それはもう高校受験も間近のある日のことでした。
少し前に書いた作文が最優秀になり、既にその表彰状ももらった後だったので、
私自身はとっくの昔に忘れていたのですが、どうやらその話はまだ終っていなかったようでした。

その頃と言えば、読書感想文やら何やらで賞状や記念品をもらうことには慣れっこでしたし、
教師の依頼でコンクールなどの作文を書くことに、私には多少の自信がありました。

もちろん、そのおまけとしての依頼をされることにはいいかげん辟易していました。
自分のクラスの学級歌の作詞とかは理解できるとしても、他のクラスの学級歌の作詞、
会ったこともない生徒の生徒会長戦の推薦文、卒業式の送辞、
答辞とかをなぜ私が書かなくてはいけないのかと疑問の毎日でした。

とは言え、私はできる限り、そういう依頼はお断りしました。
もちろん、教師から何かを頼まれるなんて、うれしくもあり誇らしいことでしたが、
それはともすれば「天狗になってる」とか、
調子に乗ってる」などと陰口を叩かれる元だとわかっていましたから。
しかし、断ったら断ったで何かを言われてたのでしょうけど。

そんな毎日でも高校受験は近づいてくるわけで、さすがにそんな依頼が来ることも少なくなり、
私の意識は試験勉強だけに向き始めていました。
と言うか、そういうコンクールは、書いてから結果が出るまでに結構な期間が開いたりするので、
私は賞状をもらったことでもうすっかり気にしてなかったのです。

今日のお昼に服装検査がありますから、
給食が済んだら全員体育館に行くように

ある日の朝のHRで、担任の女性教師が言いました。

私がまたか、と思っていると、彼女の話にはまだ続きがありました。
○○君はその後、校長室に行ってね。
○○新聞の記者さんが取材に来ますから。


私は正直、面食らいました。
もちろん、生まれてこの方、新聞の取材なんて受けたことはありませんでしたから。
合唱のコンクールでTVにちらっと映ったことはありましたし、
しばらく後に何度か詩が雑誌に掲載されたこともありましたが、
記者さんに直接取材されるなんて経験は、後にも先にもこの時だけだったのです。

既に内容も覚えていないような作文の取材って?と私は更に戸惑いました。
それに一体、何を記事にするの?写真も取るのかな?校長も同席するのかな?
私の頭の中は色んな想像で一杯になりました。

しかし、私を冷やかす同級生たちの中に、
それほどまでに悪意を持った目があったことには、
その時の私はまるっきり気付いていませんでした。
もちろん、今考えれば予想できなくもなかったことなのですが。

迫ってくる時間に緊張度を増しながら、私は授業を受けていました。
そして、その日の四時間目の体育を終えて、教室に戻ってきた私は、
着替えようと学生服を手に取りました。

そしてやっと、どこかで私を見つめる悪意の存在に気がついたのでした。

後編はこちら。

。。。。。

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