いつもいつも「サンデー銀次」を読んでくださってありがとうございます。
コメントをくださった方へのお返事です。
今日は黒沢君とまたみっちり曲作り。
その甲斐あって、前回の「uncle-jamのuki-uki☆music club vol.1」でお客さんからその場でお題をいただいて、即興でメロディーを作った曲がようやく完成しました。(パチパチパチパチ)

お酒をテーマにということで、とっさにうかんだのが、♪なんたらカンタラなんとか、なんたらストロベリーワインというメロディー。「お酒」というワードで自分の潜在意識を検索したら、こんなん出ましたけど ...みたいな感じ。なぜか「ストロベリーワイン」のところだけ歌詞がついていました。

これは若いときにかなり聞き込んでいたザ・バンドの曲のタイトル。まったく異なるおもむきのメロディーの中に、なぜこのタイトルがまぎれこんできたのか理由はよくわかりません。でもお題のおかげでまたuncle-jamのレパートリーに、おもしろい曲が増えました。ありがとうございます。
2月13日、みなさんにお聞かせできるのが今から楽しみです。ということで、今日のBGMはザ・バンドの「Strawberry Wine」です。







■ †…MINA…† さんへ

他所では得られないこの「サンデー銀次」独自の音楽や本の情報を、みなさんに投げていきますので、どうか気になったらキャッチしてくださいね。10代の頃、†…MINA…†さんが気になってたアーティストの名前でも、曲の名前でも、ほらあの髪が長くてゴスペルっぽい人誰だっけ?みたいな形でもいいので、たずねてくだされば特集とかしますので、遠慮なく言ってくださいね。

『移動銀次シリーズ』、ドクター・ミネウチなる人物が登場するにいたり、自分でもこの先どうなるのかわからなくなりました。自分で書いていてこういうことをいうのも何ですが、ひらめきに身をゆだねストーリーが勝手に育っていくのを見守りたい気持ちです。



「彼女はサイエンス」が流行っていた頃、あなたはいくつでしたか?。トーマス・ドルビーがそのまま年取った感じが、僕のドクター・ミネウチのイメージです。




■ バサロ泳法さんへ

えっ、買ってくれるんですね。マイケル・オマーティアンのファンがまた一人増えるのは実にうれしいですね。あれから何度かまた聞き直していると、ロギンズ&メッシーナの「 Angry Eyes」みたいな曲があったりして、今思えばロギメナのアレンジ面に相当マイケルの影響があったことがわかりました。あとこの「ホワイト・ホース」、僕の好きなギタリスト、ディーン・パークスが珍しく弾きまくっている曲が入っているのも好きな理由でもあるのです。ディーンはL. A.のスタジオ・ミュージシャンの中でも、人一倍いぶし銀中のいぶし銀。ほんとうに地味なバッキングに徹していることが多いプレイヤーですが、音色やフレーズのセンスがたまりません。小松久さんも好きなギタリストだとおっしゃっていたのはかなりうれしい出来事でした。
ディーンのギターが聞けるマデリン・ペルー(Madeleine Peyroux)の I'm All Rightを聞いてみてください。なんとも心地のよいギター・ワークです。





彼女のプロデューサー、ラリー・クラインに気に入られているようで、ラリーのプロデュースしたアーティストのアルバムやライヴでディーンのプレイに出会えるようです。
ラリーがプロデュース、ベーシストとしても参加しているジュリア・フォーダムのライヴDVDで、ゴク渋だけどセンスがキラリと光る、ディーン・パークスのプレイがたっぷり見れるので紹介しておきます。もし「ホワイト・ホース」を聞いて、「I'm Alright」を聞いて、ディーンのギターを気に入ってくださったら、こちらもチェックしてみてくださいね、


That’s Live [DVD] [Import]/Julia Fordham

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コメントどうもありがとうございました。
これからも「サンデー銀次」よろしくご愛読お願いします。

2月13日の下北沢・風知空知での「uncle-jamのuki-uki☆music club vol.2」でも、またお客さんからその場でお題をいただいて、即興での曲作りにトライします。ぜひ僕たちに作ってほしいなと思うお題を持ってライヴに来てくださいね。お待ちしております。
早くも「移動銀次シリーズ」第3弾です。コード・ネーム、Mr. Gは武蔵小山のアゲインでのモメカルとのミッションの後、次ははたして何処の任地に赴くことになるのでしょうか?





