佐野君はいつもみっちりとリハーサルをする人だが、この日はゲストが多いのでさらに入念だった。まるでリハと本番とでまるまる2ステージ演ったといっても過言ではない。
それなのにリハからかなり本気モードで歌っている。声は大丈夫なのかと、とても心配になった。だが完全主義者の元春を誰も止めることはできない。
いつも彼を温かい目線で支えていてくれる、頼もしいホーボー・キング・バンドの長田君、シータカ、富雄君は、去年の黒沢君プロデュースの僕の還暦ライブにも出てくれた仲間達。そしてキョンはココナツ・バンクの「東京マルディグラ」でいかしたニューオリンズ・ピアノを弾いてくれたし、みんな顔なじみだ。サクソフォンの山本拓夫君は、トータス松本君のソロ作品、「いつもの笑顔で 」や「 FA-FA-FA-FA-FA (SAD SONG)」などで素晴らしいアーバンなスタイルのサックスを聞かせてくれた。みんな、その節はお世話になりました。どうもありがとう。
今回僕にとってうれしい再会があった。なじみのメンツに加えて、ほんとにほんとに懐かしいミュージシャンが参加していたのだった。それはトランペットの佐々木史郎君だ。
熱心な音楽ファンには元オルケスタ・デラ・ルスのメンバーだったことでもおなじみ。実はその佐々木史郎君は、東芝EMI時代のときの僕のバンドのメンバーでもあったのだ。
アルバム「Nature Boy」でも何曲かホーンセクションで参加、「Destination」ではクールなペット・ソロを聞かせてくれている。
All Flower In Time in Osakaは2部構成。第1部はまず佐野君とホーボー・キング・バンドから。
この日のホーボー・キング・バンドのギターは長田進君。佐橋佳幸君は2部からの参加なので、楽屋で佐橋君と話ができた。いっしょにモニターで元春を見ながら「声出てるよね。」「そうですね。いっときより全然でてますよ。」
そういえば以前にけっこう声が出なくなった時期があったらしい。なのでその期間はキーを下げていたらしいが、今日は全部オリジナル・キーですねって、佐橋君が笑顔で語っていたのには、僕も思わずうれしくなった。
さっきも言ったように、この日はリハーサルからけっこう本気で歌っていたから正直心配だったのだが、それがどうだ、うれしいことに声が出ている。もちろん往年の突き抜けるようなシャウトはとはいえないが、しゃがれた中にも、きちんとシャウトの気持ちがこちらまで響いてくるではないか。
今回のライヴのおもしろさは、たくさんのゲストが、誰もみな自分の持ち歌ではなく、元春の曲を歌うところにある。それも、ゲストの持ち味と曲が、どのアーティストの場合もぴったりな選曲。
佐野君、ナイス・プロデュースだ。なのにこの大阪城だけたった1回こっきりというぜいたくさはどうだ。
豪華なゲスト陣が佐野君の30周年をお祝いにきているはずなのに、もてなされているのが逆にゲストのほうじゃないかと思えてくる、そんな不思議なライヴだ。
細かいところまで、何事もきっちりと仕切らないと気がすまない佐野君らしい配慮を感じる。
いつどんなときに聞いてもパーフェクトな99 Blues。最高だ。
第一部、最初のゲストは東京スカパラダイスオーケストラ・ホーンズ(NARGO・北原雅彦・GAMO・谷中敦)。動きがあって、ヴィジュアルも派手で楽しい「99ブルース」と「インディビジュアリスト」だった。ゲスト陣からの先攻部隊としてはうってつけ。ぴったりのカラフルな幕開けだ。
続いてグルーバーズの藤井一彦君が登場、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」を歌った。
面白いもので、グルーバーズで見るときの藤井君より若々しく見えた。それはあとで出てくる山口君にもいえた。
佐野君への二人のリスペクトがよく伝わってきて、その敬意がよけいに佐野君に神々しい雰囲気をあたえていた。いつもはもっとやんちゃなロッカー達の彼らが、まるで導師の教えを乞う敬虔な弟子達のように見えたのが愉快だった。
そしてラヴ・サイケデリコ。「彼女が自由に踊るときは」と「Rain Girl」を披露した。
佐野君はいつでも新しいアーティストには敏感だ。大ブレイクする前に「銀次、Superflyはなかなかいいよ」と熱心に言っていたのを思い出した。ステージは二人の登場で、さらに佐野君のフレキシブルで寛容な音楽性が開かれ、そこは確かに大阪城ホールのはずなのに、まるで60年代のフィルモア・オーデトリアムにタイムスリップしたかのようなピースフルな雰囲気になった。嫌いじゃないね。こういう感じ。
そして休憩が入って第2部に突入。
佐橋君が第2部からギターで加わり、まずニューオリンズ風なインスト。
そしてそのまま佐橋君が「微妙にトライアングルな人たち」という意味深でユーモラスな前ふりから、杉 真理君と僕を紹介してくれた。
