遠くから7人で、僕達の生活を見学に来られました。
Als患者のTさんは、今年、分離手術をして人工呼吸器をつけた人です。
僕はTさんと会って『僕のことを信頼して受け入れている』と感じました。
それで限られた時間内に『何か1つでも役に立ちたいなぁ』と思い、生活を見せながら、情報を集めていました。
そういう中で、僕は先月難病の学会で発表された食べ方を見せていたところ。
初めて聞く話が耳に入ってきました。
その内容は、
・Tさんは刻み食を食べていたけど、最近飲み込みが悪くなってミキサー食になったこと。
・そして食事の時間に1時間掛かること。
僕はそれを聞きながら、『えっ、ドロドロのミキサー食か。このままなら、いずれ食べられなくなるだろうなぁ。1度食べている所を見てみたい。』と思いました。
その後、口腔ケアをしている時、突然『これまで玄三さんの食べ方にチャレンジされた人はいますか?』と聞いてきました。
僕は『いない』と答え、続けて『大学でも僕に続く人を期待している』と言いました。
本当にいないのです。
と言うより、チャレンジ出来る条件をクリアしている患者さんがいなかったのです。
そういう中で、Tさんはチャレンジ出来る条件を初めて8割クリアしていました。
残りの2割は、Tさん自らの『やってみよう』という気持ちです。
そうした中で、Tさんが『やる』と言うので、そこから一気に『新たな食べ方に初挑戦!』という流れになったのです。
不思議ですね!
さらに、またここで不思議なことが起こっていたのです。
それは、こういう流れになることを予想していたかのように、僕のPAのKさんが、Tさんの食べ物とスープをすでに準備していたのです。
これには驚きました。
とにかく条件をクリアしていれば、誰でも安全にチャレンジが出来ます。
そしてチャレンジする価値は十分にあると思います。
それほど簡単に食べられるからです。
そんな訳で、ここからはPAのKさん主導で、食べる準備を始めたところ。
Tさんとみんなはやる気満々!
そして食べるポジションを作って、Tさんの感想を聞いたら『キツくない』という返事。
僕はここで『よし、いける』と100%成功を確信しました。
なにを確信したのか?と言うと、ドロドロのミキサー食を卒業して、美味しい刻み食をズーッと食べられるという確信です。
さぁ、いよいよ新たな食べ方にチャレンジです!
KさんはTさんに『食べますよー』と言って、スプーンに山盛りのサンドイッチの刻み食を盛り、Tさんの口に入れました。
すると、なんと!いとも簡単に!
いや、あっけなく飲み込んで食べたのです。
それを見てみんな驚いていましたが、本人もガッツリ食べられた事に驚いたと思います。
そして食事介助をしたKさんは『玄三さんより食べさせやすい、そして食べ方が上手』と言って驚いていました。
僕も後でビデオを見たら、普通に食べて、次を催促して口を開けているTさんが映っていました。
僕はこの瞬間、2つの喜びがわき上がりました。
1つは『よっしゃー、僕に続く人が出来た!第一号だ!』という喜び。
そして次は、これまで僕は特別とか、希な人と思われていましたが、そうではなくチャレンジをすると、いとも簡単に食べられる事が証明出来た!という2つの喜びがわき上がっていました。
『やはりこの食べ方は、理にかなった食べ方なんだ』と自信を深めました。
では、なぜTさんがすぐにチャレンジをして食べられたのか?を説明します。
・先ず分離手術をしていた。
・文字盤などの道具を使わずに、横顔でも少しコミュニケーションが取れていた。
・Tさんがやってみようという気持ちに変わった。
・やらせてみたい支援者達がいた。
・Tさんが心身共に安定した状態だった。
・Tさんの体が固まっていなかった。
それとPAのKさんの『チャレンジして食べて欲しい』という気持ちが、ジワジワみんなの気持ちを変えていったからだと思います。
僕はみんなが帰った後、Kさんを呼んで言いました『君がいたからTさんは食べられたんだよ ありがとう』って。
そしたら『来られた時から食べてもらおうと思って、玄三さんのサンドイッチを少し減らして、別の皿に作っていたのです(^O^)あはははっ』と笑っていました。
僕はそれを聞いて、Kさんらしいね!と微笑みました。
それにしてもTさんは、刻み食を簡単に食べられて良かったです!
実は、これは凄いことなのです!
そして、初めて(第一号になって)新たな食べ方に挑戦して、見事に成功させてくれてありがとうございました!!
もしかしたら、これから先、これがキッカケになって、後に続く患者さん達が出てくるかも知れませんね!
※この長文は、本に載せるために書きましたが、
少しでも速くお伝えしたほうが良いと思い投稿しました。
もちろん本には載せますが、本を読まない人にもお知らせするべき情報だと思いました。
※PAとは:パーソナルアシスタントOrプライベートアシスタントの略です。
では、どんな人なのかというと、一般的にヘルパーと呼ぶヘルパーさんよりも、さらに僕の生活の全て(24時間)を知っていて、僕だけの「オーダーメイドの生活支援」をキッチリ出来るプロフェッショナル(僕の場合、介護福祉士)です。
そしてケアも含めて生活全般を進化させる人です。
つまり、僕の24時間の生活全てを知って、そのすべてをアシスト出来る人です。
例えば、身の回りのお世話はもちろんのことで、喋れない僕と会話をして、生活全般にわたる援助や外出時における移動中の介護を総合的に行い、常に僕の手足となって動いてくれます。必要なら24時間側にいます。
では僕から見て、どんな人なのかというと
・心を許せる人
・僕の心境を読み取る人
・発展的な議論が出来る
・信頼できて尊敬できる人です。
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
ALSが進行し次の治療を選択する際、どのような判断、考えを持っていましたか?に対して
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――