まだ梅雨入り前だというのに、今春は本当に雨の日が多いですね
今日もどんより曇り空
から雨
が降って来ました
<蛇の目のかんざし>
さて、そんな雨模様の今日ですが、今回は『蛇の目』のお話しを少々・・・
よくかなめ屋に『番傘』置いてますかぁとご来店されるお客様がいらっしゃいます。
かなめ屋では『番傘』は置いていませんけど、『蛇の目(傘)』は置いてますよと言います。
んんっ『番傘』と『蛇の目』って違うの
どこが
<高級蛇の目(羽二重・中入(なかいり))¥46,200>【完売】
まず、『番傘』とは、その昔一般庶民の間で使用されていた雨具(傘)のことを指します。時代劇とかでよく飲み屋などの店先に置傘などとして置いてあったり、浪人が持ったりしている傘です。今でも専門店などで1万円前後で手にすることが出来ます。蛇の目に比べ全体的に“ごつく”、少し太身の和傘を指します。“傘お化け”のように持ち手に向かって太くなっています。また、一般的には男性が持つことが多いようです。
<番傘>
『蛇の目(傘)』とは、傘の内側に糸飾り等が施され、おや骨と呼ばれる太くて長い部分は朱色に染められていて、裏から見るととても綺麗です。また、『番傘』に比べその形は美しくほっそりとしています。そのため、一般的には女性が持つことが多いようです。
<上:紙蛇の目¥18,900【完売】 下:高級蛇の目(羽二重・中入(なかいり))¥46,200>【完売】
『蛇の目(傘)』はその製作過程において大きく分けて3つの工程があり、それぞれに専門の職人『骨師』、『張り師』、『仕上げ師』がいます。(細かく分けると100近くの工程になります。)
『骨師』とは、簡単に言うと傘の“骨の削り出し”と“骨組み”を製作する職人のことを言います。簡単にと言っても、後から張 られる紙と糸が骨の間に入ることを計算に入れ、まず一本の太い竹を蛇の目の形になるよう太い、細いを調整をしながら削り出します。それをその後、今度は数十本に削り出し、骨組みを作っていきます。
『張り師』は、骨師が作った骨組に紙を張るのですが、何十回、何百回と雨に濡られながら閉じたり開いたりしても痛まず、剥がれたりしないよう紙を調整しながら貼っていきます。また傘を開いた時もそうですが、閉じたときも美しい円筒形が形作られるよう配慮します。まさに熟練の技が要求されます。
『仕上げ師』は、出来上がった傘に油を塗り、天気のよい日によく乾燥させます。こちらも一見簡単そうに見えますが、この時の油量が多過ぎると紙がくっつき傘が開かなくなったり、また少な過ぎると今度は雨が裏側へ染み出して来てしまいます。最後に骨の上に漆 (カシュー)を塗ります。
また、蛇の目にはいくつかの種類があって、普通の和紙(油紙)を貼った『紙蛇の目』と『羽二重(はぶたえ)』と呼ばれる“和紙”と“薄い絹”を重ね合わせた羽二重生地を使用したものがあります。『羽二重(はぶたえ)』は通常の『紙蛇の目』より格段に丈夫で比較的長持ちします。また絹を使用することにより色も鮮やかになり、『蛇の目』の中ではもっとも高級品
とされています。
因みに、『羽二重(はぶたえ)』の骨の数は48本ですが、『紙蛇の目』の骨の数は44本で、大きさも若干小さく、作りも細かいところが簡素化されています。
<開いた傘を留める細工も羽二重(左)の作りに対して紙蛇の目(右)は針金を使用し簡素化されています。>
そして、本来『蛇の目(傘)』とは、左の写真のように「中入(なかいり)」と呼ばれる“白い帯”の入った物を指します。上から見るとちょうど“蛇(へび)”の“目”のように見えることから呼ばれていました。しかし現代では紙と竹を使用している細身の和傘を総じて『蛇の目(傘)』と呼んでいます。
※「中入(なかいり)」のことを「助六(すけろく)」、「白抜き(しろぬき)」などと呼ぶ事もあります。
最後に蛇の目の差し方ですが、左の写真のように2箇所の留め具により2段階に傘の開き方を調整することが出来ます。通常は下段の留め具のところまで傘を広げ、若干“半開き”で差すのが粋な蛇の目の差し方です。“アイアイ
傘”やちょっと大降り
のときは上段のところまで傘を広げて差します。
※当店でお買い上げの蛇の目傘には、蛇の目の上部、頭紙(ずがみ)のところに、無料にて手書きでお名前を入れさせて頂きます。(1文字~3文字程度、2、3日お預かりいたします。)
※残念ながら羽二重傘(手漉き美濃和紙と絹の羽二重仕立て)の新たな入荷はここ4,5年御座いません。現在の品揃えは油をひいた和紙に、カシュー漆仕上げを施した若干小振り(骨数44本)な和紙の蛇の目傘のみになります。また品揃えの内容(色、中入り/無し)は日々異なります。詳しくはお気軽にご来店、またはお問い合わせください。(2018.04.追記)
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