新日本プロレスの2月・札幌2連戦は素晴らしい大会となった。

同時期の米国遠征があって、棚橋弘至もいない。

また米国遠征の目玉であった飯伏幸太はインフルエンザに感染し、

米国ツアーをキャンセルして安静中というアクシデントもあった。

 

ところが、層の厚い新日本はそういうハンディをものともせず、

凄まじいまでに内容の濃い北海きたえーる連戦を披露してくれた。

 

ワタシ個人のことを言うなら、現場に出向いたのは、

連戦2日目にあたる2・2北海きたえーる大会のみ。

 

というのも、ギリギリで知ったことなのだが、

初日の大会は新日本プロレスワールドのみの放送で、

2日目がプラス『CSテレ朝2』の生放送も入っていたからだ。

 

カード編成的には初日のほうがテレ朝放送に相応しいように思いつつ、

他のアナウンサー陣、解説陣、放送スタッフとは別行動で、

2日目の放送解説につくため単独で札幌へ向かった。

これは極めて珍しいというかレアなケース、体験でもある。

 

1日、私用のため午後10時に帰宅。

それから急いで新日本プロレスワールドを観戦。

予想通り、セミの石井智宏vsEVIL、メインの後藤洋央紀vs鷹木信悟の

NEVER無差別級選手権は”テッパン”の試合内容。

 

私の個人的なプロレス大賞で2019年度MVPに選出した

鷹木がついに新日本マットでシングル初戴冠も達成した。

 

2日は午後3時に試合スタート。

そういうこともあって早朝6時30分に起床し、

午前9時30分発のJAL便に乗り込んだ。

 

「やればできる!」

 

ふだん昼頃にのそのそと起きる私なのだが、

仕事、とくに札幌出張となれば気合が違う。

たとえ3時間睡眠でも2時間睡眠でもビシッと目が覚めるのだ(笑)。

 

で、肝心の試合のほうだが、第1試合のトーア・ヘナーレvs辻陽太戦から

いかにも新日本らしいハイレベルの闘いが続出した。

 

結果的に、この札幌2連戦を両日観戦したファンは、

ゲップがでるほどに(失礼!)新日本を満喫したことだろう。

棚橋がいなくても、飯伏不在でもこれだけの熱量と充実度。

 

東京ドーム、両国国技館、大阪城ホールでの試合と

なんら変わらぬリング上のクオリティの高さ。

 

私自身、34年近く新日本を取材していながら、

「いまがイチバン!」と太鼓判を押せるほどの闘いを満喫させてもらった。

 

2日目のセミファイナルはRPWブリティッシュヘビー級選手権、

ザック・セイバーJr.vsウィル・オスプレイ。

マーティ・スカルとともに英国三銃士と称される両雄。

とくに、この1年のオスプレイの大活躍はMVP級でもある。

 

ところが、決戦を前に興味深い事実が判明した。

過去、オスプレイはシングル戦でザックに一度も勝ったことがない。

さらに、ブリティッシュヘビー級王座は未戴冠。

今回、同王座4度目の挑戦にしてベルト奪取に成功すれば、

ブリティッシュヘビー級王座初戴冠にして、同時にザック戦初勝利となるわけだ。

 

今度こそ、オスプレイが初勝利をあげるだろう。

だれもが抱いていた予想と期待感は最後の最後に打ち砕かれた。

ただし、異次元のランカシャースタイル・レスリング、

進化したキャッチの攻防、プラス打撃戦、空中戦に会場がくぎ付けとなった。

 

観客はもちろん、放送席も同様。

こんな高度なテクニックを駆使したレスリングは、

新日本マットでしかお目に掛かれないだろう。

 

外国人同士によるタイトルマッチがここまでファンを大爆発させる。

これがなによりも新日本マットのレベルの高さ、

ファン、大衆への浸透度を象徴していた。

 

ここ数年の外国人対決を思い起こしてみたとき、

ジェリコvsケニー、オスプレイvsスカルと並ぶ文句なしの名勝負だったし、

この試合がメインに置かれていても観客は大満足で家路についたと思うのだ。

 