エレベーターが目的の階で止まった。扉が開くその瞬間には、いつも俺の交感神経がアラート信号を発してくる。いくら「カメレオン銀次」となって、エレベーター内部と同じ色合いに変身したままへばりついていても、例の組織は息づかいだけで、俺の存在を悟り、鉛の玉を雨とあられと浴びせてくるにちがいないからだ。
おまけに、シベリアのツンドラにうっかり突っ込んでしまった左足のしもやけの直りかけが、また痒くなってきた。かきむしったが最後、変身が解けてしまう。じっと耐え忍びドアの開くのを待つしかすべはなかった。

古いエレベーターらしく鈍い音を立て扉が開いた。待ち伏せているものはいないようだ。非常階段を吹き上がってくる冷たい風にコートの襟をたてると、俺はなるべく足音をたてないようにつま先立ちで、目当ての部屋の前まで歩いた。
部屋の前で「移動銀次」と「カメレオン銀次」を同時に解除。いつもの俺に戻ると呼び鈴を押した。
やや間があってインターフォンから声が返ってきた。
「お手紙着いた。」
まわりをもう一度確認した俺はそれに小声で答えた。
「読まずに食べた。」
がちゃりと扉が開いたそこには、微笑みの中にも緊張をひそませた表情の黒沢隊員。急いで俺を中へ招じ入れた。

黒沢隊員がコーヒーをいれているあいだに、背中にしょったギター・ケースを下ろすと、ギターと見せかけて中に潜ませていた、M16a2の改造トランキライザー・ガンが床にあたって金属的な音を立てた。
イルクーツクの訓練所で叩き込まれた「ゴキも殺さず人も殺さず」の教えは何がなんでも守り通さなければならない。たとえどんなにデンジャラスな状況に追い込まれても、敵を殺めず麻酔銃で回避せよというドクター・ミネウチの言葉が深く俺たちの脳裏にすりこまれているのだ。

2月13日に、下北沢でドンパチやることになる、ミッション・フーチークーチーの作戦会議に入る前に、エスプレッソをすすりながら、ひとしきりムサコで展開された作戦の話になった。そのとき彼が使用したリッケン330/12の性能は想像を絶するものだった。なんと半径3m以内の標的すべてが恍惚状態におちいり、おかげで間一髪のところで俺は難をのがれることができた。黒沢隊員には「60本の蝋燭」作戦についで、またひとつ借りを作ってしまった。

二人でフーチークーチーに攻め入るのもこれで二度目だ。一度目はまったく警戒されず正面突破することができたが、そうそうラッキーは続かない。さらに十分な装備とウキウキな心構えで挑まねば命の保証はない。綿密な作戦会議は東の空が白み始め、近隣にある農場の烏骨鶏が鳴き始めるまで続けられたのだった。

どうやら俺はあまりにも真剣になり過ぎていたようだ。朝日をさえぎるためにカーテンを引くと、黒沢隊員が俺のほうにふりかえって、いぶかしげにたずねてきた。

「どうしました?Mr . G、顔がシベリアン・ハスキーみたいですよ。」

いつもながら鋭い男だ。俺の表情から未解決案件を読み取るなんて ... 。
だいぶ前にパウアニューギニアのカトーに送った伝書鳩がいまだ帰ってこないことが気がかりだったのだ。

すっと立った黒沢隊員が隣の部屋から赤い色の液体の入ったボトルを持ってきた。
「疲れている時はこれにかぎりますよ。ストロベリー・ワイン。ブルゲンランドの2年もの、アルプスでのミッションみやげです。」
とくとくとくと小さなグラスに注がれるイチゴ色の酒。口に含んでみる。
甘い。だが今の乾ききった俺にはこの甘さがなによりのオアシスだった。
スパシーバ、ガスパジン・クロサワ。
俺たちの稼業につきもの非情の2文字が嘘のように消え失せ、おかげでウキウキの4文字が蘇ってきたようだ。

任務をすべて終了しアパルトマンの正面に出てくると、朝とはいえまだ吐く息が白い。抜かりなく「移動銀次」に変身した俺は、1月の凍てつくような寒さとは裏腹な心のぬくもりをかみしめながら、メトロの入り口へと急いだ。