さあいよいよステージに上がるときが来たのだ。
つづく
それなのにリハからかなり本気モードで歌っている。声は大丈夫なのかと、とても心配になった。だが完全主義者の元春を誰も止めることはできない。
いつも彼を温かい目線で支えていてくれる、頼もしいホーボー・キング・バンドの長田君、シータカ、富雄君は、去年の黒沢君プロデュースの僕の還暦ライブにも出てくれた仲間達。そしてキョンはココナツ・バンクの「東京マルディグラ」でいかしたニューオリンズ・ピアノを弾いてくれたし、みんな顔なじみだ。サクソフォンの山本拓夫君は、トータス松本君のソロ作品、「いつもの笑顔で 」や「 FA-FA-FA-FA-FA (SAD SONG)」などで素晴らしいアーバンなスタイルのサックスを聞かせてくれた。みんな、その節はお世話になりました。どうもありがとう。
今回僕にとってうれしい再会があった。なじみのメンツに加えて、ほんとにほんとに懐かしいミュージシャンが参加していたのだった。それはトランペットの佐々木史郎君だ。
熱心な音楽ファンには元オルケスタ・デラ・ルスのメンバーだったことでもおなじみ。実はその佐々木史郎君は、東芝EMI時代のときの僕のバンドのメンバーでもあったのだ。
アルバム「Nature Boy」でも何曲かホーンセクションで参加、「Destination」ではクールなペット・ソロを聞かせてくれている。
All Flower In Time in Osakaは2部構成。第1部はまず佐野君とホーボー・キング・バンドから。
この日のホーボー・キング・バンドのギターは長田進君。佐橋佳幸君は2部からの参加なので、楽屋で佐橋君と話ができた。いっしょにモニターで元春を見ながら「声出てるよね。」「そうですね。いっときより全然でてますよ。」
そういえば以前にけっこう声が出なくなった時期があったらしい。なのでその期間はキーを下げていたらしいが、今日は全部オリジナル・キーですねって、佐橋君が笑顔で語っていたのには、僕も思わずうれしくなった。
さっきも言ったように、この日はリハーサルからけっこう本気で歌っていたから正直心配だったのだが、それがどうだ、うれしいことに声が出ている。もちろん往年の突き抜けるようなシャウトはとはいえないが、しゃがれた中にも、きちんとシャウトの気持ちがこちらまで響いてくるではないか。
今回のライヴのおもしろさは、たくさんのゲストが、誰もみな自分の持ち歌ではなく、元春の曲を歌うところにある。それも、ゲストの持ち味と曲が、どのアーティストの場合もぴったりな選曲。
佐野君、ナイス・プロデュースだ。なのにこの大阪城だけたった1回こっきりというぜいたくさはどうだ。
豪華なゲスト陣が佐野君の30周年をお祝いにきているはずなのに、もてなされているのが逆にゲストのほうじゃないかと思えてくる、そんな不思議なライヴだ。
細かいところまで、何事もきっちりと仕切らないと気がすまない佐野君らしい配慮を感じる。
いつどんなときに聞いてもパーフェクトな99 Blues。最高だ。
第一部、最初のゲストは東京スカパラダイスオーケストラ・ホーンズ(NARGO・北原雅彦・GAMO・谷中敦)。動きがあって、ヴィジュアルも派手で楽しい「99ブルース」と「インディビジュアリスト」だった。ゲスト陣からの先攻部隊としてはうってつけ。ぴったりのカラフルな幕開けだ。
続いてグルーバーズの藤井一彦君が登場、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」を歌った。
面白いもので、グルーバーズで見るときの藤井君より若々しく見えた。それはあとで出てくる山口君にもいえた。
佐野君への二人のリスペクトがよく伝わってきて、その敬意がよけいに佐野君に神々しい雰囲気をあたえていた。いつもはもっとやんちゃなロッカー達の彼らが、まるで導師の教えを乞う敬虔な弟子達のように見えたのが愉快だった。
そしてラヴ・サイケデリコ。「彼女が自由に踊るときは」と「Rain Girl」を披露した。
佐野君はいつでも新しいアーティストには敏感だ。大ブレイクする前に「銀次、Superflyはなかなかいいよ」と熱心に言っていたのを思い出した。ステージは二人の登場で、さらに佐野君のフレキシブルで寛容な音楽性が開かれ、そこは確かに大阪城ホールのはずなのに、まるで60年代のフィルモア・オーデトリアムにタイムスリップしたかのようなピースフルな雰囲気になった。嫌いじゃないね。こういう感じ。
そして休憩が入って第2部に突入。
佐橋君が第2部からギターで加わり、まずニューオリンズ風なインスト。
そしてそのまま佐橋君が「微妙にトライアングルな人たち」という意味深でユーモラスな前ふりから、杉 真理君と僕を紹介してくれた。
さあいよいよステージに上がるときが来たのだ。
つづく