実況の大西洋平アナウンサーも、

解説のミラノ先生(ミラノコレクションA.T.)も、

ワタクシ金沢もとにかく唸りっぱなし。

無論、ザック押しのゲスト解説・金丸義信も感嘆。

 

この凄すぎるセミを受けて迎えたメインイベントは、

ノンタイトルのスペシャルシングルマッチである

オカダ・カズチカvsタイチという生涯2度目の一騎打ち。

 

両者がシングルマッチで相まみえるのは、

約12年ぶりとなる。

 

2008年4月12日、埼玉・蓮田市総合市民体育館。

オカダ……ならぬ、岡田かずちかの新日本プロレス正式デビュー戦。

迎え撃ったのがタイチ…ならぬ、石狩太一。

 

結果は、9分ジャスト。

顔面への低空ドロップキックを決めて石狩が快勝している。

 

あれから12年、シングルで交わることがなかった両者。

ヘビー級とジュニア戦士という括りの違いもある。

ただし、もっとも大きな理由はタイチ本人も認めている通り、

オカダ・カズチカがあっという間に階段を駆け上がり、

新日本の東の横綱に昇進してしまったから。

 

一方のタイチは幕内になんとか踏みとどまってきた。

NEVER無差別級王者になったころ、

平幕からようやく小結まで番付を上げて、三役を経験した感じだろう。

 

そういえば、前日の前哨戦で徹底してオカダをいたぶりつづけたタイチは、

マイクを持って「北海道のクソ田舎野郎ども!」と観客を挑発。

さらに、「さっさと家に帰って、落花生で豆まきでもしてろ!」とつづけた。

 

おいおい、タイチは札幌に隣接する石狩市の出身じゃないか。

タイチ専属ディーバのあべみほも同じ石狩市出身。

ちなみに私は帯広市の出身、まあ田舎ものといえば田舎ものだけど(笑)。

 

あと、「落花生で豆まき」発言には新鮮な驚きと懐かしさを感じた。

そうそう、すっかり忘れていた。

北海道全土がそうなのかは知らないけれど、

帯広でも豆まきといえば落花生だった。

 

考えてみると、撒いた落花生の殻を破ってちゃんと食べられるのだから、

じつに衛生的だし、これもまた北海道独自の文化といえるのだ。

 

石狩市で生まれ育ったタイチは、

中学、高校時代、旧・札幌中島体育センターで興行があると、

かならず観戦に訪れていたという。

 

中学生のタイチ少年は、すでにテレ朝『ワールドプロレスリング』の

看板アナウンサーであった田畑祐一アナにお願いして、

一緒に記念撮影をしてもらったこともある。

 

今回、メインを実況するのは、その田畑さん。

まさに、時のいたずらだね、苦笑いだね(by松山千春)。

 

ところで、試合開始前にその田畑さんが言っていた。

 

「どうもタイチは凄く緊張しているみたいですよ。

音楽を聴きながらランニングしていたんだけど、

完全に自分の世界に入っている感じで声を掛けられなかった」

 

 

さあ、見せてもらおうじゃないか!

横綱vs平幕の一騎打ち。

無冠といえども、オカダはやはり最強横綱である。

 

いやはや凄まじい30分53秒という激闘だった。

ここ1~2年のタイチはビッグマッチ、つまり格上の相手と闘うたびに、

自身のベストバウトを更新しているような気がする。

 

紛れもなくタイチのベストバウト。

IWGPヘビー級王座が懸かっていてもおかしくない、

そう思わせるほど濃い内容でオカダを追い込んだ。

 

顔面へのステップキック、ジャンピングハイキック、

デンジャラス・バックドロップの連発。

 

さらに、両手に唾して「オー!」の雄叫びから、

綺麗なバックドロップホールド。

 

なんと、打ち抜くカタチの強烈なエルボーまで放った。

 

