最も多くのフィリピン人に使われるローカル言語は「タガログ語」です。先週フィリピン南部のミンダナオに行ってきましたが、セブを含むビサヤス地方やさらに南のミンダナオ地方ではタガログ語の他に「ビサヤス語」がよく使われており、英語以外にタガログ語しか話せないフィリピン人は、英語以外にビサヤス語しか話せないフィリピン人とコミュニケーションをすることができません。フィリピンには何千ものローカル言語があり、実は結構複雑なんです。
でもフィリピン人は東南アジア諸国の中では珍しく、英語でコミュニケーションできる人が多く、タクシーの運転手や清掃員ですら英語をしっかり理解します。これは他の東南アジア諸国と比較して大変な魅力です。多くの日本人がタイやベトナム、インドネシアで英語が伝わらずストレスを感じたことがあると思います。
フィリピンではフェイスブックの利用者が3,300万人以上います。これは少し古いデータですので、今ではおそらく3,500万人は超えているのではないかと思います。フェイスブック人口は東南アジアではインドネシアに次いで2位です(インドネシアの人口はフィリピンの2.5倍超)。英語に問題がないと、世界中の人々とコミュニケーションができるので、特にアメリカなどの英語圏の情報に対する感度は大変高く、最新のエンターテイメント(音楽、映画、ドラマ、ゴシップ)をタイムリーに消費し、シェア・拡散することができます。
フィリピン人が「出稼ぎ立国」と呼ばれるくらい、海外就労者が多いことも、英語が障害にならないということが大いに影響しているはずです。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ諸国から最近ではUAE(ドバイ)やシンガポールへの出稼ぎ人口が増えているようです。彼らはOFW(Overseas Filipino Worker)と呼ばれ、フィリピンのGDPの実に10%がOFWから生み出されています。
でもなぜかフィリピン人を見て「浅い」と感じてしまう。なぜでしょう?それは、歴史的に彼ら自身の言語が軽視され、特に知識階級が中途半端に英語による教育、コミュニケーションを重視し、彼ら独自の文化、文明が発展しなかったからではないでしょうか?
また、フィリピン人はスペインやアメリカに統治されていた時間が長く、旧宗主国によって完全に「製品を消費してくれる市場」になりました。フィリピン人はマクドナルドを食べて、コカコーラを飲んで、H&Mで服を買って、P&Gの消費材を消費して、CALTEX、シェルのガソリンを使って日本車に乗って、韓国製のテレビを観て生活しています。この人たちを見ていると、「車もテレビも作れないだろうな・・・。」と思ってしまいます。
フィリピンに進出する海外の企業は、フィリピンのごく一部の超富裕層とJVを作り、フィリピンでモノやサービスを提供しています。これにより、富裕層は益々富を蓄えるわけです。フィリピン政府は超富裕層と強く結びついて、この国の8割の貧困層に「考えるな。疑問に思うな。マクドナルドを食べてコーラを飲んで、カトリックの教えにあるように避妊なんてせずに子供を増やして、我々の製品を消費する市場であり続けろ。」と言い聞かせ、搾取を続けます。問題は、搾取されている側がその事実に全く気付いていない、という点です。
フィリピン人は英語という武器を手に入れたことで、確かにより「上質な」娯楽を楽しむ術を身につけましたが、そこまでです。英語はただ娯楽を理解するツールに過ぎず、それが本当に根付いて文化を形成し、独自の技術や思想、文明を築くまでには至らず、おそらくこの土地には永遠に「文明」が興ることはないでしょう。