まず紙の元となる紙液を作り、枠の中に液体を流し込み、厚みを均一にします。
その後、タオルの上におき水分を取り、あとは乾かすだけ。
これであなたも簡単にハガキ職人に!


「ありがとうございましたー。」
僕はコンビニで50円を支払い、ハガキを手に入れた。
さあ、後は家に帰り服を全て脱ぎ捨て裸一貫、ひたすらに懸賞ハガキを書き続け、懸賞品だけで生きていくのだ。よし、名前も変えてしまおう。「きのこ…きのこの懸賞生活だ!」いや、ここは「きゅうり」とかそっち系の野菜の方が良いのか?うーん、もっとしっくりくる野菜があったような気がするんだけど、紫の…キャベツ?

違う、違う。僕にはRadioWave(電波)Boy(少年)的な生活は待っていないはずだ。Radio…?そうだラジオだ。僕にはラジオにハガキを出すという使命があったのだ。夏になると中華料理店がこぞって冷やし中華を始めるように、尾崎豊が若者の気持ちを代弁し叫び続けるように、ペリーが黒船でやってきて鎖国していた日本を開国へ導いたように(そういえばグラビア界の黒船ことリアディゾンは何処に行ったのだろうか、今もまたどこかで鎖国している国を開国へと導いていてくれるといいな)。僕にはラジオにハガキを出すという使命があった。そして使命感に燃えている。

芸人という立場から、「ラジオにネタのハガキでも送るのかコノ野郎、ニクイねーこのこのー。」とお思いの方もいるかもしれません。
だが、残念ながら、その思いは敗れることになる。無念。泣き崩れる読者達、膝から崩れ落ちたため、膝小僧はすり傷がたくさんだ。哀しみにくれながらも、手は勝手に動いている、身体が勝手に反応しているではないか、地面の砂を集め、各々の袋に入れだした。トートバッグ、リュックサック、内ポケット、ズボンのお尻ポケット、巾着袋、給食袋、お袋、堪忍袋、胃袋…皆さん、人生において大事な袋が3つ。。。

「○○プレゼント係」僕はハガキの表にそう書き、ハガキの裏にはプレゼントに対する思いを綴った。
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き・・・・・こわい。これでは、イジメラレっ子が怨念たっぷりにノートにメッセージを書きなぐっているものと勘違いされるのではないか。待てよ、「死ね死ね死ね死ね死ね」と書かれていたあのノート、実は『死』という字の漢字練習帳だったのかもしれない。もしくは死を見つめ続ける哲学的な思想の持ち主?〈メメント・モリ=死を想え〉的な。

よし、メッセージは普通に書こう。問題は、インパクトだ。
ハガキの角を折ってみる。
紫色のペンを使ってみる。
結局、懸賞ハガキの書き方に近づいてしまった。
いつもふと思い出すことがあるのだが、昔見ていた学習教材のイラスト投稿コーナーに載っているイラストハガキに書かれていた言葉。
「のせてー」
初めて見たときは、違和感を覚えずにはいられなかった。何かの暗号?隠されたメッセージ?僕だけが知らない流行言葉?
答えは簡単。掲載されたいという強い気持ちが先走るあまり、肝心のイラストを殺す勢いでデカデカと書かれた涙のメッセージなのだった。そのあまりのメッセージ性にこちらも涙が零れそうになる。想像してみて欲しい、金八先生が最終回スペシャルで涙でグシャグシャになった顔で言う「のせてーーーー!」
恐ろしくて涙が止まらない。

大事なのはハガキそのものじゃない、ハガキの投函の方法だ。
5メートル先の郵便ポストに向かって、おもむろに準備をすること25分。
さぁ、スイッチONだ。
ビー玉を転がす、レールを転がり、ドミノが倒れ、通過するたびに旗が上がる、落とし穴へ落ちてポケットへイン、その重みを利用してくす玉が割れるPAN!、くす玉から零れ落ちた人形が、ビー玉に触れまた進みだす。ハガキに付けられていた輪ゴムのストッパーが外され、その勢いでポストの中へゴーーーーーーーール!
我ながら完璧なピタゴラ装置だった。
大きな満足感とともに、ポストを後にする。
そういえば一体何のプレゼントに応募したんだっけ?
商品の発送を持って知ることにするか。




匠たちのおやつ戦争も一段落したその時、謎の転校生の登場に牙城が崩れつつあった。
世界中のハガキ職人よ、オラに力を~!

次回!
第5ポスティング「強敵 ハガキ超人の逆襲!」

絶対、見てくれよな☆