11月22日(木)発売のDVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』は、

今回がちょうど記念すべき30号目となる。


38万人熱狂! 北朝鮮「平和の祭典」を見たか!?のタイトル通り、

1995年4月28~30日、北朝鮮・平壌で行なわれた

『平和のための平壌国際大会・文化祝典』の中から、

最初で最後の顔合わせながら歴史的名勝負となった

アントニオ猪木vsリック・フレアーを収録。


また、アントニオ猪木レスラー生活30周年記念大会である

1990年9・30横浜アリーナ(メモリアル・フェスティバルin横浜アリーナ)から、

猪木&タイガー・ジェット・シンの怨念を超えたタッグチーム結成

(vsビッグバン・ベイダ―&アニマル浜口)と、

猪木の歴史を彩るライバルたちが一堂に会した

感動の豪華セレモニーの模様などもおとどけする。


では、全試合ノ―カット収録(109分

DVDのメニューをご紹介。


①”全女魂”を見せつけた激闘!!

ブル中野vs北斗晶

(1995年4月29日、北朝鮮・平壌メ―デ―・スタジアム)


②力道山”直弟子”の勇姿に19万人の大歓声轟く!!

アントニオ猪木vsリック・フレアー

(1995年4月29日、北朝鮮・平壌メ―デ―・スタジアム)


③レッドブル軍団の猛者をパワーで圧倒!!

長州力vsビクトル・ザンギエフ

(1989年12月31日、ソ連・モスクワ市ルイ―ジニキ室内競技場)


④五輪金メダルの英雄柔道家と越境タッグ!!

アントニオ猪木&ショ―タ・チョチョシビリ

vsマサ斎藤&ブラッド・レイガンズ

(1989年12月31日、ソ連・モスクワ市ルイ―ジニキ室内競技場)


⑥闘魂30周年、ライバルたちも集ったメモリアル!!

アントニオ猪木&タイガー・ジェット・シン

vsビッグバン・ベイダ―&アニマル浜口

(1990年9月30日、横浜アリーナ)



                    金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba



①平和の祭典に帯同した全日本女子プロレスのビッグ2、

”女帝”ブル中野と”デンジャラスクイーン”北斗晶の一騎打ち。

初日はブル&北斗が最強タッグを結成し、

全女のエース・豊田真奈美&新星・吉田万里子と対戦。

その試合も19万人と発表された観客を大いに沸かせた。


迎えた2日目にも超満員19万人の観客を動員し、

なんと2日間の合計が38万人という空前の大観衆を記録。

ただし、実券を買ってきた人よりも、国家行事として

強制動員(?)された人のほうが多かったのではないか?

当時もそう感じていたし、今は間違いなくそうだと思っている。

その証拠に、サクラの集団と思われるある一角からは、

沸くような場面ではないのに、突然、拍手・歓声があがることもあった。


ただし、この女子プロ最高峰対決は、じつに分かりやすい。

どう見てもブルはヒールだし、北斗がベビーフェイス。

容赦ないブルのラフ&パワー攻撃に青息吐息となりながらも、

スピード&空中戦で盛り返していく北斗。

さすがに、両者ともアメリカ、メキシコでトップを経験しただけのことはある。

見事に、観衆を掌に乗せた試合だった。


2日間、平壌メ―デ―・スタジアムで行なわれた全試合の中でも、

大トリの猪木vsフレアーに次ぐインパクトを放った好勝負だった。


②日本でも米国でも交わることのなかった両雄による

最初で最後の一騎打ち

アメリカンプロレスの象徴であり、ミスターNWAとして

NWAスタイルの権化ともいわれるフレアー。


一方、カール・ゴッチから受け継いだレスリングをバックボーンに

新日ストロングスタイルを構築した猪木。

ただし、猪木もまたパフォーマンスという観点で言うなら

アメプロの天才なのである。


試合は、「ホウキ相手に試合ができる」達人同士の闘いとなった。

もう、言葉はいらないだろう。

プロレスを知り尽くした両雄が、

力道山の生まれ故郷であり、

プロレス未開の地である北朝鮮で、

プロレスとは何たるか?を教科書のように見せつける。


この試合に対する拍手、歓声、声援は、

明らかに他の試合のそれとは違っていた。

私個人の感想を言うなら…

この一戦を現地で生観戦・取材したときの感動、

夢のように過ぎていく時間、その感覚が今でも忘れられない。


③④1989年4月、新日本は東京ドームに初進出した。

プロ野球以外にドームで興行を開催したのは、

歌手の美空ひばり、伝説のロックバンド・BOØWY、

ボクシングのマイク・タイソン(vsトニ―・タッブス)だけ。

新日本プロレスは4番目となる快挙を達成する。

(※↑読者のかたのご指摘により修正しています!)。


興行の目玉は、ソ連のレッドブル軍団と称されたレスリングの猛者たち。

さらに、ミュンヘン五輪柔道金メダリスト(軽重量級)のチョチョシビリ。

このソ連との提携は猪木の直接交渉が実を結んだものだった。


同年7月、猪木は参議院議員選挙(比例代表)に当選し、

半年ぶりの復帰戦の舞台としてモスクワの地を選んだ。


まず、レッドブル軍団のなかで一番プロレス向きと

言われたザンギエフが長州と対戦。

しかし、まだまだキャリア不足で、

長州が赤子の手をひねるように完勝している。


猪木は二度にわたり異種格闘技戦で対戦した(1勝1敗)

