私が、子どもに使わない言葉がある。
例えば、昼食の時間になって、「ごはんだから部屋に入ろう」と言ったとする。
その時に、子どもが「まだ遊ぶ」と言って、部屋に入ってこない時がある。
2歳児クラスくらいでよくある風景である。
そんな時に、
「ごはん、先生が食べちゃうよ」
「ずっと外で遊んでいなさい」
「もうごはん食べなくていいよ」
と言う保育士がいる。
子どもが驚いて、部屋に入ってくるというのを想定した言葉かけである。
「食べるー」と半べそになる子もいたりする。
一種の脅し保育である。
私も、以前は使ったことがある。
しかし、ここで、子どもが「いいよ」とか「そうする」と答えたら、保育士は「本当に食べちゃうよ」などと一段階強く押すしか手がなくなる。
それでも、「いいよ」と言われたら、もはや打つ手がない。
保育士は、親ではないから、ごはんを食べさせないわけにはいかない。
つまり、ここで、保育士の負けになる。
なので、私は、今、絶対にこういう言葉を使っていない。
単に、自分が困るからという理由だけであるが。
それで、なんと言っているかというと、その子によって違うけれど、
「一緒に食べようよー」(と妖しく誘う)
「おかわりなくなるかもしれないよ」(これは本当のことだから)
「今日のごはんは、パンかなー、ごはんかなー」(メニューを本当に知らない時に、パン好きの子に言う)
「今日はいちごあるよ」(メニューを知っている時)
「○○ちゃんとお隣するんじゃないの」(若干脅し入っているかも)
「テラスまでヨーイドンしようか」(巧みに誘導する)…
などなど、いろんなことを言っている。
あとは、一回声をかけたら、しばらく放っておくのも手である。
口うるさく言うと逆効果で、知らん顔して、玩具とかを片付けていると、意外と自分で入って行く。
他のクラスの保育士に頼んで、先に部屋に入ることもある。
しばらくして入ってこないと迎えに行くけど。
「保育園はごはんを提供しないわけにはいかないから、食べなくてもいいから入ってください」とわけのわかんない理詰め攻撃をすることもある。
いろいろな手で、子どもを陥落させるのが楽しい。
基本的に、ごはんの時に部屋に入ってこないことを、いけないこととも問題行動とも思っていないし、別に困ってないから、今は余裕を持って接しられている。
昔は、早く入れないと、クラスの他の先生に何か言われそうで焦っていたのが、最大の問題点だったと思う。
そう考えると、偉くなって、本当に自分の思うように保育ができるようになったと思う。
誰も何も言ってこないし、言ってきたところで反論できるし、今は自信を持って自分の考えを言える。
普段から、わけわかんないことばっかり言っているけど、一応、自分なりに、まじな嘘と、本当にできないことは言わないようにしている。