2004.12.5 心の言葉を紡ぐ 木村怜由さん

澤田:今週は、書タイポグラファーの木村怜由さん(きむらりょうゆ)を紹介したいと思います。タイポグラファーとも言っているので活字を起こすっていうような意味も含まれていますが、これが普通の書家とは違います。心の言葉を紡ぎ出して、書として表現する現代のセラピストみたいな存在です。そんな心の持ち主、心の言葉を活字で表現する、そんなような人です。

インタビュー1)言葉が降ってくる!UFO


GEONOUS~地球の智叡~-木村1

安田:今日は書道家の木村怜由さんにお話を伺います。よろしくお願いします。

木村:よろしくお願いします。

安田:実は私も時々書道展を見せていただきました。この前は書道を習うワークショップに参加させて頂いんたんですが書道はいくつくらいから始めたんですか?

木村:5才の時に近所のお習字教室に通っていましたね。母が女の子は字がキレイなほうがいいということで、たぶん母自身、字が汚かったというのもあるかも知れないですね。

安田:5才ってずいぶんと小さい時からですね。

木村:そうですね。でもすごく楽しかった。一応、きっかけは母だったんですが、その後、自分で積極的に通っていましたね。

安田:最初はどういう字を書いていたんですか?

木村:そうですね、例えば小学校の時に「つり」っていう字が初めて本に載ったんです。「うまいで賞」みたいなものをもらってとっても嬉しかったですね。

安田:昔そういうのを小学校の時に書きましたよね。

木村:まだ、お習字の段階ですよね。

安田:お習字と書道は違うんですか?

木村:習字は字を習う。書はやっぱり中国の三大書家たちが書いたものを見て学ぶ。全く同じ風に書く臨書というのが基本となっているのが書道なんですよ。

安田:5才で始めた習字から書道に変わったのはいつ頃ですか?

木村:高校すぎてからです。その時の仲間もみんな辞めちゃうけど、私は中学生になっても高校生になっても、先生のご自宅がある群馬まで通って習っていました。それで東京に行きますって話しをしたら、じゃあ私が出た書道の学校があるからそこに行ってみたらということでその学校の師範のもとに3年間通いました。

安田:じゃ~師範をとったんですか?

木村:はい、師範の免許もありますし看板ありますよ。

安田:すごいですね!ところで「りょうゆうさんはどういう字を書くんですか?

木村:実はよく間違われるんですが“りょうゆ“(怜由)なんです。

安田:そうでしたね。響きもすごくかわいくてキレイなお名前ですね。

木村:名前の由来もすごく良くて、私が学校を卒業する時、ちょうど卒業制作で大作を作った二十歳の時だったんです。雅語がほしいと思って、その時はまだ師匠がいなかったので名前を観てくれる方に何か良い名前をつけて下さいとお願いをしたら、ある日、天から下りてきたみたいでもうこれしかないわって言われたんです。私もそれがすごく気にいって、意味は、太陽のような気持ちで人に尽くす。そうすればあなたの周りに人が集まってきて、その人たちがあなたを助けてくれるでしょうっていう意味なんです。すごく気に入ってすごく好きな名前です。

安田:じゃあ、この名前のおかげで展示会を開いたら人が集まって来てくれたりとか。

木村:それもあると思いますよ!

安田:展示会もすごくおもしろい!ただの半紙に書いた字を飾っているだけじゃなくて色んな素材を使っていますよね?

木村:そうですね、鏡に書いたりとか、石に書いたりとか。

安田:あとは小さなオブジェに書いたり、あと染物にも?

木村:そう染色です。捺染という方法の比較的最近の染方があるんですが、それも習ってもっと自分の字を暖かいものにしたと思っていたんです。

安田:結構、自分が思いついたらなんでもやるんですね。言葉はどうするんですか?

木村:そうですね、言葉は、降ってくるって感じかな。自分に降りてきた言葉しか書けないなんですよ。

安田:怜由さんはいつもそういう直感を大事にしていますよね。怜由さんの展示会では自分の言葉と自分の詩を書き綴ってますよね。

木村:毎回そうかな。書家の人とかはやっぱり今流行りの歌とかを書く方が多いけど、私は書けないんですよ。その気持ちがわからないから。自分の降りてきた言葉しか書けない。近代詩という文書があって、漢字・かな・余り字文という部門になるんですけど、そういう今の人も読めるような感じのものは、私は自分の言葉しか書いてないかな。

安田:そうですね。漢字もあるし、カナもある。ローマ字もありますよね。

木村:ローマ字もなんでもあり。数字もあるし。それを書の字で書くという感じ。基本はもちろんやっていて師匠にもついてやって、それがあるから近代詩ができるんです。文字をうまく書くっていうのももちろん大事なんですけど、やっぱり私は気持ちを書くっていうほうに重点を置いていたので最近ワークショップを始めたっていうのがあります。みんな持っている気持ちを大事にしてそれを外に出すという作業のサポートをしたいなと思ってワークショップを始めたんです。

                   

