もう、ダメ。白旗。


まるで、この世を去っててしまった人のように

毎日。折々。彼は、私の記憶に鮮やかに蘇る。


嫌が応にも、毎朝乗る紫の電車は、

彼の家へと一本で繋がっていた。

Cayenne見ると、自然と足が止まる。そして、鼓動も息も止まる。



毎日、会社でコピー・ファックスマシーンに向かい、窓辺に立つと。

彼が電話を片手に、降りてきた坂が見える。

キョロキョロと、私のオフィスを探す姿を思い出す。

上からこっそり見下ろす私に

「どこにいるんだよ」

と言いながら。


全てが鮮やかに、私の中を駆け抜ける。


会いたい。会えない。会わない。


それでも、やはり私は彼を愛しつづけるのだろう。


大好き。


言えなかった言葉を胸に。

遠く離れたあいつを想う。