一軒の店の力は知れてるけど、みんなで力を合わせれば
たいていのことはできる。
都市部の駅から電車で10分ほどのベットタウンにある商店街。
なのに、驚くほど静か。
「いいか、全員が力をあわせて、新聞社や雑誌にテレビ局にも
取材に来てもうおう。」
「めざせ、全国放送!」
そうすれば、人気観光・グルメスポットとして、
地元以外の人たち、週末にはバスツアーも企画される
かもしれない。
全国の商店街組合からわんさか視察に来るのは
間違いないな。
突然、宗さんが静かに語りはじめた。
「この商店街が成功したら、映画を作りたい。
もちろん、みんなにもエキストラで出演してもらいたい。」
おーっと会場がどよめく。
俺たちの活動の記録を人情ドラマ風に仕立てた映画。
タイトルは「まけるもんか」
それで、まず日本アカデミー賞をとる。
なぜか、そのシーンを思い浮かべて、勝手に涙ぐんでる
宗さん。
映画が当たれば、小説に、テレビドラマに、関連グッズに、
STGのノベルティにとどんどん商品化されていくだろ。
そうすりゃ、今の売り上げの10倍なんてケチな話じゃなくて、
100倍ぐらいになるかもしれない。
俺たちは、幸せになるために生まれてきたんだ。
だからこそ、この幸せを自分たちで、
みんなが力をあわせて、勝ち取ろうぜ。
まけるもんかの精神で。
気づくと、みんなが目をウルウルさせている。
そして、宗さんの話が終わると一斉に拍手が起きた。
「ビジネスはエンターテイメントだ!」
そう、つぶやく宗さんだった。
全国のどこかの商店街さん、こんな企画やりませんか?
ジョージ
No.546