インタビュー2)宮古の海は美しい!波

安田:今年は前からやりたかった夢を実現できたって話を聞きましたが・・・。

木村:はい、これは個人的なことなんだけど、3年くらい前に沖縄の宮古島に行ったんです。私は群馬県出身なので海を知らないんです。多分今まで本物の海っていうのを知らなかったんだと思う。初めて行ったときにこの海は絵かと思ったんですよ!海が青すぎて!飛行機の中から見たときに、これ絵じゃないの?写真じゃないの?真剣に思ったんです。それにすごく心が打たれて、、、、。ダイビングで潜ってみて、限りない自然のすごさみたいなものに触れて、すごく広くて高い空、、、なんか自分が救われた感覚になったんです。それでこの島に何かお返しがしたいというのを漠然と思っていたときに夢を見たんです。私はお習字道具をひとつ持って島に行ったんですね。その時、あっ、これなんだと思いつたのが「島の子どもと書と遊ぶ」という企画だったんです。半年前にその企画を島に持って行ったんだけど、出会いが出会いを呼んでくれて、教育委員会に行ったり校長先生に会ったりしたら是非やって下さいという暖かい言葉を頂いたんです。ステキな先生方にも出会って今月にその夢が叶いました。中1と中3の勇士が20人~30人くらい生徒を集めてくれて、同じような小さな作品を作ろう、自分の中から出てきた言葉で書こう、そして仲間たちでひとつの大きな作品を書こうということをしたんです。なんかものすごくこの島の子は、神の子だなって感じがしました。ホントに中学生なのかなっていうような言葉を書くし、そして言ってもいないのに足の指とかで書き始めたりするんです。最後はもう終わりだよ~って言ってもずっと書いてるんです。

安田:それは、すごく楽しかったんですね!

木村:はい。最初はこの人はどこから来たんだって感じで見られて、「こんにちは、初めまして・・・」みたいな感じだったんだけど最後は楽しかったよって言ってくれてすごく嬉しかった。嬉しかったし、あなたたちが私の願いを叶えてくれました、ありがとうございましたっていう気持ちで一杯でしたね。

安田:写真を見せてもらったんだけど体育館にシートを敷いてホントみんな自由に書いていましたね。

木村:そう、楽しく書いていました。

安田:何時間くらいもいやってたんですか?

木村:4時間プランで実際5時間くらいやってました。その間に地元の新聞社の取材もあったんです。書の企画だって言われたからどんな着物を着たマダムが来てるのかなって思っていたらしんですよ(笑)。来て見たら先生はちょっと若いし、子どもたちは床にへばってるし、すごくビックリしたみたいですね。これが私のワークショップなんです~って言いましたけど。


GEONOUS~地球の智叡~-木村2
                

感想)ハロウィン


澤田:はい!木村怜由さんを紹介しました。とってもおもしろい方ですよね。

安田:彼女は心が熱いんですよ!

澤田:気持ちの優しい直感力のある方みたいですね。

安田:自分がやりたい!と思ったらすぐに行動に起こす。なんか使命感みたいなものがあって、それがみんなに受け入れられてすごくいいことを沢山やっているんですよね。

澤田:まゆみさんもワークショップに1回参加したみたいですね。

安田:なかなか自分の言葉を書くのって恥ずかしいんだけど、でも怜由さんが用意してくれる様々な素材の筆と太さの種類もあって、普通の毛でできた筆とワラでできた筆があるんですよ。あと割り箸とか普通のお箸とか素材は何でもいいんですって。私はハガキに墨汁で買いたんです。怜由さんの作品展に行くと、例えば鏡にアクリルで書いていたりとか、石にアクリルかペンキで、「頑固者」って書いてあったりとか(笑)。あと金魚鉢にいろんなメッセージが書いてあって、その中に金魚やメダカが泳いでいたりとか、とにかく作品展もすごくユニークでなんです。

澤田:筆も選ばない、絵の具も選ばない。ただ自分の言葉を紡ぎ出せば道具はなんでもいいという感じですよね。おもしろいですね。あと企業のロゴデザインというお仕事もされているみたいですね。

安田:お菓子のパッケージとか企業のホームページとか、お店の看板とかそういうのもやってるそうです。

澤田:なんと、昨年の夏に写真集が出ていますよね!今ここにありますけど!

安田:そう写真集って言っちゃうでしょ?これ作品集なんですよ!怜由さんは美人だから思わず写真集って言いたくなっちゃうんですけど(笑)

澤田:それは失礼、失礼!(笑)、タイトルが「お散歩キラキラ」。

安田:舞台は下北沢で作品を書いている怜由さんが写っていたり、下北沢の町に飾られた作品がいっぱい写っていたりとか。

澤田:結構、おもしろいですよね。

安田:子どもから大人まで、みんなが持っている思いを出していけるお手伝いをできたらと言っていました。

澤田:心のサポーターみたいな方です。木村さんのホームページがあるみたいですけど。

安田:彼女のホームページのタイトルは「いったんひゃくまい」というんですけども、アドレスはhttp://kimuraryoyu.com/


澤田:かなりおもしろいワークショップをやっているので、みなさんも是非参加してみてください。今日は「書タイポグラファーの木村怜由さんを紹介しました。