オーダーされる際のお勉強会です
これまでも何度も書いてきましたが
「注文書」というのは重要です
そんな一例をひとつ(リメイク依頼で入って来た竿です)
まあ、なんらヘンに書いたような注文書ではないように見えますね
穂先のラップで
念のために・・・と思って
「穂先までWラップするのでしょうか?」と確認メールをしました
回答は「Sラップです」とのこと
お客さん側は、なんの気なしに
巻きの指示を図示する時に「ピンク」と書いて、チャッ、チャッ、チャッと線を3本引っ張ったんだと思います
でもね、そんな大した意識無く引っぱった「線1本」が「オーダー」になるのです
だから線1本引くのも、頭のフィルターを一旦通して「大丈夫かな!?」と思わないといけません
こう「ピンク」が3本線で指示されたら「下巻きもする」という指示になります
「下巻きをピンクで」と文字にすればそこそこの文字数のオーダーが「線1本」で指示してるのです
だから「線1本」でもよく考えてくださいね、ということです
ましてや、以前も記事にしたキャスティングさんがよこした「やっつけ記入の注文書」
こんなヤッツケで書かれた注文書でも「書けば=指示」となるのです
こんなヤッツケ書くくらいなら未記入で「おまかせ」と書いたほうがマトモな竿になります
上のヤッツケ図を見ると
Rグリップのケツ側は「短く」&「ラウンドショルダー(角を落として)」
Rグリップのシート側は「ケツ側より長く」&「スクエアショルダー(角)」
Fグリップは「異様な細さ」にしてください
そう指示してるワケです
実際こんな竿を作って売れるワケがありません
でも、注文書の重要性を認識してないのでこんな
定規ひとつ使わない、長さの割合なども「図」として成立して無いようなヤッツケ図面をよこすのです
もし「難しいもん、よくわからない」とか「書けないよ」っていうくらいなら
Rグリップ「セパレートでおまかせ」と、これだけでイイわけです(わけのわからんヤッツケ記入をするくらいなら「セパレートでおまかせ」のほうが100倍マシということです
Fグリップ「テーパー形状、長さバントライン(長め希望)、長さ調整おまかせ」とオーダーすれば、定規すら使わずテキトーな図を書くより100倍マシなのです
「図」というのは「設計図」や「正確な図面」というものではないにしろ「説明を図で表す」ワケです
だから、「書くのであればできるだけ正確に(イメージが伝わるように)」がアタリマエです
どこにも「正確さ」は無いハズ
こんなの書くくらいなら、書かない注文書のほうがマトモな竿になります
以前も記事にしましたが
勘違いされてる人も多いですが
「注文書というのは「書けば書くほど」イイもの&正確なものが出来上がる」ということ
下手にイロイロ書いてしまったばっかりに、本来「現場でしかわからない様々な「調整」すら切り捨てる」ことになったりします
例えば「Fグリップ:〇〇cm」と書いてしまったら、バットガイドまであと1cmだけど「おまかせ」とか「長さ微調整おまかせ」など但し書きが無いと〇〇cmで作って、バットガイドの巻きのすぐ後ろにロゴのエンドの節があって(これならつなげたほうが仕上がりがスマート)と思ったりするハメになるのです
これは一例ですが、作っていたら現場の調整というのがあったほうが仕上げの調整ができるのですが、それを事細かく「書けば書くほどイイものができる」と勘違いされてる方は現場調整の余地すら無いくらいに一所懸命に書かれるのです
いや、その一所懸命に注文書を書くことを「悪い」と言ってるワケではありませんよ
一所懸命に書くことはイイことです
ヤッツケで殴り書きするより100倍マシです
でもね、こんなのも職人の思考なんですが、「一所懸命」が「成果」に反映されるならその「一所懸命」は意味のある一所懸命です
しかし、その「一所懸命」が成果を押し下げることになったら「ムダな一所懸命」でしょ!?
そう思わない??