天龍源一郎が出て、川田利明が出てくるのはいつものパターン。

なんとそこにジャンボ鶴田さん、三沢光晴さんのムーブまで飛びだした。

 

まさに、ひとり全日本プロレス状態。

ただし、トドメのオリジナル技ブラックメフィストは未遂に終わり、

カタカナに名前を変えたオカダのレインメーカーに散った。

 

場外に転がり落ちたタイチは、

場外マットを何度も叩いて悔しさを露わにした。

 

タイトルマッチ級のメインで大勝負の末、敗れた。

もちろん、そこに涙などはなかった。

 

 

タイチは一度だけリング上で涙を流したことがある。

2010年6月6日、メキシコのアレナメヒコでメインイベントを闘ったあとのこと…。

 

メキシコCMLL遠征に出てからわずか3カ月で大ブレイクしたタイチ。

日本人らしからぬ端正な顔立ちで長髪をなびかせるタイチに現地の女性ファンは熱狂した。

もちろん、ルードとしてやりたい放題。

そのギャップがメキシコで大ウケしたのだ。

 

その集大成となったのが、6・6アレナメヒコ決戦。

因縁のマキシモを相手にした髪切りマッチでの完全決着戦だった。

殿堂のアレナメヒコでシングルマッチのメイン。

なかなか経験できない檜舞台である。

 

結果、敗れたタイチはリング上で丸坊主にされた。

長髪にハサミが入り、さらにバリカンで刈られていく。

 

アグラをかいて座り込んだタイチの目からみるみる涙がこぼれ落ちた。

 

「悔しかったんじゃないんですよ。

ホッとしたんです。

アレナメヒコのメインを務めあげることができた。

観客が大爆発してくれた。

ホッとして緊張感から解放されたら、もう涙が止まらなかった」

 

もう、10年近く前のこと。

当時、文字通りの好青年だったタイチは、

涙のワケをそう私に教えてくれた。

 

あのころのタイチはもういない。

いるわけもない。

そこには向上心の塊であって、

新日本で闘うことに誰よりもプライドを持つ男がいる。

 

北の国から‘20凱旋。

タイチ、しっかりと見せてもらったぞ。

 

●おまけ

 

先だって、シッシーこと宍倉清則さん(元・週刊プロレス編集次長)から

年賀ということで、いいものを送っていただいた。

 

渋谷のパルコで「北の国から展」が開催されていたのは知っていたが、

そこに宍倉さんは二度足を運んだという。

 

私も「北の国から」には相当な思い入れを持っているのだが、

宍倉さんは私の比ではないほどの「北の国から」マニアだ。

 

 

どう?

分かる人ならすぐピンとくるでしょう?

分からない人にはなんのことやらか…。

 

「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」は、

田中邦衛が演じる五郎(父さん)の名セリフなのだ。

 

もうひとつ、札幌の宿泊先ホテル近くのコンビニで

懐かしすぎるものを発見し、思わず買ってしまった。

 

 

ビタミン カステーラ

 

小学生のころ、駄菓子屋やスーパーでよく買って食べたよなあ。

もちろん、当時コンビニなんてものは帯広に存在しなかった。

 

たしか、40円だったと記憶しているのだが、

なんと97円で売っていた。

50年近く前に40円だったものが、まだ97円だよ!

 

自宅まで持ち帰って食してみた。

マジかー!

美味い、かなり美味い。

 

こんな美味しかったかなあ?

パサパサ感がなくて、カステラというよりシフォンケーキに近い食感。

 

早速、北海道各地に在住の幼馴染たちに

ラインで写真を送ってみた。

 

「へぇー、今でも売ってるんだ!」

 

「あ、今もコンビニに普通に置いてあるよ」

 

札幌、帯広、函館、室蘭と友人たちからの返答はさまざま。

おそらく、オジサンになったから気付かないだけで、

北海道のコンビニにはだいたい置いてあるのだろう。

 

北海道に行った際には、

ぜひとも購入して食べてみて!

 

北海道は六花亭だけではない。

こんな大衆的なお菓子も美味しいのだからね。