職場に同い年の男性がいて。
何かきっと波長が合うのだろう。彼とは色々深い話もしている。
彼は結婚しているのだが、彼には自分の力ではどうしようも出来ない深刻な問題があって。それこそ命に係わるぐらいの。
彼の願いはただ一つ。
『子供が欲しい』
どんな方法も難しいらしく、今は何の手立ても無い。
私は話を聞いて、思い付く限りの解決法を提案しても結局は無駄で。
もう後は御守りをあげてただ祈るしか出来ない。
「心配してくれてありがとう」なんて言われても、本当何も出来なくて、もどかしい思いだけが残る。
どうしてこう世界は不公平なんだろう。
姉の様に3人の子に恵まれる人もいれば、不妊に苦しむ人もいて。
果ては授かった命を蔑ろにして奪ってしまう人もいて。
何でこう上手く回らない。
欲しがってるんだから与えてくれたっていいじゃないか。
あぁ、祈るしか出来ないよ。
でも、今日は祈りを捧げる夜だから。
どうか。
どうか。
大切な人達がずっと笑顔で、ずっと幸せでいられますように。
下弦の月に祈りを。
瞬く星に願いを。