チョチョシビリと日ソ・ドリームコンビを結成。

相手はマサ斎藤&レイガンズの日米・五輪レスラーコンビ。


試合は決してエキジビションマッチ的な展開とはならない。

半年のブランクを感じさせない猪木のスタミナと受けの凄み。

本物のベースを持った男たちの意地の仕掛けなど見どころたっぷりだ。


⑤25周年大会ではレオン・スピンクス相手に凡戦を展開し、

大いに株を下げてしまった猪木だったが、

政治家に転身してから迎えた30周年大会は、

最高にエキサイティングで感動に包まれるシーンの連続となった。


新日本を旗揚げして最初のライバル、宿敵となった

狂虎シンとの初タッグを結成。

対角線には、最後のライバルと言っていい

ベイダ―が仁王立ちしている。


リングサイドには、長州と闘魂三銃士が陣取る。

彼らがしっかりとセコンドで脇を固める中、

猪木はシンのフォローを受けながら、闘将・浜口にフォール勝ち。

大歓声のなか、三銃士が組んだ騎馬に乗った猪木は花道を退場。

アリーナは、引退試合と言っても不思議ではないような空気に包まれた。


また、猪木の闘いの歴史を彩るライバルたちが集結した

必見の記念セレモニーも収録されている。


このDVDでは著作権の関係で使用できないのだが、

記念セレモニーで入場するときの猪木のテーマ曲は、

『炎のファイター』ではなく映画『炎のランナー』のテーマ曲(ヴァンゲリス)。

先のロンドン五輪の表彰式でもこのテーマが流れたので、

記憶している人たちも多いだろう。


そして、猪木のライバルたちを1人ずつ紹介し

呼び込むのが舟橋慶一アナウンサー。

メッセージを通訳するのがケン田島さん。

進行に関しても役者が揃った感がある。


セレモニーに登場するのは、ル―・テ―ズ、ニック・ボックウィンクル、

ジョニー・パワーズ、タイガ―・ジェット・シン、ビル・ロビンソン、ヒロ・マツダ、

ウイリエム・ルスカ、アンドレ・ザ・ジャイアント、スタン・ハンセン……

そして、ラストがジョニー・バレンタイン。


1966年10月の東京プロレス旗揚げ戦で

伝説となる名勝負を展開した両雄。

映像が残っていないこの一戦を

猪木最高の名勝負に推す関係者も多い。

故・菊池孝さんは「自分が取材したなかで生涯のベストバウト」と位置付けしている。


猪木に初めて闘魂を宿らせた男が、

このバレンタインと言っていいのかもしれない。

毒針殺法と称されたエルボードロップの名手で、

日本マットでは”金髪のジェット機”あるいは

”金髪の妖鬼”の異名で活躍していた。


1975年、移動中の飛行機(セスナ機)の事故で

再起不能の大怪我を負って現役を引退。

ちなみに、同じ飛行機にはグリーンボーイ時代の

リック・フレアーも乗り合わせていた。


松葉づえを付いたバレンタインが、

自力で一歩一歩を踏みしめながら

リングへと近づいていく。


アリーナは「ジョニー」「ジョニー」の大合唱。

一度立ち止まって大観衆で埋まった会場を

グルッと見渡すバレンタインの笑顔が最高にいい!


猪木も最高の笑顔でバレンタインと抱擁を交わす。

他の招待選手たちも、拍手でバレンタインを迎え入れた。

もう、この場面はたまらない。


この後、猪木は8年も現役を続けるわけだが、

これで引退しちゃってもよかったのでは……

そう思ってしまうほど、すべてのシーンが心に響いてくるのだ。


今回の『燃えプロ』30号は、超おススメ!


なお、マガジンのほうでは、

私がけっこう頑張っている(笑)。


DVD収録の全試合の見どころ解説から始まって、

新日本プロレス事件簿では、

『健介&北斗、愛のなれそめ秘話』と題して、

”平壌の恋”を事件として(ウソです…)、

目撃者として(これはホントです!)、

微笑ましい恋物語として書かせてもらった。


さらに、プロレス雑学王30回目は、

『死ぬまでプロレスラー! 引退なんかしたくない!?』のPARTⅡ。

ここでは、理想の引退試合として、

1998年4・30後楽園ホールで行なわれた

保永昇男の引退試合と”職人レスラー”保永の

おもしろ不思議エピソードをつづっている。


今回おそらく私が初めて書く

エピソードや秘話が満載なので、

ぜひ読んで楽しんでもらいたい。


あっ、『魂が震えた新日ベストバウト!』第10回には、

キヨアナこと清野茂樹アナウンサーが登場。

キヨアナならではの観点でベストバウト3を語っている。


燃えろ!新日本プロレスvol.30

『38万人熱狂! 北朝鮮「平和の祭典」を見たか!?』

11月22日(木)発売!

発行元=集英社

定価=1680円


隔週木曜日、まだまだ50号まで突っ走るぜ!

これ、マジ…!