二足歩行の恐竜たちが、体を水平近くに前傾して歩行することは確定している。
勿論、ペンギン的な歩行も例外的に存在した可能性はあるものの、尾はほぼ失われている。
昔のティラノサウルスの復元図のような直立姿勢に近い、いわゆる映画のゴジラ的姿勢は、垂直軸での回転の慣性モーメントが小さくなり、つまり回転しやすくなり、尾と頭が左右に振られ、小股でちょこちょこ歩く状態になってしまうので、実在する可能性は極めて低いというのが定説になっている。
では、映画のゴジラのように移動する歩行形態は実在しえないのだろうか?
ゴジラ的二足歩行の条件としては
①胴体を人間のように垂直近く起こしている
②後足を交互に歩く
③長い大きい尾がある
とする。
二足歩行が可能な動物としては、恐竜、鳥、ペンギン、センザンコウ、キノボリカンガルー、クマ、サル、ゴリラなどがいるが
姿勢が水平に近かったり、尾がなかったりでゴジラ的二足歩行と呼ぶには充分ではない。
キノボリカンガルーの二足歩行 1分30秒から
二足歩行する動物の中で最もゴジラ的二足歩行に相当するのは、ワオキツネザルと考える。
大嫌いなカラスにエリアを囲まれたときの「あわわわ感」が尋常じゃない。思わず二足歩行になるレベル。(阿野)#ワオキツネザル #焦る #二足歩行 pic.twitter.com/CfMOPGh95y
— 日本モンキーセンター(公式) (@j_monkeycentre) November 4, 2019
ワオキツネザルの場合、地上ではホッピング歩行が一般的だが、このような二足歩行も可能で、
この時は前足を前に伸ばして歩行している。
獣脚類では尾のカウンターバランスが頭部であるのに対し、ワオキツネザルでは両腕を前に構えることが尾のカウンターバランスとなっている。
獣脚類では、尾と頭部が一直線のシーソー型であるが、ワオキツネザルでは尾と前足(肩から伸びるので)が段差のある鍵型シーソーになる。
上体を持ち上げるために釣り合いを取る長い重い尾が必要になる。
ワオキツネザルの場合、これは一時的歩行ではあるものの、ゴジラ的二足歩行はまさに実在する。
大きな前足(腕)と大きな尾を持つ動物ならば、体を垂直近くに維持しつつバランスを取ることができるので、ゴジラ的二足歩行は可能である。
一方、この歩行方法は、ヒトや恐竜のそれに比してエネルギー効率は悪いだろう。大きな尾と大きい前足を維持する必要がある。
一般的にいえば、動物が姿勢を高くして自分を巨大に見せるのは威嚇・戦闘モードであり、
映画の戦闘的な怪獣たちの映像表現としてこの歩行モードを選んだのが、いわゆる日本発の怪獣ジャンルの成功をもたらしたのかもしれない。