今日は、その昔、『東京の三大蒔絵師』とも謳われていた内の一人、広山(故人)氏の素晴らしい螺鈿蒔絵の装飾が施された、大変華やかな礼装用のかんざしをご紹介させて頂きます。残念ながら、これだけ繊細で見事な螺鈿金蒔絵を描ける蒔絵師も、今ではもうほんの僅かとなってしまったのではないでしょうか。
近年、和装業界では、“本物”(上質で、本当に良い品)を作り出す(出せる)職人も工房も、ものすごい勢いで減少(廃業)しています。若手の作家さんや後継者も頑張って、育っているとも耳にしますが、減少し続けている現役の職人の「数」には、とても追いつきません。このままの状態が今後も続けば、ごく近い将来、“本物”を手にする事が、非常に困難、または不可能となってしまうかも知れません。
当然、時代の移り変わりとともに、ライフスタイルも、“モノ”に対する価値観も昔と比べ多様化し変化しています。「本物」を求める(分かる)方が少なくなって行けば、全体の市場も縮小して行き、今までの「需要」と「供給」のバランスも崩れて行きます。その結果、自ずと供給する側(職人、工房、そして小売店)も立ち行かなくなり次第に減少して行きます。
機械ではなく、人の手によって作られるモノづくりの技術は、一度途絶えてしまうと、もうそこで終わりになってしまいます。今まさに、日本の伝統工芸、モノづくりの大ピンチです。
さらに、益々この流れが進行して行くと、今度は、折角“本物”を求めようとする方、またご興味を抱いている方などがいらしても、商品も、小売店も減少する中、実際に“本物”に出会える機会もとても難しくなっていきます。今まさに、負のスパイラルが始まっているのです。
かなめ屋の取り扱う和装小物全般、特にべっ甲かんざしや帯留の世界でもそうした負の流れは確実に増しています。実際に、櫛のある種の繊細な波型の“歯”を引く職人も、芝山(しばやま)職人も、すでに最後の職人が居なくなりもう作れなくなってしまったモノ(技術)も御座います。
そのような中で、私ども小売屋、専門店の立場で出来る事と言ったら、少しでも多くの方に“本物”のかんざしや帯留を店頭やソーシャルネットワークなどを通じ、ご紹介、ご覧頂き、その素晴らしさを丁寧にお伝えしながら1つでも多く販売して行くことだと思っております。
そうすれば、度々申し上げていることですが、つい先日も書かせて頂いた通り、また新たな商品の制作を職人さんや工房へも発注出来ますし、そして何より本物を求められているお客様にも喜んで頂けます。「製造元」、「小売店」、そして「本物を求めるお客様」の中で、上手く流通して行けば、そしてその好循環が少しずつ増えて行きさえすれば、必ずしも和装業界の未来を悲観する事もなくなるのでしょうけれどね。
・「やっと出来てきた!WIN!WIN!WIN!の関係。」ブログ2015年07月11日号
丁度この記事を書いていたら、お馴染みのお客さまで、日本橋で和装に携わる会社を経営されているご主人がお立ち寄りになり、こんなことをおっしゃっていました。
『ウチでお願いしている腕利きの職人はもう80才超だよ。後継ぎも居ないからもう終わりだね。私ももう60才を超えているって言うのに、ウチの業界ではまだ“青年部”だよ。若手が入って来ないから仕方ないんだけれど、もうやんなっちゃうよなぁ...。』と苦笑いされていました。
でもこれが現実なんです。急いでどうこうなるものでもありませんが、かと言って、それ程ゆっくりもしていられないような気がします。
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、その素晴らしい日本の伝統工芸の技術の詰まったべっ甲かんざしをご覧ください。
ご覧になる角度、光の当たる角度により、螺鈿金蒔絵が様々な表情の色に変化しながら美しく輝きます。また、この美しい色合い、輝きは、色褪せることなくほぼ一生のものです。
・べっ甲菊螺鈿金蒔絵かんざし 【abkbf150827-1】¥288,000+税
(蒔絵:広山作。大きさ:約縦143㎜、横92㎜)
一生に一度の晴れの舞台、結婚式などに出席される新郎新婦のお母様、ご親族の方、またご列席されるお客様も、是非べっ甲のかんざしをお勧め致します。べっ甲であれば、大切に保存して頂ければ、一生持ちますし、べっ甲職人が磨けば、ほぼご購入当時のべっ甲本来の輝き、美しさが何度でも蘇ります。また万が一、足などが折れてしまっても修復が可能です。そういった意味からも、べっ甲は次の世代へも受け継いで頂ける素晴らしいかんざしです。
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