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作家養成塾『遊房』の公式ブログ 「めざせ!公募小説新人賞」門座右京監修

公募受賞する作品。売れる作品を量産できるプロ作家を養成しています。
誰でもすぐ使えるストーリーの教科書とレシピで3年でプロデビュー。ここではそんなストーリー構築の発想法を紹介。原則的に受講生対象。

ニュースに円楽が歌丸の葬儀をプロデュースというのを、落語の演目である「片棒」という落語でしゃれてみせたらしいというのを受けて、けち人生ということを考えてみました。

 

落語の「片棒」は、以下にアップしておきましたので参考になさってください。

 

ということでテーマは節約とけち。

 

人生には三回、自分が主役になるといいます。

つまり誕生、結婚、葬儀ということです。

 

ここで主役と実感できるのは結婚ぐらいで、誕生は思い出として記憶に残るということはありませんし、葬儀は自分が死んだ後ですから、どちらも主役でありながら蚊帳の外なんですね。

 

つまり誕生は親が子を持った喜びで、本人は出汁に使われているだけ。葬儀は跡取りたる子どもが、どれだけ自分のこれからの人生で人望集められるかの試金石で、これも出汁に使われる存在です。

 

で、自分が主役であり、自分の好きなようにできる結婚も、実は両家の社会的地位によっての駆け引きがあり、ままならないところがあって、主役イコール自分プロデュースはできないんですね。

 

つまりここでいう自分が主役というのはまったくの誤解であり、実は主役という口実にすぎないんですね。

 

主役と実感できる結婚にしても、たとえば披露宴で、ワンマンショーなんてできませんから、雛壇に座っているだけで、舞台でいえばホリゾント、つまり書き割りみたいなものです。

もっといえば脇役の斬られ役の方が演技できる分、まだ自分を主張できるというものです。

 

要するに担がれる御輿にすぎないわけです。

 

わっしょい。

という掛け声で、やたら揺り動かされるわけで、辛抱我慢のセレモニーが、人生三回の主役というわけです。

 

となれば、雛壇に座っている書き割り状態は、自分に唯一自覚があるだけに、苦痛が伴う主役の座ということになります。

 

死んだ人間に金使うバカになるな。我が女房殿には、私の死んだ時のことをこういっています。

 

通夜葬式墳墓不要。

誰にも知らせずフェードアウト。

が私の理想。

 

すでに子どもには死んだものと思っておれ。そういっています。

 

誰かの自慢のために、満足のために、御輿に乗るのは、せめて人生二回の幸せを自分で演出したいのです。

 

以下は落語の「片棒」あらすじです。

 

赤螺屋(あかにしや)ケチ兵衛という男、
一生食うものも食わずに金をため込んだが、
寄る年波、
そろそろ三人の息子の誰かに身代を譲らなくてはならない。

かといって
今のままでは三人の料簡がわからず、
誰に譲ったらいいか迷うので、
ある日、
息子たちを呼んで、
オレが仮にもし明日にでも目をつむったら
後の始末はどうするつもりか、
一人ずつ聞かせてもらいたい
と言う。

まず長男。

おとっつぁんの追善に、
慈善事業に一万両ほど寄付する
と言いだしたから、
おやじ、ど肝を抜かれた。

葬式もすべて特別あつらえの豪華版。

袴も紋付きも全部新規にこしらえ、
料理も黒塗り金蒔絵の重箱に、
うまいものをぎっしり詰め、
酒も極上の灘の生一本。

その上、車代に十両ずつ三千人分……
ケチ兵衛、ショック死寸前。

と、とんでもねえ野郎だ、
葬式で身上をつぶされてたまるか。

次! 次男。

お陽気に、歴史に残る葬儀にしたい
と言いだしたから、おやじはまたまた嫌な予感。

案の定、
葬式に紅白の幕を飾った上、
盛大な行列を仕立て、
木遣り、芸者の手古舞に、
にぎやかに山車や神輿を繰り出してワッショイワッショイ。

四つ角まで神輿に骨を乗せて担ぎだす。

拍子木がチョーンと入った後、
親戚総代が弔辞で
「赤螺屋ケチ兵衛君、
平素粗食に甘んじ、ただ預金額の増加を
唯一の娯楽となしおられしが、
栄養不良のためおっ死んじまった。
ざまあみ……もとい、
人生面白きかな、また愉快なり」
と並べると、
一同そろって「バンザーイ」。

この野郎、
七生まで勘当だっ!! 

次っ! 三男。

「おい、もうおまえだけが頼りだ。
兄貴たちの馬鹿野郎とは違うだろうな」

「当然です。
あんなのは言語道断、正気の沙汰じゃありません」

……やっと、まともなのが出てきた。

跡取りはコレに決まった
と安心したが、
「死ぬってのは自然に帰るんですから、
立派な葬式なんぞ要りません。
死骸は鳥につつかせて自然消滅。これが一番」

「おいおい、まさかそれをやるんじゃ」

「しかたがないから、まあお通夜を出しますが、
入費がかかるから、一晩ですぐ焼いちまいます。
出棺は十一時と言っといて八時に出しちまえば、
菓子を出さずに済みます。
早桶は菜漬けの樽の悪いので十分。
抹香は高いからかんな屑。
樽には荒縄を掛けて、
天秤棒で差しにないにしますが、
人を頼むと金がかかりますから、
あたしが片棒を担ぎます。
ただ、後の片棒がいません」

「なに、心配するな。オレが出て担ぐ」