切り餅のお話、もう少し先かと思っていたら…
何と今朝のニュースで「佐藤食品に損害賠償命令が出た」というニュースを見てびっくりしました。製造・販売差し止めと製造装置の廃棄と約8億円の支払いも含まれるとか。
※日経新聞のニュース
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E0E0E2E08A8DE0E0E2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

こちらは、読売新聞朝刊です。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-読売新聞


という訳で、まだ「曲がりを防止する」のテーマが終わっていませんが、
急遽「号外」という位置付けで「切り餅がきれいに焼ける」ためのアイデア(コンセプトレベル)をご紹介します。

と言っても、「サトウ切り餅訴訟」って何?という方もいらっしゃるでしょうから、簡単にレビューします。
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「サトウ切り餅訴訟」というのは、
越後製菓が
餅が上下に不規則な膨らみを作らないで、「側面に向けて吹き出す」ように、側面外周にスリット【ふっくらカット】を入れるという特許に対し、
佐藤食品は
上下面に十字のスリット&長側面に平行2本スリット【パリッとスリット加工】を施すという製品を出しました。
この【パリッとスリット加工】が特許侵害に当たると越後製菓が提訴していたものです。
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争われていたのはメチャクチャ単純に言ってしまうと「切り餅がきれいに焼けるために入れた切り込み(スリット)が特許侵害にあたるかどうか」ということでした。

越後製菓の切り餅パッケージを見ると、スリットがあることで、側面から中身の餅が吹き出している様子がわかります。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-越後パッケージ

今回の命令の考え方は「どこに入れたスリットでもスリット入れるのは越後の特許侵害」っていうことのようですね。

佐藤食品はこんな感じでスリットを入れてました。
(昨年11月に購入したときのパッケージ)
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-サトウ旧パッケージ

つい先日、3/21に購入したときのパッケージの図はこんな風に変わっていました。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-サトウ新パッケージ
勿論、切り餅そのものの側面スリットもなくなっていました!

でも、私はこの訴訟問題を見て「スリットありなし」とか「スリットの場所」なんかにはまるで興味ありません。そんなことは特許の専門家同士でやっちゃって下さい。

考えたいのは「切り餅をきれいに焼くためのアイデアってスリットしかないの?」です。なので、実際に検討してみました。そして、以下の表が出来ました。(拡大してご確認下さい)
※ブログテーマ=物語イメージ法を「物語図化法」と名称変更しました。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-コンセプト整理表

この表の作り方について、詳しくは説明しません。まぁ、「切り餅を焼く」という行為を一つの技術システムとみなして、「餅が焼き上がるまでのプロセス(場面)別にどんな技術アイデアを盛り込む余地がありそうか」をトライアル的に考えてみたものです。
※「きれいに」の定義は上下面に不規則に膨らむのではなく、側面方向にモナカのように膨らむことと解釈しています。

みなさんに注目して欲しいのは、佐藤食品と越後製菓が争っていた部分です。
表の一番下の行5亀裂発生→内部吹き出しと書かれているところの右から2番目の「①側面の破壊を促進する」というコンセプトの更にその中の「・予め側面に亀裂のもとを入れておく」という本当に極々狭いエリアの中で2つの会社がぶつかり合っていたことがわかります。

佐藤食品が越後製菓のマネをしたのかどうか私にはわかりませんけど、「他のやり方がいくつもいくつもあったのになぁ」って思うばかりです。