産経新聞に掲載された、櫻井よしこ氏のコラムです。

「憲法改正がなぜ必要か?」

「憲法改正を阻むモノは何か?」

端的に語ってくれています。

 

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「旧首相官邸には(二・二六事件のときの)銃弾の痕はあっても、

(日本の歴史を示すような)絵や展示物がないんです。

ドイツも似ています。敗戦国だからでしょうね」  政府首脳はこう語る。

「悪い戦争をした」という反省の中で過ごしてきた

戦後の日本人の気弱さがうかがえる。

 

奇妙な自己否定の空気が充満し、他国にはあり得ない過ぎたる謝罪が、

反省する人々の「良心の証し」として定着しているのではないか。

広島の原爆犠牲者の御魂を慰める碑文

「過ちは 繰返しませぬから」がその典型ではないか。

過ちを犯した主体が日本国と日本人になっている矛盾を

わが国はずっと、問題にしないできた。

 

日本にとって米国は大事な国だ。

しかし、そのことと過去の事実の間に、

客観的な区切りの線は引いておくべきだろう。

長年、米国に頼ってきた結果か、

拉致問題で被害者と家族への同情には深いものがあっても、

被害者救出に向けて力を強めるべく日

本国の在り方を変えようという国民運動には、なかなかならない。

 

中韓両国の歴史戦に、有力メディアのNHKや朝日新聞は

いまだに反日歴史観の中に埋没しているかに見える。

米政治学者サミュエル・ハンチントンが米国の「根絶政策」と呼んだ

日本国憲法を一文字も変えることなく今日に至っていることと、

前述の日本に蔓延する奇妙な自己否定は深くつながっている。

 

憲法改正に関する政界の眠りこけたような鈍感さも同様だ。

安倍晋三首相は3度の衆議院選挙、

2度の参議院選挙を憲法改正を公約として戦い、いずれも大勝した。

憲法改正を国民に訴え、国民はそれを支持している。

にもかかわらず、なぜ、自民党の動きは鈍いのか。

公明党はそれでも国民の命に責任をもつ与党か。  

 

首相は昨年5月、9条1項、2項に加えて自衛隊を憲法に書き込むことを提案した。

元日の産経新聞紙上で、これは憲法改正の議論活発化を願っての提案だったこと、

自民党には党是である憲法改正を進めていく責任があり、

自衛隊の違憲論に終止符を打つことが大事だと、語った。

 

4日の年頭記者会見でも、国の形、理想の姿を示すのが憲法で、

「戌年の今年こそ、新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を提示し、

国民的議論を一層深めていく」と明言した。

首相は改正の時期は自民党および国会に任せるという慎重な姿勢を崩さないが、

党総裁の思いに党はなぜ正対しないのか。

 

日本を取り巻く国際環境の厳しさは憲法改正は焦眉の急だと告げているではないか。

世界は軍事力を基盤とした中国の膨張主義に加えて、

彼らがこれまでとは全く異なるルールで席巻すべく

大戦略を繰り出しているという危機に直面している。

 

中国の描く世界像は、新たな中華のルールに基づく人類運命共同体である。

彼らは歴史も国境線も国際法の定義も、企業の在り方でさえ、

およそ全て中国共産党が主軸となった

中華民族の価値観に基づいて変えていこうとしている。

その中で日本の占める位置は厳しい。

 

中国は日本の資金や技術、水資源や国土を欲すると同時に、

歴史戦によって日本人の精神的屈服をもくろんでいると考えてよいだろう。

中国の対日歴史戦はこれまで以上の曲解と捏造に突き進むであろう。

中国も韓国も21世紀の歴史修正主義の国なのである。

日本にとって眼前の歴史戦は韓国である。

文在寅大統領は、慰安婦問題では「最終的かつ不可逆的な解決」を

確認し合った平成27年末の日韓合意の見直しに傾き、

解決済みの徴用工問題でも新たに日本に賠償を求めてくる可能性がある。

 

そのような韓国の反日歴史戦を中国が主導している。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に

慰安婦関係資料を登録する試みもそうだった。

米サンフランシスコ市が民間団体から

慰安婦像を設置した土地ごと寄贈を受け入れた件も、

市長のエドウィン・リー氏も寄贈した団体「慰安婦正義連合」も

共に中国系であることにみられるように中国主導である。

 

米国のみならず、カナダ、豪州、欧州各国で

反日歴史戦を強めるのと同時進行で、中国は歴史を書き換えつつある。

習近平国家主席は中華民族の偉大さを強調し、

中華民族5000年の歴史をうたう。

 

だが、中華民族という政治的枠組みが提唱され始めたのは、

約100年前だという(『中国はなぜ軍拡を続けるのか』阿南友亮氏)。  

 

他方、中国にとって都合の悪い歴史は抹殺する。

加藤康男氏が『慟哭の通州 昭和十二年夏の虐殺事件』で指摘したように、

「通州事件」の痕跡を消し去ったことは、その一例であろう。  

修正主義は歴史問題にとどまらず、およそあらゆる分野で

ルールの変更や事実の歪曲が進みかねない。

最も厳しい負の影響を被るのが、恐らく日本であろう。

 

中国のこのような世界戦略にどう対応すべきか。

まず、日本人自身が自らの価値観と立ち位置を確認することが欠かせない。

日本人は歴史的にみて、何を大切にして生きてきた民族なのかを問うことだ。

わが国は果たして日本本来の価値観に立脚しているかと問うのだ。

その第一歩が憲法改正問題だ。

国や民族の在り方を示すのが憲法だ。

日本国憲法は、米国の根絶政策の結果なのである。

ハンチントンの指摘に、もう気づかなければならない。

 

引用元:http://www.sankei.com/politics/news/180108/plt1801080003-n1.html

 

 

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