                   FINE


かなりむりくりuncle-jamの2月13日のライヴに向けて、盛り上げる意味で「移動銀次シリーズ」にこじつけてみました。楽しんでいただけましたか?
これはあくまで実話をもとにしたフィクションです。誤解なきようお願いします。
下北沢・風知空知のライヴ・パ=ティー、どうか万障繰り合わせての参加、お願いします。
さあ、明けて今日はまた黒沢君と作戦会議です。
一昨日は、ギター1本の弾き語りで全国35カ所をまわったツアー「I STAND ALONE 2009」のオフライン・チェックをしていた。2009年2月20日名古屋に始まり、12月23日の東京ファイナルを迎えるまでの約25曲のライブ&メッセージ映像が、時系列にそってリアルに構成されていた。
同じ曲を複数の会場のものを使って編集してあるのが、おもしろい効果を出している。どこのライヴハウスでも、どの曲もほとんど変らないテンポで演奏していたのには自分でもちょっとびっくり。
さらにもうひとつのうれしい驚きは、月日を追うごとに顔つきや、演奏・歌が如実に変化していくのがよくわかって、まさにライブドキュメントと呼ぶにふさわしいDVDに仕上がっていたことだ。やっておいてよかった。2月20日にSilvertoneサイトから先行通販をスタートするらしいので、ライヴに来た人も来れなかった人もぜひ見てくださいね。自分で言うのも照れくさいが、すごく見応えのある内容だから。予約の受付は1月末からの予定だそうです。お楽しみに。



まだそのDVDの映像は流せないので、かわりにツアーの宣伝用スポットを。New Lifeです。


最近の洋楽のCD再発化もいちおう一回りして一段落してきたような気がする。そうなると、ひょっとしてなんて淡い期待を抱いていたアルバムがいっこうに出る気配がなければ、ほぼあきらめの境地にはいってくる。そんなあきらめかけてたというか、どちらかというと、もうすっかりあきらめきってたアルバムがなんとCD化された。ほんとかなー。いま手元にあるのにまだ信じられない。マイケル・オマーティアンの「ホワイト・ホース」がそのアルバム。発売は日本だけかな?発売元のUSMジャパンにはほんとに大感謝です。


ホワイト・ホース(紙ジャケット仕様)/マイケル・オマーティアン

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マイケル・オマーティアンといっても知らないひとのほうが多いだろう。いまはナッシュビルにいるみたいだが、かってのL.A.ミュージック・シーンの黄金時代を担ったプロデューサー/アレンジャー/キーボーディストだ。彼のプロデュースで有名なのは、クリストファー・クロスのデビューアルバム(邦題「南から来た男」)。このアルバムとシングルの「Sailing」は1980年のグラミー賞5部門を独占した。
他にもホイットニー・ヒューストンやマイケル・ボルトンなどを手がけ、あの「We Are The World」はなんと、クインシー・ジョーンズと彼との共同プロデュース作品なのだ。

僕が最初に彼の名前を知ったのは、ロギンス&メッシーナの1stアルバムの「Sittin' In」。続くロギメナの「Loggins & Messina」「Full Sails」と、初期の3枚にキーボード奏者として参加し、「Thinking Of You」でのクラビネットなど、アレンジ面でずいぶんとサウンドに貢献していた。





1974年「ライトミュージック」という音楽雑誌でレコード・レビューを担当していたときに、彼の初のソロ、この「ホワイト・ホース」が僕の分担としてまわってきて、1曲目の「Jeremiah」のかっこよさにぶっ飛んだ。続く2曲目の「Fat City」のファンキー・サウンドも素晴らしくて、バックメンだとばかり思っていた彼の印象が音を立てて崩れ落ち、彼のオリジナリティにひき込まれてしまったのだ。もちろんその月のレビューの一押しに決めた。

だが如何せんあまり売れた形跡がなくて、現在に至るまで、どんなミュージシャンの口からもこのアルバムのタイトルや彼の名前が出たことはなかった。たぶん、いや、まちがいなくこのアルバムのCD化を、こんなにも喜んでいるのは世界中でぼくだけじゃないかな、と思っていたら、なんとこのアルバムの2曲目「Fat City」をカバーしている、Ole Børudというミュージシャンの映像を発見した。





Ole Børudと書いてオーレ・ブールードと読む。なんとノルウェーのアーティスト。iTunesで視聴してみると、「ノルウェイのスティーヴィー・ワンダー」とか「ノルウェイのジャミロクォイ」って感じだった。70~80年代のウエスト・コーストAORの影響をかなり受けているらしい。
だからか。きっと「ホワイト・ホース」のアナログ盤を持っているにちがいない。よかった。マイケル・オマーティアンの「ホワイト・ホース」のファンは世界で僕一人じゃなかった。


シェイキン・ザ・グラウンド/オーレ・ブールード

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でもひょっとしたら、このうれしさはオーレ以外の誰にも伝わらないかも知れない。今日はひさびさにマニアックな話題で失礼いたしました。