「タッチ」とか「スラムダンク」とかのスポーツ漫画を見てると
登場人物たちに昔から少し違和感を覚える箇所があった。
彼らはあっさりと人を認めるのである。
「あいつはすごい」とか、「あいつは天才だ」とかいって手放しに称賛する。
そしてあっさり身を引いたりする。

実際には、むしろ心の中でその人を認めれば認めるほどに、
そいつをうらやみ、憎み、なんとかして貶めようとする。
特に、自分が「いいな」と思ってる女の子が
身近な他の男に目をハートにしているのを見たら、
イライラして陰に日向にその男の悪口を言い始める、
それこそが現実だろう。
心から人を称賛できるのは、自分に自信があるごく一部の人だけだ。

嫉妬というのはきれいなものではない、というか醜いものなので、
そもそも口には出しにくい。
現実には誰にでも存在しながら、まるで誰にもないかのようになってるね。
すると話が嘘っぽくなっていくのは否めない。

漫画は漫画で必ず現実にそぐわなくてもいいとは思うけど、
現実世界では、事実は事実として存在を認め、
それにどう対処していくのかを考えることが、
充実した人生を生きていく手段だと思う。
嫉妬自体は恥ずかしいことではない。
むしろ存在を認めないことの方が恥ずかしい。

そこに必要なのは何をおいても向上心だろう。
人がうらやましいのならまずは努力すればいいし、
その分野でかなわないのなら別の分野でがんばればいい。
正面からぶつかって努力する、別の分野でがんばって補完するなど、
いろんな方法はあると思う。
 

 

 

ねえ岡田さん、一人の人間が誰かを憎むとき、
どんな憎しみがいちばん強いとあなた思いますか?
それはね、自分が激しく渇望しながら手に入れられないでいるものを、
苦もなくひょいと手にいれている人間を目にするときですよ。
自分が足を踏み入れることのできない世界に、
顔パスですいすい入っていく人間を指をくわえて見ているときです。
それも相手が身近にいればいるほど、その憎しみは募ります。
そういうもんです。