25日、スターダムにとって今年3度目の開催となった

国立代々木競技場 第二体育館大会。

 

メインイベントのQueen‘s Questと大江戸隊の

全面戦争ケージマッチを前にバックヤードで

じつに面白いシーンを目撃してしまった。

 

なんと、リングの貴婦人こと桜井まいに

あの富士そばからプレゼントが届いていたのだ。

 

 

桜井といえば、貴婦人マイクパフォ―マンスが大ブレイク中。

勝っても負けても、観客は桜井のマイクに期待する。

これほど、マイクパフォ―マンスを待望される選手は、

もしかしたら、あのラッシャー木村さん以来かもしれない。

 

すこしばかり、‟お”の使い方が過剰すぎるところが

また受けている要因でもあるのだろう。

 

ちなみに、この日はセミファイナルのケージマッチで

アーティスト・オブ・スターダム選手権の初防衛に成功し、

ジュリアのマイクのあとをうけてこう語っている。

 

「代々木大会にお越しの庶民の皆様、ごきげんよう。

ドンナ・デル・モンドが初の金網マッチ、アーティストを初防衛いたしましたわ!

この金網の高さ、私が今まで行ったニューヨークのエンパイア・ステート・ビルや

パリのエッフェル塔よりも高く感じましたわ。

ワタクシたちは今夜、叙々苑で網焼きのお最高級なお肉をいただきますが、

アナタたち庶民は富士そばでコロッケそばでも食べなさい!

それじゃあ、ごめんあそばせ」

 

やっぱり、‟お”がすこし多いような気もするのだが、

まあ、そんなことはどうでもよいか。

 

もとはといえば、「庶民は帰りに立ち食いそばでもお食べなさい」

からスタートしたのだが、いつの間にか「富士そば」と具体名が出てきた。

ときには、その会場のロケーションを考えて吉野家も登場する。

 

それにしても、ここまで店名を連呼してもらったら、

ある意味、富士そばにとっては最高の宣伝だろうなあ。

 

 

そう思っていた矢先に、富士そばと提携している

ニュータッチから‟カップ冷やしたぬきそば”がワンカートン、

代々木の会場の桜井まい宛に届いたという嘘のような本当の話。

 

これ、もしかしたら富士そばがスターダムの

スポンサーに付く日が本当にやってくるかも。

 

ちなみに桜井は、庶民であるスターダムスタッフ陣に

この冷やしたぬきそばをプレゼントしていた。

 

ちなみのちなみに、立ち食いそば大好き派のワタクシ金沢のなかで

富士そばの味はかなり高ランクに位置づけされると思っている。

 

というわけで、庶民の中の庶民であるオイラによる

スクープ写真を事件として冒頭に持ってきたのだ。

 

これによって、貴婦人はますます図に乗る……

いやいや、マイクに磨きが掛かることだろう(笑)。

 

さて、肝心の大会のほうだが、かなり盛り上がった。

後半の3試合は出色の内容だった。

 

 

まず、ゴッデス・オブ・スターダム選手権では

挑戦者の白川未奈&マライア・メイ(Club Venus)が、

王者チームのMIRAI&壮麗亜美(ゴッズアイ)に快勝。

 

5・27大田区大会で中野たむとの2冠戦に敗れ、

ワンダー・オブ・スターダム王座を失ったばかりの白川であるが、

彼女はまったくめげていないし、前進あるのみという感じ。

 

タッグベルト奪取も必然の結果のように思えた。

 

セミファイナルとメインイベントは、

時間無制限でエスケープルール採用のケージマッチ。

 

 

試合開始前のバックヤードの空気も心なしか普段とは違っていた。

ケージマッチに出場する選手たちともすれ違ったり、挨拶したりするのだが、

一様にみんな緊張しているのか、表情がカタいし口数もすくない。

 

それはそうだろう。

金網に囲まれたリングのなかで

通常の試合をやるわけではない。

 

