朝日「不適切」、産経「お答えしない」=黒川検事長と賭けマージャン報道
週刊文春電子版が報じた東京高検の黒川弘務検事長(63)の賭けマージャン疑惑で、社員が同席したとさ.......... ≪続きを読む≫

結論からいうと、何からの処分は必要であると考えます。しかし、ネット上の多数とは理由が異なります。

 

まず、「賭け麻雀」ですが、わが国では雀荘で公然と賭け麻雀が行われています。もちろん、警察もそういった事実があることは知っています。しかし、よほど悪質なものを除いて摘発されません。そして、雀荘は風営法上の許認可業であり、雀荘経営それ自体も国家(都道府県)がお墨付きを与えています。「賭け麻雀」それ自体で非難されるのだとすると、わが国の雀荘すべてを摘発しないと整合性が採れません。

 

もちろん、そういう立場もあるでしょうが、雀荘でやり取りする金銭は所詮「小博打」です。どの程度の金銭が「小博打」なのかは評価のわかれるところですが、いずれにしても、警察の指導、指示のもと「賭け麻雀」は黙認されています。つまり、警察の指示、指導、業界慣習、ルールに従う限り、何らとがめられる性質のものではないと考えます。少なくとも、小生は「賭け麻雀だから非難に値する」という立場には与しません。

 

また、検事長という要職にある人物が賭け麻雀をすることがけしからん、という意見もありますが、上記のルールに従えば職業問わずだれでも雀荘で「賭け麻雀」ができます(ただし、暴力団関係者と18歳未満は除く)。検事長だからNGというのは、一種の職業差別です。

 

その上でとがめられるべきは、上記ルールを大きく逸脱した場合と、公務員としての公平性・中立性が疑われる場合です。

 

まず、「小博打」とは到底いえないくらいの高レートであったり、自宅等風営法や警察の指示、指導の範囲外にあったりするような「賭け麻雀」は摘発されるべきでしょう。まあ、仲間内の「小博打」であれば、雀荘外でも警察はいちいち摘発しませんが、さすがに検事長クラスの大物が、小額のレートで満足するはずがないので、おそらくは摘発対象となり得る高レートになる可能性はあります。

 

それ以上に問題なのが、接待の疑惑です。実際に接待麻雀が行われていたかどうかは、内部告発や自白でもない限りわかりません。しかし、検事長と報道記者が密会で賭け麻雀をしていたということそれ自体、公務員の中立性・公平性に多大な疑義を抱かせるものです。記者のハイヤーで帰宅したことも問題です。癒着といっていいかもしれません。こうした疑念は検察庁ひいては公務員全体の職業倫理にもとることですので、厳しく追及されなければなりません。場合によっては、黒川氏と記者の国会証人喚問も必要になります。

 

他方で、「賭け」それ自体をとらえて、過度に非難することは物事の本質を見失います。ややもすれば、単なる「不謹慎」レベルで終わる話です(コロナの時期的なものも含めて)。真に追及すべきは、黒川氏の検事長としての中立性、公平性の問題です。