ようは一所懸命のベクトルが間違ってるということです
注文書は「ちゃんと書く」とココで言えば
「できるだけ筆を入れよう」というベクトルで間違ったとらえ方をする者がいます
そんな意識は屁にもならない意識どころか、あちこちで悪影響すら起こす原因になります
「筆さえたくさん入れたら=ちゃんと記入したような注文書(白紙で出してませんよ的な)」って程度の意識
「一所懸命」とは「どうしたら正確に伝わるか」、「どうしたらそれを見る者が理解しやすいか」
そんな注文書を書くのが「一所懸命」なのです「白紙じゃないよ筆入れたよ」は、注文書は書きましたよの意思表示ではない
それが己にも還ってくるワケです
「どうしたら正確に伝わるか」、「どうしたらそれを見る者が理解しやすいか」を気にした結果が己の竿が自分の思い描いたものに近づく
イイカゲンに書いた注文書はイイカゲンな竿になって自分に還ってくるワケです
本題からそれましたが
それだけの意味がある「注文書」なのです
だから「線1本」でも書く必要があるのか無いのかは頭のフィルターを通す必要があるのです
何の気なしにチャッ、チャッ、チャッと線引っ張ったばっかりに、頭の中とオーダーが違ったものになったりするのです
穂先は「Sラップ」が希望なのでしたら、この線は要らなかったワケです
「たった線1本」が「ピンクで下巻きしてください」と指示してるワケなんですからね
これも以前からブログ記事としてお勉強会してますが
竿のガイドを巻く際にWフットガイド(2本脚のガイドね)で
「先側の上巻きは赤、元側の上巻きは青」で巻いてください・・・とかいう異質なオーダーであれば
注文書の「ガイド巻き」の図示部分には
こんなふうに「上巻き」のどっちにも線引っ張って「金ですよ」、「NCPの206ですよ」と指示する必要があります
しかし
通常は、上巻きの先と元でデザインが違うなんて、誰もそんなオーダーはしません(もしする人が出てきたら、その際にはそう書けばいいだけのこと)
上巻きの「先側・元側」の2つの巻きは通常「同じ」ですよね?
だったら、こうでイイわけです
あえて書き足すなら「メインの巻きは黒ですよ」という「黒→」という指示
コレでイイわけです
なにも
こう書く必要は無いワケです
「できるだけたくさん書いた=一所懸命に書いた注文書」ではないのです
伝わればイイ最低限の注文書が、本来注文書の本質です
またそんな注文書のほうが「見やすい注文書」でもあります
空欄に文章でツラツラツラと書かれた注文書も届きますが
何本もの竿を並行作業しながら、その作業工程の都度で「ココは?」・・・「ココは?」
たとえば
「ロゴは?」・・・で作業台の前に貼られた注文書を見る
「Fグリップは?」・・・で作業台の前に貼られた注文書を見る
だから、例えば図のグリップのところに書かれてある指示を見て「何cmなのか?形状は?ラバー入れるのか?」など一目でわかるに越した事はありません
効率が悪い注文書とか、間違いが発生しやすい注文書というのはグリップの指示なのに、どっか全然違う場所の空欄などに付け足しのように「ラバーです」とか書かれていると、あとで「え・・」と気付くこともあるのです
だから指示の内容は「図の該当場所に書く」のです
そのために「図」で示しているのです
要領がイイ方、悪い方・・・もちろん両者おられます
私もできるだけ「見落としなく・・・」と心掛けますが、お一人の竿を掛かりっきりで製作するワケではありません
流れ作業のように、同時に3本の竿を進めているとしたら
A竿:「この人のガイド巻きは?」・・・「あ、黒のフルピン無しね」
B竿:「この人のロゴは?」・・・「あ、白ロゴ入れりゃイイんだな」
C竿:「この人のグリップは?」・・・「あ、お任せでイイわけだ、じゃあロゴ長と調整しよう」
とか、簡素で一目で読み取れやすい注文書がサイコーなワケで間違いも少ないワケです
作文のような空欄一杯に文章で書かれたような注文書は
お一人の竿を掛かりっきりで作るのであれば、文章を読んですべて頭に入れて1本の竿に掛かりっきりになれば済みますが
A竿はこれからグリップを作るトコ
B竿はこれからロゴを入れるトコ
C竿はこれから上巻きを巻くトコ
D竿はこれから下巻きを巻くトコ
E竿はこれから塗装するトコ・・・などなど
やってる工程(完成度)もまちまちですし、「この竿はこう作る」というのを1本1本覚えておりません
すべて流れ作業的です「ガイド巻きは?」・・・「あ、金のピンスト3ライン入れての黒巻きか」とその都度その竿の注文書を見ながら作業を進めるのです
できるだけ簡素に解る
言い換えれば「わかればイイ」わけです
たとえば、空欄すら無い
隙間いっぱいに書かれた作文のような注文書が「よくできた注文書」ではないのです
「解ればイイ、必要最低限の記入」で伝える・・・これを心掛けてみてください
そんなのムズカシイよ!!って言うんなら
「派手なカラー&デザインが好みです、色は赤が好きです、体格は標準体格です、予算(税・送料抜き)8万円でお任せで」
極端に言えば、この1行の文章であっても「注文書です」
上記のような注文書が来れば
メタリックの赤やNCPの赤のスレッドを使って、ピンストも多めで(予算内のデザインでね)、リールシート位置やグリップ長などのパーツ寸法などは標準体格に負担が無いようなセッティングを、8万円以内で作るようにします
1行の文章の注文書でも、完成度は高い竿1本が出来上がります
要は適切な注文書です