リング上からでも金網は約3メートルの高さ。

そこによじ登ってリング下にエスケープするときは4メートルほど。

ひとつ間違えば、大怪我をする可能性だって秘めている。

 

さらに、エスケープルールだから闘いかたが難しい。

相手チームよりひとり早くエスケープしたところで、

リング上は数的不利な状況に陥ってしまうからだ。

 

インサイドワーク、チームワーク、危険を恐れないパフォ―マンス。

通常の試合より何倍も神経を使うことになるだろう。

 

セミのケージマッチは、アーティスト・オブ・スターダム選手権。

ジュリア&桜井まい&テクラの初防衛戦の相手は、

岩谷麻優&葉月&コグマのSTARSトリオ。

 

スピード、連携、合体技と一進一退の攻防のなかから、

テクラ、葉月、桜井、コグマの順にエスケープ。

 

リングに残ったのはジュリアと岩谷の大将同士。

ケージ云々は抜きにしても、やはり両選手の一騎打ちは見応えたっぷり。

攻撃にはキレとスピードがあり、受けも凄まじい。

いつもながらガッチリと噛み合うのだ。

 

昨年あたりから感じていたことなのだが、やはり最高峰の攻防。

個人的見解だが、ジュリアvs岩谷こそ現スターダム最高峰のマッチアップであり、

スターダムの凄みを体現する闘いだと再確認させられた。

 

最後はジュリアが場外ダイブするようにエスケープし、

ドンナ・デル・モンドが初防衛に成功した。

 

 

試合後、ジュリアは予想外の言葉を口にした。

新設されたばかりの新日本プロレスのSTRONG女子王者。

メルセデス・モネを破る大金星で初代王座に就いた

ウィロー・ナイチンゲールとの対戦を要求。

 

しかも、新日本の『NJPW STRONG』シリーズ、

7・4、7・5後楽園ホール大会での挑戦を宣言したのだ。

 

これをナイチンゲールが受諾したため、

4日、5日のどちらかでタイトル戦が組まれることになりそうだ。

 

メインのケージマッチは、クイーンズクエストvs大江戸隊の全面戦争。

しかも、ルーザー・リーブ・ユニットと追記された通り、

敗者チームの負け残り選手がユニットから追放されるというルール。

 

さらに、大江戸隊の凶器持ち込みありという提案を

QQサイドが承諾したために一層の大混乱が予想された。

 

戦前もっとも不安視されていたのが、QQのツートップである

林下詩美と上谷沙弥の関係が5・4福岡大会以降悪化していること。

 

事あるごとに仲間割れ寸前までやり合ったり、

互いを無視したりと亀裂が入っていることは明らかだった。

 

予想通り、リング上にラダー、テーブル、イスが持ち込まれる。

20分を超える大乱闘の最中、10人が場外へエスケープ。

残されたのは詩美と鹿島沙希。

 

トーチャーラックボムを決めた詩美が金網上段へとよじ登る。

すると、場外から上谷と渡辺桃が金網を登ってきた。

桃が上谷にバットを渡す。

 

詩美との決別を促す行為に場内は騒然。

ここで逡巡した上谷だったが、

振り上げたバットで桃を叩き落とした。

 

これにて、詩美がエスケープ。

正直なところ、ファンはQQの完全亀裂を予感していたのかもしれない。

それを思えばQQの絆が復活して、めでたしめでたし……。

 

 

そう言いたいところなのだが、悲劇は大江戸隊に降りかかった。

負け残りの鹿島を他のメンバーがメッタ打ちにして追放したのだ。

 

鹿島はハイスピード選手権の現王者でもある。

そこに、前王者であるAZMが救いの言葉を投げかけたが、

鹿島は答えることなくひとりで引き揚げていった。

 

 

ハッピーエンドにして、残酷な結末。

ただし、プロレスという物語は続く。

 

鹿島沙希のストーリーが新たに始まったことも事実であり、

その去就に注目が集まっているのはチャンスの裏返しともいえるのだ。