日本でも有名な女流画家なんですよ。
国家の歴史を壁画で表現することは日本であまり馴染がないので不思議な感じがしますが、スペイン語を理解できない日本人でも容易に理解できましたよ。
夕食はホテルそばの「マリアッチ」が聴けるレストランへ。
「マリアッチ」とはメキシコの代表的な楽団のことで、7名または12名からなり、ギター・トランペット・バイオリンやあまりなじみのない弦楽器(メキシコ特有のギターの一種:ギタロンなど)を奏でます。
服装もまた非常にメキシコらしく、「チャロ」と呼ばれるメキシコのカウボーイが着る服に、ソンブレロをかぶるスタイルです。
カメラ位置が遠いですな。
生演奏をバックに声がとても素晴らしい男性が歌い上げます。メイン・ボーカル以外にも歌の上手いメンバーが美声を披露してました。
曲名は全く分からないのですが、メキシコらしい陽気なメロディで楽しくなります。
観光客の多いレストランでメニューが英語表記なので助かりました。
ビーフステーキのマッシュルームソース。肉が柔らかくてソースも香しく美味しかったです。
もちろん、タコスもいただきました。
隣のテーブルに座ったビジネスマン風のメキシコ人のオジサン。
テキーラをチビチビ飲んでいたのですが、店員に耳打ち。
マリアッチが次の曲を演奏し始めるとおもむろに席を立ちステージのほうへ。
見事にいい声で一曲歌いあげました。
お~、ここは生伴奏で歌える店なんだ!
このオジサンは歌い終えると店を出ていきました。
カラオケ文化の発達していないメキシコならではの生歌披露なんですね。
美術に音楽も楽しめるメキシコ。そんな3日目はこれにて終了です。
メキシコ紀行4日目をお楽しみに