4・6両国国技館大会で同門の辻陽太を相手に、
IWGP世界ヘビー級王座のⅤ2に成功した内藤哲也。
その余韻が冷めやらぬなか4・13米国シカゴ大会で
ジョン・モクスリーの挑戦を受けたものの、王座陥落。
新日本の至宝が米国AEWに流失するという、
衝撃的な事件に見舞われている。
ただし、今回レポートしているのは
やはり4・6両国でのIWGP世界戦である。
■写真提供/新日本プロレス
新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトで12日にアップされているが、
内藤と辻の間に生まれた8年ストーリーをドラマとして書かせてもらった。
日体大アメフト部で活躍していた辻は、
卒業後に一般企業へと就職した。
その辻がプロレスラーを目指すことを決心したのは、
8年前にあの試合と、あのパフォ―マンスを目撃したから。
2016年の4・10両国国技館。
時のIWGPヘビー級王者であるオカダ・カズチカに勝利した内藤は、
悲願のIWGP王座戴冠に成功しながら、そのベルトを放り投げて退場。
前代未聞のパフォーマンスに心を揺り動かされた辻は、
プロレスラーを志しアニマル浜口ジムの門を叩いた。
2021年8月1日、後楽園ホール。
海外修行に出る辻の壮行試合の相手を務めたのが内藤。
辻の念願がかなった内藤との初シングル戦だった。
結果は、変型の高角度逆エビ固めで内藤の勝利。
辻を相手にデスティーノを繰り出すことはなかった。
■写真提供/新日本プロレス
内藤のIWGPヘビー級ベルト初奪取から8年が経った、
2024年の4・6両国国技館で辻は内藤のベルトへと挑んだ。
2年8ヵ月前の壮行試合で敗れたフィニッシュホールドである
変型ボストンクラブを逆に内藤に決めてみせた辻。
掟破りのジーンブラスターを繰り出す内藤。
そして、初めて食らったデスティーノで辻は3カウントを聞いた。
■写真提供/新日本プロレス
さらに、物語には続きがあった。
敗れた辻の目前で内藤はIWGP世界ベルトを放り投げてみせたのだ。
ベルトを置き去りにしたまま引き揚げていく内藤。
リングに取り残された辻は、そのベルトを見つめる。
8年前の光景を再現してみせた内藤。
■写真提供/新日本プロレス
同時に、これは内藤がかつて体験した状況でもあった。
時は遡って、2010年のこと。
次期エース候補と目されていた内藤は、
ひたすら棚橋弘至の背中を追いつづけていた。
この2010年には、なんと棚橋とシングルで4度も相まみえている。
結果は、内藤の1勝2敗1引き分けだった。
その最後のシングルマッチが組まれたのは、
12・12愛知県体育館大会のセミフィナル。
当時の内藤は、名古屋で爆発的人気を誇っていた。
館内は「内藤」コール一色に染められていた。
試合はハイフライフローで棚橋が制した。
その後、何を思ったのか棚橋はサッと引き揚げていった。
リングにポツンと取り残されたのは敗者の内藤。
なぜ棚橋は、勝利のアピールもすることなく先に引き揚げたのか?
試合後、棚橋はその意図を私に打ち明けてくれた。
それらの内容も今回の総括で初めて記している。
内藤哲也と辻陽太の8年ストーリー。
ぜひ、読んでいただきたい。
「歴史、ドラマ、生きざま……すべてを見せつけてくれたメインイベント、内藤哲也vs辻陽太戦」