産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(第 2 回)‐議事要旨
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/fintech/002_giji.html
キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務
活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流
れのことをいう。
セグメントとは、部分、断片、分割する、などの意味を持つ英単語。全体をいくつかに分割し
たうちの一つ。大規模な通信ネットワークを構成する個々のネットワーク、コンピュータの
メインメモリ上で一度にアクセスできる連続した領域、マーケティングにおける消費者を属
性で分類した同質集団、企業の決算書における事業区分、などの意味で使われる。
フィンテック企業 R3 (アールスリー) CEV(シーイーブイ)社(米国)が主導するブロックチェーン
コンソーシアム「R3」への参加
コンソーシアム:2つ以上の個人、企業、団体、政府(あるいはこれらの任意の組合せ)から成
る団体であり、共同で何らかの目的に沿った活動を行ったり、共通の目標に向かってリ
ソース(コンピュータで、動作の実行に必要な処理システムの要素や機器。)をプールする
目的で結成される。
スループットとは コンピュータやネットワーク機器が単位時間あたりに処理できるデータ量の
こと。 あるいは、その数値を使ってデータ処理能力やデータ転送速度を表す 数値の単位
は「bps」「kbps」「Mbps」で1秒あたりのデータ量をビット数で表す。
量子コンピュータ:従来のPCの1億倍高速な量子コンピューター
ディープラーニング:ディープラーニングの考えのもととなっているニューラルネットワークは、
人間の脳神経回路を真似することによってデータを分類しようというアイデアに基づくアル
ゴリズムです。
企業間取引(きぎょうかんとりひき、英: Business-to-business, B2B, BtoB)とは、製造業者
(メーカー)と卸売間、または卸売と小売間など、企業の間での商取引のこと。
アービトラージ:裁定取引(アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差
(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮
小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。
レピュテーション:世評。評判。評価。
PayPal(米eBay傘下):電子メールアカウントとインターネットを利用した決済サービスを提供
するアメリカの企業である。
XOOM社:国際送金サービス
リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設
定、リスク低減措置の決定の一連の手順をいい、事業者は、その結果に基づいて適切な
労働災害防止対策を講じる必要があります。
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1.開催挨拶、趣旨説明
2.プレゼンテーション1.FinTechの本質と全体像
2.FinTechの成立と既存金融機関への影響
3.自由討議
議事概要
1. 金融産業構造論
(1) 新産業、新サービス
(1) 総論
(ア)日本のFintechを取り巻く環境・課題
i. 日本においてFinTechが振興している業態について
○ 今後日本でも規制業種においてFinTech企業が増加するとの見解が示された。
△ 現在では情報サービスなど、大規模資本が不要である等参入障壁が低いサービス
を中心にベンチャー企業が登場しているが、今後は資産運用や個人向け融資等の
規制業種セグメントへと中心が移るであろう。
ii. 金融機関の取り組みについて
○ 日本の金融機関のFinTech投資は効果が見えやすい領域に偏っているとの指摘が
あった。
△ 海外の金融機関は人工知能に加え、ブロックチェーンへの取り組みを開始してい
る。例えば、米国R3社は世界の大手22銀行と共同で銀行間システムへの活用に向
けた検討を始めている。日本の金融機関は、不確実性が高くとも将来の期待が高
い領域についても投資を行うことが必要である。
(イ) 今後有望な技術分野
○ ブロックチェーンが今後金融業界全体に極めて大きな影響をもたらすとの認識が提示
された。
△ ブロックチェーンは金融機関のシステムコストを1/10~1/100に下げる技術とも言わ
れており、従来のFinTech企業ですら打撃を受ける可能性もある。
△ ブロックチェーンのインパクトは絶大であり、インターネットの登場、Googleの登場と
同等の重要性を持つ。
△ 銀行は制度変更等に際して発生するシステムの更改・保守のコストが高く、ブロック
チェーンによりコストダウンが図れることを期待している。
○ 一方で、ブロックチェーンの発展に向けた課題が提示された。
△ ブロックチェーンは分散型であることが大きな特徴だが、株価の価格発見機能に代
表されるように集中させることのメリットも十分踏まえ、検討する必要ある。
△ ブロックチェーンの浸透には、スループットの改善が課題である。
△ 将来的に量子コンピュータが実用化された場合に、安全性が破られないかが懸念さ
れる。
○ ブロックチェーン以外ではAIによるビッグデータ活用が有望技術であるとの認識が提
示された。
△ 現在のAIの核心的要素であるディープラーニングは、ビッグデータ活用を支える技
術であり、どれだけこの技術を活用できるかにより金融機関の競争力に大きく差がつ
くであろう。
(ウ) Fintech発展のため、官民で議論するべき点
○ 既存の規制がベンチャー企業の成長の最大の障害になっているとの意見が示され
た。
△ 一例を挙げると、資金決済法で定める資金移動の上限額が撤廃されれば、送金ビ
ジネスをB2Bに提供するなど、ベンチャー企業のビジネスを格段に拡大させることが
できる。このように、法規制やコンプライアンスはベンチャー企業にとって大きな障害
となっている。
○ 横断的規制とそれを補完するための手段の整備が必要との意見が示された。
△ 各業態の規制がそれぞれ独立に存在すると、規制の存在しない領域で、規制業種
と類似のサービスを提供する、という規制のアービトラージが起きる。このような事態
を防ぐべく、類似のサービスには類似の規制を横断的に制定することが求められる。
△ ただし、横断的な規制は総合的、包括的なものになるので、各事業者による動態
的、分析的で堅確なモニタリングとリスクの程度に応じた適切なリスクアセスメントお
よびリスクマネジメントで補完することが必要。更なる補完手段として、事業者・業界
による自主ルールの設定も求められる。
△ 例えば、現在銀行でのビットコイン取引は、レピュテーションの問題やマネーロンダリ
ングへ利用される懸念等がある。
このような課題は、関係省庁をふくめ、業界全体で対処することが必要。
(2) 消費との結節点である決済分野におけるFinTechの先行的な取組状況
(ア) 決済事業の収益性について
○ 決済事業単体でも持続的に収益を創出することが可能との意見が示された。
△ 決済サービス提供の初期コストが低下している。したがって、たとえトップラインが
低下してもコストが低いため、一定規模を確保できれば、持続的に収益を創出す
る事業である。
○ 決済事業単体での収益は非常に低いが、決済データを元に様々な事業が展開可能
であるとの見解が示された。
△ 先般PayPalが買収したXOOM社は、得られたマージンの大半がマーケティングコスト
に費やされた。決済は、標準的サービスとしての地位を獲得しなければ意味がない
が、その地位を得るためには莫大な投資が求められる。
△ 決済事業単体の収益性は低い。しかし決済を通じて得られるデータを元に、銀行は
融資できなかった人への融資、不正取引に対する保証サービス、サイト内での行動
情報を基にしたマーケティング支援等を行うことが展望できる。
(3) FinTechは既存金融サービス・既存インフラに短期・中長期でどの程度の影響を及
ぼすのか
○ ベンチャー企業にとっては、既存のインフラを経由しないサービス提供が有効である。
△ 預金や送金に参入することを想定した場合、全銀システムなど既存のインフラに依
存するとコストが高く、事業として成立しない。独自のインフラを構築することがベン
チャー企業にとって有効である。
○ 保険はFinTechにより大きく影響を受ける可能性があるとの意見が示された。
△ 情報の在り処が広がるということは、現在保険会社が担うリスク把握の価値が低く
なるため、既存の保険業が大きな影響を受ける可能性がある。
以上